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何処行くセレソン!!/アンチェロッティ前の世界線、アンチェロッティ後の世界観

ボーイズ・ビー・アンビシャス



カタールでベスト8の壁を突破できず、いよいよ伝統から脱却すべき時が来た王国ブラジル。
10年以上、エースとしてセレソンを引っ張ってきたネイマールがカナリアのユニフォームから身を引くこととなり、また監督も国外の監督を招聘しようと、ペップにルイス・エンリケ、アンチェロッティと数々の候補があがりながらも、年明けても決まらずここまで来てしまいました。

新生セレソンのファーストターゲットとなるコパ・アメリカは来年ですけど、先行きが見えないんですよね。最近になって協会会長が「アンチェロッティがレアル満了したら来るぞ!!」と暴露してましたが、仮に本当だとしてもコパ・アメリカからぶっつけ本番なんでね。セレソンの行く末はどこへなのだろうか。。。



セレソン、新時代へ


■カタール後のセレソン

チッチの後任監督が正式発表されてない以上、カタール後のセレソンがどの方向性に進んでいくのかは分かりません。なので、カタール後に何試合か親善試合やってますけど、コパ・アメリカへの参考になることはほとんどないです。ただ「ネイマール後」という世界は監督関係なく問われる問題なので、選手選考とか今のセレソンのメンツ的なところからいろいろと考察していきます。


まず直近に行われたセネガル戦。スタメンはコチラ。

新10番はヴィニシウス。ニューカッスルのブルーノ・ギマランイスとジョエリントンなど売り出し中の選手が多くいますね。

ブルーノ・ギマランイス

ガブリエル・ジェズスがいない最前線には、今回はリシャルリソンであとはロドリゴの偽9番起用が中心になるか。

今回のセネガル戦なんですけど、ブラジルの守備の悪さが目立つ展開でして、ちょっと画像と共に振り返ります。

簡単に言うとプレスの問題です。ここでヴィニシウスが奪われる。

ネガトラ始動。リシャルリソンが同サイドウイングを抑え、ルーカス・パケタが相手ボランチを封じに行く。狙うは同サイド圧縮。

ただ、ボールホルダーのコースを限定できていないので、がら空き逆サイドに振られる。

ギマランイスが相手ボランチ(目の前)を封じますが、

ギマランイスが動いたことでスペースが生まれる。ここにパス出される。

続いてマウコム@今どうしてんのかマジ分からんへのターン。ここも目の前を潰しに行きますが、

奥ががら空き。SBで前進。

一応局面は数的同数ですけど、セネガルの左ウイングといえばマネなので、数的同数ですとブラジルでも対応は難しいですよね。しかもディレイ出来てないし。


この「目の前の相手に全力プレス」で奥の選手に出されてかわされまくるというのは、2014W杯から続くブラジルの大きな問題です。ドゥンガの時は規律がなっていた印象でまだ何とかなってはいましたけど、規律を植え付けられないとブラジルの場合は守備で勝手に動いてしまってスペースを生み出してしまう。チッチですら微妙だった。選手が目の前の相手に喰いつきすぎてスペース作ってそこ突かれるなんちゃってハイプレスをどう解消させるかがブラジル復権のカギです。



■2026のブラジル予想

メンツ見てみると、だいぶ選手が入れ替わって若返りしてますよね。

エース格がヴィニシウス。もう絶対的か。

新たな司令塔候補にギマランイスとか。あと前線の核になりそうなのがロドリゴ。

ロドリゴ・ゴエズ

レアルで売り出し中ですけど、まだ日の目に出てないだけでこれからの面白そうな若手とか多いんですよね。それこそ4年前のヴィニシウスのように。


まずはコチラ。

来季からかな。既にレアルが確保している新星エンドリッキ。まだ17歳か。



あと、今エンドリッキよりも注目されているのがコチラ。

ヴィトール・ロッキ。最近18歳にしてセレソンデビューした逸材。今夏にバルサが確保したんじゃないかとの報道も。

とは言っても、今のセレソンのメンバーにも若手で言えばマンチェスター・ユナイテッドのアントニーとか、ローマのロジェール・イバニェスとか。現時点で2026年を予想すると

こうなるんじゃないかな。安パイな予想だけど。

SBの人材不足は過去のブラジルを見てもなかなかないことで、もう30超えたユーべのダニーロが右のレギュラー格。左はマジでいない。マルセロ後から埋まることがない。

対して前線は相変わらずのタレント揃い。
3トップは、ヴィニシウスとロドリゴは核になるんじゃないか。そこにリシャルリソンとアントニー、ハフィーニャ、そして若いロッキとエンドリッキも加わるのかな。そこは新監督の腕の見せ所。



■アンチェロッティセレソン(仮)の行く末

たぶん、というかほぼほぼ確定なんでしょうけどセレソンの監督に就任するであろうアンチェロッティはどんなサッカーをするのでしょうか。

カルロ・アンチェロッティ


「システム」とは何かと尋ねたら、多くの監督たちは、選手たちをピッチに配置した布陣を数字で表したものと答えるだろう。(私はそこに、特に守備の局面において、と付け加えたい)。しかし、より重要なのはその中で個々の選手に与えるタスクだ、と答える監督は少ないだろうと思う。

