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やっちゃイケナイこと

小さな頃、やっちゃだめと分かっているのにやってしまったこと、ないだろうか?

僕は…ある!

ビー玉の思い出


3歳の頃、「おるすばん」がしてみたくて母と兄に買い物行くぞ!と声をかけられたけど、行かない!と駄々をこねてみた。

ひとりでおるすばんできるもん!

まあ、昭和の話である。「あ、そう」と母は言って兄だけ連れて家に残ることになった。記憶にある限り初のおるすばん。三歳。家には一人だけである。

不思議と不安感はなかった。どちらかというとワクワクした。
兄のおもちゃ箱を勝手に物色してみる。
透明のビー玉を見つけた。自分の持っているビー玉は、緑色の透明なやつか、なにやらスクリュー模様の入った兄のお下がりだけ。色がついていない、透明のビー玉はそれはそれは美しかった。

しばらく見とれていたが、あまりの美しさについ口に含んでみたくなった。
というより、気がついたら含んでいた。きれいなものは美味しいとおもったのだろうか?

当然味はしない。三歳児でもビー玉は食べられないということくらいは理解していた。口に含んだことで兄しか持っていない、キレイなビー玉を自分も所有したような気になれた。満足げに「やったー!」と言おうとしたとき事故が起きた。

なんと、ごっくん。ビー玉を呑み込んでしまったのだ!完全なる事故。飲んだらダメなことくらい3歳児は知っている。
「僕、死ぬの?」3歳にしてそんなことを考えたガキは自分くらいかもしれない。

兄のおもちゃ箱の物色の跡を元に戻し、いつ死ぬのかな…まんじりもせず一点を見つめ続けていた。恐怖の時間とはあれを言うのかもしれない。忘れられない始めてのお留守番だった。
幸い死にもせず、兄貴にも呑み込んだことはバレず半世紀が経った。もう時効だろう。

豆球の思い出

さらに年齢を重ねた6歳の春。小学一年生になりたてだったと思う。

兄弟で学研の「科学と学習」という教材雑誌を毎月とってもらっていた。いまエンジニアなのも、この雑誌のおかげではないだろうか。1年生の付録はしょぼいものが多かったが、4つ上の兄の付録はなかなか高度なものも多く、遊びがいがあった。兄が飽きたら貰い受けて徹底的に分解してたっけ。

豆電球を使ったものがあったように思う。電池をつなぐと光るのが面白く、用もないのにピカピカ光らせていたら電池がなくなってしまった。

しかたない。じゃあこうして光らせてみよう。
6歳児の科学技術をフル稼働しておもいついた解決策。
豆球ソケットのリード線をコンセントに突っ込んだのだ。

ぼんっ

小さな爆発音と火花が散った。ガラス片がおでこに当たった。あのビー玉を呑み込んだ時のように、身体が硬直して一点を見つめ続けていた。豆電球はふっとんで消滅し、リード線は焦げていた。

豆球はコンセントに突っ込んじゃダメ!
この知識を得た僕は16年後、電気系の大学の学科を卒業することになる。

パチンコ玉の思い出

同じ頃、道端にはなぜかパチンコ玉がよく落ちていた。
当時の小学生は無意識に拾ってはコレクションに加えていたように思う。

そんなある日、パチンコ玉を机の上で転がしながら、学研の付録の磁石でくっつけたりして遊んでいた。

なんの気なしにパチンコ玉をまじまじと眺めたりする。何か字が掘ってある。○○ホール。駅前のパチンコ屋の名前。
マジマジと眺めている顔がパチンコ玉に反射している。スターどっきりマル秘報告で、CMに入る前にこんな顔でアップになった画面がよく放映されていた。テレビと同じだ~

3歳のときの惨事を繰り返さないよう、口に含むことは絶対しないようになった賢い小学生。でもどっきりの番組のことを考えると、なにか楽しくなってきて、ビー玉を鼻の穴に入れてみた。

ぎゃははは!鏡にうつった間抜けな顔に大笑い。
さて、しょうもない遊びはここまで。外に遊びに行こうっと。
パチンコ玉を取ろうとして気がついた。

パチンコ玉、鼻の穴からとれない…

パチンコ玉の直径は11mmだそう。低学年の子どもの鼻の穴の直径、せいぜ6,7mmくらい?母から鼻ペチャと言われていたくらいの僕だ。
若い皮膚の弾力のおかげでなんとかパチンコ玉を鼻の穴に突っ込むことはできたものの、鼻くそを取る要領で鼻に指を入れようとしても、もちろん入らない。

ならば、フンッ!息を鼻から吐いてみても食い込んだパチンコ玉はびくともしない。

一年生に恐怖の時間がまたまた訪れる。
学校に行ったら皆に笑われるだろうな…
けっこんもできないかもしれない

そこでちょっといいことを思いついた。こないだ結婚した母の弟のおじさん、あのおじさん鼻の穴デカいよな。大人になったら鼻の穴がデカくなってとれるかもしれない!

一縷の望み、それは鼻の穴のデカい大人になること。
…って、大人になるまで僕は鼻の穴にパチンコ玉を入れたまま大きくなるの?そんなの嫌だ!なんとかしなきゃ!

鼻くそほじりの技を再度試してみるも、パチンコ玉はさらに奥の方に入っていくばかりで出てくる気配はない。

絶望と恐怖の時間。
ふと、鏡を覗いてみる。涙のあふれた間抜けな顔を見ながら、鼻筋を上から下に押さえながら なぞってみると…

ぽとん

パチンコ玉は取れた。鉄仮面をかぶったまま育った二代目麻宮サキのような呪われた運命から逃れることができたのだ。

今ならパチンコ玉取れるかな?微妙かな?サブちゃんくらいだったら取れるかも。まあ、そんなこと試してみたりしないくらいには
賢くなったけどね。僕ぁ。


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