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棒アイドル / 毎週ショートショートnote

暗く狭いステージでガラガラと鳴る音に合わせてステップを踏む。
天井から放たれる1人分ほどの細いスポットライトを目指して飛んだり跳ねたりしている中、端っこで動かない奴がいた。
「真ん中に行かないの?えーっと42番さん。」
僕たちには番号がつけられている。僕は23番だ。
「人気ないから。」
ぴょんぴょん跳ねながら42番に近づく。
「そんな事ないよ。誰が出ても歓声が上がるじゃないか。」
いいや、と首を振る42番。
「前に僕を掴んだ子がいてさ、酷くがっかりさせちゃったんだ。」
ガラガラと更に大きな音がして全員が横倒しになった。弾みで42番がスポットライトから外へ出た。
「出ました、42番!」
42番の棒を掴んだ男は同じ番号の引出しから紙を取り出しカメラに見せた。
「うわぁっ、だ、大凶だ!」
一緒にいた人達がドッと笑う。
男は42番の棒をニコニコしながら箱に戻した。
「ありがとう、おかげでウケたよ。」

御籤箱の中で42番も笑顔になった。


『本作品はamazonkindleで出版される410字

の毎週ショートショート〜一周年記念〜 へ掲載

される事についてたらはかにさんと合意済です」


#棒アイドル #毎週ショートショートnote

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