見出し画像

香水

君の部屋の窓 湿らせてる息
なぞる指先も 揺れる水滴も

事の成り行きと 誰かの時効と
愛しているよ、と そんなところだね

想いはなくても 気持ちはなくても 二人はそばにいて
楽しくなくても 苦しくなくても それでよかったね


いつものように街をぶらぶら 歩けば知らない人に会って
「どうぞ」もなにも言いやしないが いつしか二人は惹かれあってる

洗面器具なら横にあって 鏡の裏には壁があって
灯りをつければ嫌がって 電気を消せば朝が来る
だから

想いはなくても 気持ちはなくても 二人はそばにいて
楽しくなくても 苦しくなくても それでよかったね

隣の部屋では 夜毎の温さが 風に運ばれて
誰彼かまわず 恋してみるのも 悪くなかったの


季節が巡って 景色が変わって 誰かがそばにいて
恐らく誰かが 君ではなくても 驚かないよな

想いがあっても 気持ちがあっても 離れる人もいるものね、だから
楽しくなくても 苦しくなくても 今はそれだけで良くって

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?