アンチェロッティの完全戦術論
著者カルロ・アンチェロッティ、ジョルジョ・チャスキーニ 訳 片野道郎 発行 河出書房新社 68項より

ブラジルという、各ポジションにそれぞれスペシャリストが揃うチームにおいて、攻守をオーガナイズするうえで必要なタスクを整理して与えることが重要です。

最初に画像で振り返ったハイプレスも、各々がそれぞれの判断で動いただけの秩序無きプレスだったので、簡単に前に運ばれてしまったと。今のレアルでもそうですけど、タレントを揃えておきながら守備組織をしっかり形成する辺りはアンチェロッティ流石と思わせます。

一般論として言えば、4-4-2は現在もなお、守備においては最良なシステムであると私は考えている。それは、サイドと中央の両方をバランスよくカバーすることができるからだ。実際私自身、「クリスマスツリー」をはじめとする他のシステムにおいても守備の局面にはこのシステムを採用することが少なくない。10人のフィールドプレーヤーを3つのラインに配置するこの布陣は、陣形をコンパクトに保ちやすく、したがって敵陣においてもバランスを崩さず相手に効果的なプレッシャーをかけることを可能にする。

アンチェロッティの完全戦術論
著者カルロ・アンチェロッティ、ジョルジョ・チャスキーニ 訳 片野道郎 発行 河出書房新社
69項より

ミランで見せた4-3-2-1や、今のレアルでやっている4-3-3も、ベースは4-4-2です。例えばレアルでは、ウイングの1枚が下りてきて4-4-2を形成する。今なら右のバルベルデが、BBCではベイルが落ちてきた。

これはミランのクリスマスツリーと同じですね。

・セードルフが中盤左サイドに下がり、中央にアンブロジーニとピルロ、ガットゥーゾは中盤右サイドに開く。インザーギとカカが前線で敵センターバックにプレッシャーをかける。

アンチェロッティの完全戦術論
著者カルロ・アンチェロッティ、ジョルジョ・チャスキーニ 訳 片野道郎 発行 河出書房新社
149項より

守備に関しては4-4-2で穴を無くし、オフェンスの時に各々の選手が力を発揮しやすい配置に変える。柔軟性の高いブラジルなら、オフェンスは放っといても点獲れるでしょうし、やっぱ守備だけは最低限に整える必要があるのかなと。少しレアルでのチーム作りに近い感じが予想できます。



■アンチェロッティセレソン(仮)の戦術予想

たぶん4-3-3じゃないかな。
今のセレソン1番のホットスポットは、左のヴィニシウス。レアルで言ったら(レアルの選手なんだけど)ロナウドのような存在か。ここは活かさなくては意味のないポイントです。

レアルは、クリスティアーノ・ロナウド、ベイルという2人の”フォーリクラッセ“(超ワールドクラス)を擁している。クリスティアーノは左サイドでのプレーを好み、ベイルは右サイドを好んでいる。したがって、彼らをそのポジションに置くというのが、チーム作りの出発点になる。

アンチェロッティの完全戦術論
著者カルロ・アンチェロッティ、ジョルジョ・チャスキーニ 訳 片野道郎 発行 河出書房新社
263項より


ヴィニシウスが、BBCにおけるロナウド、ミランにおけるカカだとしたら、守備の負担を強いられるのは右ウイングです。おそらくロドリゴはセンターで起用されるでしょうから、右は攻守に走れるハフィーニャ辺りが実は好まれるか。

中盤は、アンカーはカゼミーロを中心に守備組織形成して、そこに横並びするイメージでギマランイスが絞る。そんな感じかな。


ブラジルの、特に最近の若い選手って守備も熱心な選手が多くて、ハードワークしますよね。マルセロのような守備ザルはいましたけど、守備には積極的に参加はしていました。ザルでしたけど。
最近のブラジルの中盤も、カゼミーロのようなフィジカル武器の選手も多く、ギマランイスやパケタみたいに走れる選手も多く出てきた。そしてトップ下タイプが減ってきた。エンドリッキは久しぶりに出てきたカカの後継者タイプですけど、彼くらいでしょうね。エンドリッキがスーパーに4年後育っていればエンドリッキ中心にシフトしていくでしょうけど、ヴィニシウスを活かすのであれば4-3-3を基本とするのではないでしょうか。今のレアルでも一緒だしね。



今後は、ブラジルは本格的に世代交代をはかります。次々とタレントが出てきているので、ネイマールが去った今のセレソンにおいて、こんな若手にチャンスが与えられるタイミングも多くはないです。アンチェロッティも若手起用には積極的になるかもしれないし。ぜひ、大きな志で頑張ってほしい。



次回予告

一流CBの守備を学ぼう!


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