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ハチミツ台風、嵐の夜に卵サンドイッチ

ここ最近、「影」について考えることが多く、小さい頃は影送りとか影踏みとかでよく遊んでたなぁとしみじみ思い出します。頭と腕の影で目を作る遊びも。これは今も時々やります(笑)

今回は言葉の添え木様のお題で作った詩3編と、オリジナルお題の詩1編、hoshiboshi様主催の「春の星々140字小説コンテスト」に応募した作品1つ、セットでお送りいたします。



嵐の夜に

蝋燭の灯りと二人きり

数本のマッチの残骸

吠える狼のような嵐


蝋燭の灯りは一人きり

そんなつもりで燃えている


壁と天井に伸びる影の数

なんだか多い気がして

余分に紅茶を淹れたりして


嵐の夜に、集えや集え

一人きりでは心細い

嵐の夜に、円陣を組む影



ハチミツ

ハチミツのしゃぼん玉

蜜蜂たちの物語を

煌めきで語り、浮かび、きららんら


もしも宇宙まで飛べたなら

エディントン限界光度を超えて

どんな星より光るだろう


でもハチミツのしゃぼん玉

きららんら、きららんら

煌めくばかり

香しく語るばかり



卵サンドウィッチ(オリジナルお題、朗読会「水上声希譚」様に投稿)

車窓とレンズの向こうは濃霧

カメラを置いてしまう

耳付きワゴン車が車内販売


霧を駆け抜ける卵サンドウィッチと私

さっくり、もっちり

たぶんサンドウィッチじゃないけれど

きっと卵サンドウィッチ


美味しくて

長い耳と角が光ってしまう



台風

ハグピート

在りし日の嵐

応答願う

台風は私たちをムチ打つ


ハグピート

まだ、どこかにいますか?

忘れないために名付ける

忘れたいことにも名を

忘れたことにも名を

名前は一斉に叫ぶ

ハグピート

さようなら

散り散りになった嵐へ

私たちの名前から

ハグピート



春の星々140字小説コンテスト応募作品(テーマ「明」、水原月として投稿)

四文字熟語のテストで大失敗した。
傘を忘れて、雨が降る中を走って帰れば、滑って転ぶ。ぼやける視界には、大きな水たまり。
水たまりに映る情けない顔を眺めていると、小さな蒸気機関車が水たまりから飛び出てきた。汽車は雨を連れて、空へ昇っていく。呆然と見送る僕の心は、明鏡止水だった。



お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。