「ほっ、ほれ、ほっ。」
掛け声と音楽が聴こえる。
アパートの壁の穴から覗くと、隣の爺さんと五センチ程の小さな兎や蛙が踊っている。笛や太鼓は小さな猿だ。
「ほれ、鳥獣戯画ノリじゃ。」
爺さんの踊りに生き物達は拍手喝采。
「楽しかったお礼です。」
と宝物を置いて床の穴から帰って行った。

俺は早速床に穴を開け、動物達を待った。
ピーヒャラピー。
音に合わせて踊ってみると、床の穴からどんどん出てくる。楽しそうに笑ったり手を叩いたりする兎に乗せられ俺も楽しくなってきた。
よし、本物のダンスってものを見せてやる！

ふと気がつくとシーンとした室内。しまった、やり過ぎたか。
「超自由ギガノリだ…。」
蛙が呟くと猿が俺の小指を掴んだ。
「どうか皆んなにその踊りを教えて下さい。」
猿はすごい力であっという間に俺を床の穴へと引き摺り込んだ。

「ーという訳で今は地底人なので家賃は払えません。」
床下に戻ろうとした男を家主が捕えた。
すると穴から微かに笛の音が…。

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