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命乞いする蜘蛛 / 毎週ショートショートnpo

「ちょっと、待ってください。」
蜘蛛はお釈迦様の指に足を絡ませた。
「お前の仲間を助けた男だぞ。気が向かないのか。」
蜘蛛は大きく頷いた。
「確かに一匹の蜘蛛を見逃しはしましたが一度きり。盗みや殺しを繰り返していた男ですよ?あそこにいる他の者達も同様。そんな中に私一匹が降りたらどうなりましょう。」
「おまえの糸を登ってくるであろうな。」
「えぇ、それも大勢で。そうなると私は罪深い人間の体重をかけられ、いや、私ごとき小さな身体は踏み潰されてしまうでしょう。」
蜘蛛は恐ろしそうにブルブルと身体を震わせた。お釈迦様は少し蜘蛛が可哀想に思えたのでしょう、地獄へと落とすのをおやめになりました。
かわりに景色がよく見える、高い木の葉へそっとお降ろしになりました。
「あ」
蜘蛛がお礼を言い終わらないうちに一羽の鳥がサッと蜘蛛を咥えて飛んで行きました。
お釈迦様はしばらく空を眺めておりましたが、また退屈そうに池のほとりをお歩きになりました。



蜘蛛と言えばこれですよね。
定番すぎて誰かと被るとかの問題ですら無いのですが…4月10日〆に合わせて書いていたものが、なんと3月31日〆だったのに昨日気付きました。今脳内が真っ白な灰になった気分です。

#命乞いする蜘蛛
#毎週ショートショートnote

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