風に舞う花びらを
手を伸ばして

夢ひとひら
掴めずにいるよ

声が枯れて
遠くを見ている
あなたを呼び止めて
振り向いて

何度も手を伸ばす
何度も夢に見る

強い風が
桜の花びらを舞い上げて

哀しみと強い意志

折れてしまわないように

ずっと待っている

偶然を
幸運を
きっかけを

どれでもない

掴み損なって
春が過ぎていく

待っているのは
強い意志

降り積もった花びらで
足元はピンクに

まだ散ってしまないで
願いも虚しく花が散る

強い風が吹く
愛を確かめるように

儚いから美しいなら
ずっと待ってしまうのは
見苦しいとしても

叶えるための夢じゃなくて
美しいから
手を伸ばしてしまう
ただそれだけ

届かなくても良かった

川面に流した文のよう
流れ着く先など知らない

覚えておきたかっただけ
美しい春を

掬い上げた人が
捨ておいても
記憶の中の春は
麗らかで凪いでいる

それでもなお
待ってしまう

花が咲くのを

水をやって
日差しをあてて
美しく咲き誇る花を

変わらぬ愛と強い意志

知らぬ間に
肩にのっている花びらに
気付けるように

息を止めて待っている