箔玖恵

3児の母/亀と昆虫を飼わされてます/猫好き/お酒も好き/ノンアルコールも好き/

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    秘密屋のショートショートです。

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    小説です。

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桜桃 / 春ピリカ応募

桜餅の香りがして顔を上げた。バカみたいに青い空に葉桜が気持ちよさそうに揺れている。 桜餅の香りは花じゃなくて葉なんだ。なんて考えながら氷の溶けたカフェオレを一口飲むとまた携帯の画面に目を落とした。 白いドレスは削除。 お色直しの桜色のドレスも削除。やっぱり私は白無垢が着たかった。彼の羽織袴姿は凛々しくて惚れ直してたと思う。まぁタキシードも悪くないけど。 結婚式の写真の次はハワイになっちゃった新婚旅行。日焼けしすぎた彼の笑顔を眺めていたら、少し息を切らせて彼がやって来た。 「ご

    • 春ギター / 毎週ショートショートnote

      缶ビールを一口。 窓辺に立てかけたギターと夜の花見。 白い月明かりに女の子らしいモノが何も無い部屋が浮かぶ。家具も服も黒ばっかで、可愛らしい色は外の桜くらいだ。色気の無い部屋が私らしくて少し笑った。 「夜ってさ、寂しいよね。」 真夜中にかけた電話は、私なりに誘い文句のつもりだったから、アイツが急いで来てくれてすごく嬉しかった。 「俺の古いやつだけど、やるよ。じゃあな。」 ギターを置いてサッと帰るアイツ。 本当はわかってるんだ。 アイツには彼女がいる。女の子らしいフワフワした子

      • オバケレインコート / 毎週ショートショートnote

        話し声が聞こえて目が覚めた。 廊下を覗くと白くフワフワした物体がいくつも揺れている。よく見ようとドアに近づくと、ギィ。 慌てて壁にかけてあった空色のレインコートを頭からかぶり足が見えないようしゃがむ。 「君、すごく珍しいね。」 「空色にヒヨコ柄のオバケなんて初めて。」 部屋に入ってきたオバケの子供たちは僕のレインコートをつんつん引っ張る。 「どうやって色つけるの?」 「えぇと、ほら、うーんって強く願うんだよ。」 「うーん。」「うーん。」 けれどもちっとも色はつかず、オバケたち

        • 雑記 お遊びに乗ってみた

          三羽 烏さんが↓こんな記事を乗せてまして、 ヒヨコ🐤さんが遊んでいたのです。 想像よりはるかに強そうなヒヨコ🐤さんに驚きながらも、私も乗っかって遊んでみました。 可愛いけど、ヒヨコさんの強そうな感じ羨ましいなぁ。本名…いや旧姓でやってみよ。 本名もちゃんと女子名なのに何故ミイラ?いやミイラだもの、包帯解いたら女子なのかも。 強そうかどうかは微妙だなぁ。 下記で名前を入れると「こんなかなぁ」ってイラスト出ます。 ちょっとした気分転換にどうぞ。

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        桜桃 / 春ピリカ応募

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          命乞いする蜘蛛 / 毎週ショートショートnpo

          「ちょっと、待ってください。」 蜘蛛はお釈迦様の指に足を絡ませた。 「お前の仲間を助けた男だぞ。気が向かないのか。」 蜘蛛は大きく頷いた。 「確かに一匹の蜘蛛を見逃しはしましたが一度きり。盗みや殺しを繰り返していた男ですよ?あそこにいる他の者達も同様。そんな中に私一匹が降りたらどうなりましょう。」 「おまえの糸を登ってくるであろうな。」 「えぇ、それも大勢で。そうなると私は罪深い人間の体重をかけられ、いや、私ごとき小さな身体は踏み潰されてしまうでしょう。」 蜘蛛は恐ろしそうに

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          桜回線 / 毎週ショートショートnote

          「不要な方消します。」 一行きりのメールが届いた。差出人のアドレスには覚えが無いから、普通なら迷惑か詐欺だと捨ててしまう所だ。 けれど、今の私には魅力的な一行だった。 「お願いします。」 「ご利用ありがとう御座いました。」 一ヶ月後に届いたお礼のメールを見て、暴力とギャンブルで出来たような夫が行方不明になったのは、あの時返信したからなのかと驚いた。どうしよう。あいつの借金返済で手一杯の私にお金は払えない。 「お金はありません」 「不要な方をいただいております。代金はかかりま

          桜回線 / 毎週ショートショートnote

          餃子が好き

          ※ショートショートではありません。(1000字) 「今日なに食べたい?」 と子供達に聞けば、たいてい唐揚げか餃子だ。 この質問を投げかけた時は正直作る気力が無いのだけれど、子供達は容赦なく付け加えてくる。 「ママが作ったやつね!」 鬼である。しかも三人の小鬼は育ち盛り。 母としてはサラダとかスープとか付けたいのだけれど、彼らは白飯と餃子だけでお腹いっぱいになりたいんだ、と訴える。 皮は作った方が美味しい気がする。でもそんな気力は無いからニラとひき肉と共に買ってくる。 冷蔵

          餃子が好き

          デジタルバレンタイン / 毎週ショートショートnote

          チョコは渡せなかった。仲良く話すミナと彼が頭から離れないまま部屋にこもっていると、お兄ちゃんがまたリモコンを持って部屋にきた。 「今度のはタイムマシンだぞ。戻ってチョコ渡してこい。」 2月14日に設定して赤いボタンを押す。 ダリの絵みたいな時計がすごい勢いで左右を通り過ぎ、気がつくとお兄ちゃんがいない。 外に出てみるとミナっぽい顔の等身大レゴブロックが立っていた。 「110100…」 「え?何?」 「00011011101…」 なんか変だ。 青いボタンを押すとダリ時計が逆向き

