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放課後ランプ / 毎週ショートショートnote

旧校舎の引き戸をそっと開ける。
教室の中央には机を囲むように椅子が四つ。置いてあるランプに火を灯すとガラスを通した光が波のように揺れた。
「『放課後ランプ』のおまじない、本当に効くのかな。」
カナが不安そうに言う。
「絶対に効くよ。先輩もこのおまじないで両思いになったって。」
四人は椅子に座った。
「いい?みんなはカナの幸せを祈る。カナはランプに向かって告白するんだよ。」
「・・・好きです。」
「ちゃんと、名前も。」
「もっと大きな声で。頑張れ!」
カナがすぅっと大きく息を吸う。
「黒田ジンくん、好きです!」
「きゃーっ!言ったーっ!」
ランプを消し、四人できゃあきゃあ騒ぎながら引き戸を開ける。
と,目の前に顔を赤くした黒田が立っていた。
「じゃあ、先に帰るね!カナを宜しく!」
黒田を呼び出したのは私達だ。
「上手くいくかな。」
「効くんでしょ、放課後ランプ。」
「私が考えたんだけどね。」
笑いながら帰る。
夕陽に並ぶ影は今日からは三人だ。


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#毎週ショートショートnote


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