「不要な方消します。」
一行きりのメールが届いた。差出人のアドレスには覚えが無いから、普通なら迷惑か詐欺だと捨ててしまう所だ。
けれど、今の私には魅力的な一行だった。
「お願いします。」

「ご利用ありがとう御座いました。」
一ヶ月後に届いたお礼のメールを見て、暴力とギャンブルで出来たような夫が行方不明になったのは、あの時返信したからなのかと驚いた。どうしよう。あいつの借金返済で手一杯の私にお金は払えない。
「お金はありません」
「不要な方をいただいております。代金はかかりません。」
あいつを？他に女がいたのだろうか。
「あいつで良かったの？」
「どなたでも。おかげでやっと咲くことが出来ました。お礼に窓から少しお裾分けを致します。」
さぁっと風が吹き込んで、桜の花びらが数枚窓から入り込んだ。
そうか。
桜の木には死体が埋まっているって言うものね。
また来年、死にたいほど困っている誰かに桜回線が繋がるのかな。

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