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ポケットの中の社畜は、出荷の日まで罵りあっている

隣の席に座った先輩課長が堰を切ったように話しかけてきた。

おかげで腹がたったし、悲しくなった。



僕の席の隣は現在空席であり、誰かが広々と作業したい時などに使われていた。

本当にいろいろな人が座るので、そのたびに話をすることになるのだが、まあそれは悪くない時間として受け止めていた。そうでもしないと全然喋らなくなってしまう。

そんなある日、先輩の課長が横に座り作業を始めた。

彼と僕とは同じ部署で、担当している部門が違う。仕事上重なる部分はほぼない。なので衝突することもないから、間柄は悪くなかった。

彼を表現するならば、「仕事は固いが、遅い」になるだろう。

彼が支店長のころ、人事考課などが遅れ気味であると聞いたことがあるし、自分でもそう言っていた。側から見ていると仕事ができないわけでもないのになぜそこまで遅れていくのかがちょっと不思議でもあった。

そんな彼が本部に来てから、上司から色々と注文をつけられている様を見ることになった。

彼の領域は、それぞれのボリュームはないが項目が多く、煩雑な対応が多数発生するものとなっている。なので当然、注文も多くなる。

その一方で、コンサルテーション部門で実績こそが正義である僕の領域は、数字が上がれば細かいことは言われない。

そして、僕は常に「口出してくんじゃねえぞ? あ?」というオーラを出しているから静かなものだ。


彼の苦労を、正直人ごととして見ていた。

そんな彼が、隣に座って溢れるように愚痴り始めた。

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