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おっちょこちょいラッカルClumsy Ruckal (and his dream)

「ラッカルの野望はたいしたものでした。

 彼は宇宙船開発に新基軸を打ち出そうと思っていましたし、音楽や絵画にも四次元的な感性を盛り込むチャンスをうかがっていました。

 しかしラッカルは猿でしたので、まずは人間になる必要がありましたが、彼はおっちょこちょいでしたから、そういったことは忘れてしまったんでしょうね。

 嫁の反対を押し切って飛び出して、たどり着いた都会では捕獲されて、今ではあんなに痩せこけて……。

 理想を追い求めるとはこういうことです……悲しいとは思いませんか?」

 と聞かれたので僕は「よい話ですね」と答えて「ところでラッカルはどこにいるんです?」

「ラッカル? なんの話です?」

 僕は寝ぼけていたのかなと思って会釈をして地下鉄に乗り込んだ。

(2009.8.21)

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