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【臨床生理】血液の「循環」を考える② 〜“渋滞“が起こると〜

ねこのてです!

 前回は「循環」について触れました。体をぐる〜っと一周しましたね!
今回はその循環が破綻する状態を場合分けをして考えていきます。

循環をメインで担うのは、なんたって心臓!
わたしたちが寝ている時も、お風呂に入っている時も心臓は休まず働き続けてくれているんです。今回は心臓の循環が大切ですから、みなさん習っているでしょうけど、軽くおさらいしときます!

おさらい

心臓を中心とした循環のおさらいはこの絵で十分だと思います!どん!

https://www.kango-roo.com/learning/1653/より引用

 心臓には4つの部屋がありますよね。
そして血液は常に心房から心室へ流れています。体中に酸素を含む新鮮な血液を送り出すポンプが「左心室」、体中を回った血液を肺に送り出すポンプが「右心室」です。左心系、右心系という言葉とともに流れをイメージしてくださいね!怪しい方は過去の記事を↓


左心不全

 さて、ここからはいよいよ循環にトラブルが起こった状態を考えていきます。まずは左側に異常が起こった時を考えてみましょう!医学的には「左心不全」と呼ばれる状態です。循環に異常が起こる訳ですから、早い話「渋滞」が起こります。通勤電車が止まったら駅に人があふれたり、事故があったら車が渋滞するように・・・。

 下の絵にあるように、心臓の左心室に障害が生じた場合(図中①)を考えます!
すると、そのすぐ直前の部屋である左心房で渋滞が起こる訳なので、肺からの血液は肺静脈から心臓になかなか入れず滞ってしまいます(図中②)
これを放っておくと、圧力が高くなって血管から液体が染み出し、本来液体がない場所にも水が溜まってしまいます。左心房のさらに直前の肺に水が溜まってしまう訳です(図中③)この肺に水が溜まった状態を「肺水腫」と言います。肺に水が溜まる訳ですから、溺れている状態。非常に苦しいのです。

イメージが湧くでしょうか。
どこかがダメになると、直前から渋滞が起こりそれがどんどん連鎖する感じです。
せっかく専門用語を出したので、この状態をそれっぽくまとめて書いてみると

「左心不全が原因で肺静脈に鬱血が起こり、肺水腫をひき起こしたため呼吸不全が出現した」ってな感じでしょうかね!

右心不全

 また絵で考えますが、今度のトラブルは右心室で起こってしまいました(図中①)「右心不全」です。
さっきと同様に考えると、右心房から右心室に向けて血液を送れなくなって渋滞となります(図中②)これを放っておいてしまうと、全身から戻ってきた血液が心臓に入れなくなるので、体中がむくみます(図中③)特に足にむくみが出やすいですね(下腿浮腫)

まとめると、「右心不全のため、右房圧が上昇し浮腫(下腿浮腫)が出現している」ってな感じでしょうか!

ハイ。ここまできたらまた一つ新しい話題です!
一つ前の左心不全をさらに放っておくとどうなるでしょう・・・?

「左心不全で肺水腫になるということは、右心室から水浸しの肺へ血流が入りにくくなります。・・・すると、右心室でも渋滞になっていき・・・」

・・!!

これはまさしく今やった右心不全で引き起こされる渋滞と一緒です!
そう、左心不全が長く続くと、最終的に右心不全につながってしまうんですね。これを両心不全と言います。


「トラブル」の原因には何が考えられるか

心臓はいわばポンプです。リズミカルに血液を送り出してくれます。せっかく送り出した血液が戻らないように、ご丁寧に逆流防止弁までついている優れもの。

心臓のトラブルを考える時は、この太字の特徴が故障してしまった時を考えればいいんです!

①ポンプそのものの機能が壊れる
②リズミカルでなくなってしまう
③弁が壊れる、狭くなる

ってな感じで。


これらの状態をもっとそれっぽく言い換えると

①心筋梗塞
②不整脈
③弁膜症

となります。

心臓の筋肉を栄養する血管が詰まってしまったら、ポンプとしてうまく働けません。ポンプの拍動リズムが狂ってブルブル震えるだけなら、血液を送れません。
送ったはずの血液が弁が壊れていて逆流したり、狭くなってしまうとうまく血液を送れません。

きっと、イメージしやすいですよね!!

今回は循環が滞る原因と症状を交通渋滞のようなものを背景に説明しました。

・・・が、
循環の破綻の原因としてもう一つ押さえなければならないものがあります。
「ショック」と呼ばるれ状態です。とても重要なので、次回はショックについて記事にします。

そこまでまとめたら区切りがいいので循環の話は一回やめます!

どもでしたー!


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