          デジタルバレンタイン / 毎週ショートショートnote

          行列のできるリモコン / 毎週ショートショートnote

          今日は一日中ずーっとドキドキして、テストもうわの空だった。 放課後の渡り廊下。ミナに彼を呼び出してと頼んで、チョコレートを持って待っていた。 足音が聞こえてきた。 精一杯可愛い顔で振り向く。ん? 「先生?」 「ここにいたのか。最近頑張っていたのに今日のテスト全然出来てなかったから探してたんだぞ。心配事でもあるのか?」 告白の事で頭がいっぱいでした、なんて言えない。 どうしよう。先生の向こうに彼とミナが見えた。 理系の彼につり合いたくて勉強頑張ってたのにバカだと思われちゃう。

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          ツノがある東館 / 毎週ショートショートnote

          「暴れ牛だ!」 あぁどうして今日は赤いスカートにしたのかしら、と自分を呪っても仕方ありません。 大きな暴れ牛を追いかけて大人たちが走ってきますが、想像より速い牛に追いつけそうになく、逃げろと叫ぶのがやっと。 暴れ牛の赤く充血した目は明らかにスカートを捉えていますが、足がすくんで動けません。 ドドド、と地響きと砂埃を立ててまっすぐ向かってくる暴れ牛。もう目の前です。 そうだ、これラップスカートだった。 咄嗟にスカートを止めているリボンを外し、右側に開きました。 暴れ牛は少しだけ

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          アメリカ製保健室 / 毎週ショートショートnote

          保健室は今日も人だかりが出来ていた。 みんなフィンリー先生が目当てで、ケガはもちろん英語を教えて欲しいとか何とか理由をつけては保健室へとやってきていた。 「OK、傷にはサビオ貼るデスネ。」 「アタシ英語はアメリカ製よ。授業はクイーンズっしょ。」 美しい顔立ちに微妙な日本語がまた可愛い。危うくニヤケそうになるのを何とか抑える。 「ほら、授業始まるぞ。戻れ。」 「うるさい体育教師が来たー。」 文句を言う生徒達を保健室から追い出すと後ろ手に扉を閉める。 フィンリー先生は人形のように

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          ドローン課長 / 毎週ショートショートnote

          三日続けて酷い吹雪だった。 窓から白一色の景色を見ながら珈琲を飲む。こう酷い吹雪だと出社出来る人間も限られるし仕事の依頼も少ない。 「課長は今日も遅刻ですかね。」 雪で視界も悪く、除雪も行き届いていないから毎日渋滞だった。僕は近いし、先輩はすごく早く家を出ているらしい。 「今日は遅刻しないって連絡きてたよ。ドローン課長になるんだって。」 「何ですか、それ。」 「ドローンを先に出社させて遅刻は回避する作戦らしいよ。」 先輩みたいに早く出社したらいいのに、と思いながら吹雪の様子を

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          会費制の粉雪 / 毎週ショートショートnote

          「雪の会費をお願いします。払ってもらわないと雪が降らなくなっちゃうの。」 玄関で燕尾服を着た小さな男の子が箱を抱えて立っていた。 「雪なんて要らないよ。雪掻きしたくない。」 男の子は黒い袖で顔を覆いシクシクと泣き出した。 「どうせ詐欺だろ。子供にこんな事させるなんて。」 しゃくりあげながら男の子は首を振る。 「詐欺じゃ無いもん。雪が降らないとみんなのお家が無くなっちゃうんだもん。」 「かまくらかよ。とにかく、金なんか払わないよ。」 しっしっと手を振ったが男の子は動かない。 「

          会費制の粉雪 / 毎週ショートショートnote

          会員制の粉雪 / 毎週ショートショートnote

          うっすらと粉雪が積もったベランダに白い鳥がいた。 そっと窓を開けると白い鳥はぺこりと頭を下げた。 「こんにちは。幸せの白い鳥です。」 「喋った!」 「少しだけです。」 私は何だか嬉しくなって鳥と話した。 鳥は頷いたり首を傾げたりして聞いている。今日も一日中誰とも話さず終わると思っていたが、例え鳥でも話を聞いてもらえるのは楽しかった。 「あぁ、何だか喉が渇いたな。鳥さんは?」 「もし出来たら何か食べ物が欲しいです。」 「鳥の食べ物って、虫とか木の実とか?」 「いえ、だいたい何で

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          元旦

          ※ダラダラと870文字あります。 元旦の朝は毎年同じ言葉で目覚める。 例え大晦日に飲み過ぎていても、慌てて年賀状を書いて朝方眠りについたとしても、母は容赦無く階下からハスキーボイスで言うのだ。 「お餅何個食べるのーっ?」 正直言うとお正月なんだから、寝かせてほしい。 サザエさん家みたいに「明けましておめでとう」が年始の言葉じゃないの? なんて心の声は閉まっておいて、寝起きの声を絞り出す。 「に、二個ぉ。」 すでに日本酒による二日酔い状態だが、こちらも毎年同じ数で答える。ちな

          夜光おみくじ / 毎週ショートショートnote

          揺らぐ灯りを頼りに開け放たれた豪華な扉へと向かう。客船で闇夜のパーティーなんて場違いな気がして落ち着かない。彼の少し長いスーツの袖をきゅっと掴んだ。 「何だか怖い。」 彼は優しく笑う。 「闇夜って言っても怖いことなんか無いよ。参加者の目的は夜光おみくじなんだ。」 「夜光おみくじ?」 ゆっくりと階段を登ると街の灯りが遠い。 空には満天の星。 彼について夜空を見ながら甲板を進む。 「海を見て。」 暗い夜の海で船が作り出す波が青く光っている。 「綺麗。海が光るの?」 「夜光虫だよ。

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