nemocco療法士

暖かく、ものさみしげな在宅介護。 フィクションを交えてお届けします。 ブログ運営開始し…

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暖かく、ものさみしげな在宅介護。 フィクションを交えてお届けします。 ブログ運営開始しました。よかったら遊びに来てください☆ https://nemocco-riha.com/

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#31.わからなくなっても

認知症 今やガンより心臓病より怖い言葉になりつつある。命こそ取られないものの、少しずつ自分を失っていく。これこそ死よりも怖いとされる所以かもしれない。 今日本では平均寿命の延長から認知症患者は右肩上がりに増えている。 同じように核家族化が進み単独世帯も増えている。この先待ち受けるのは認知症の方の一人暮らしだ。 さて、皆様は認知症の方の生活というとどのようなものを想像するだろうか? 『一人で物事を判断できないから危ない』 『家族と暮らせないなら施設が安全なんじゃ、、』

    • #32.ムードメーカー

      娘夫婦との同居。これは本人が望んだものではなく、一人暮らしが不安だったからと娘の希望。 住み慣れた街を離れ、認知症も進んだ。 役割を失い、ただぼぉーっとテレビを見て寝てを繰り返す毎日。唯一の楽しみはひ孫とラインを楽しむこと。昔から機械いじりが趣味で新しいものにも目がないためライン操作もなんとか行えている。 しかし、ラインのやりすぎでひ孫にもけむたがられてしまい、メッセージを送って良い時間制限を設けられてしまった。 はぁ~~。95歳になり、いよいよ終い支度を始めようか。

      • 嬉しいです☆初めてもらいましたー(*´ω`*)

        • #30.よく生きるために

          人間はなぜ生きるのか。答えのわからない永遠のテーマ。おそらく解は人の数だけあるのだろう。 前回 【長生き地獄】著:松原惇子 を読み長生きすることはいいことばかりではないことを知った。良ければそちらも一度目を通して頂きたい。 『長寿』読んで字のごとく、長生きを祝うこと。一昔前までは感染症や飢饉などからそもそも長生きすることが難しい時代があった。この頃からしたら60歳まで生きることは難しいことであり、祝いの対象であった。 しかし現代はどうだろうか?飽食の

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        #31.わからなくなっても

          #29.程よく死にたい

          今回の記事はあくまでも私の死生観を書いたものであるため、新興宗教がある方や確立した死生観がすでにある方はあまり気持ちの良い話しではないため閲覧を控えたほうが良いかもしれない。 程よく死にたいという言葉の意味は、無理に長生きをするのではなく、自然の摂理のままに死んでいきたいという意味になる。 なんだ、当たり前のことじゃないかと思われたかもしれない。 しかし、この当たり前の事が当然のように行われていないのが現状だ。口からものが食べれなくなっても、点滴や胃瘻、経管などから栄養を

          #29.程よく死にたい

          #28.永劫回帰【同じ人生を歩みたいですか?】

          『こんな身体になってまで生きていたくない』 『早く死んで楽になりたい』 病気を抱えた方は一度は考えることもあるのではないだろうか? 死に関する捉え方は人それぞれ。天国を信じ、現世での徳を積むことを信じるものもいて、輪廻転生のように生まれ変わりを信じるものもいる。 とにかく来世や未来を明るいものとして信じよう、いや、信じたいと願う気持ちの現れだろう。 フリードリヒ•ニーチェの仮説に永劫回帰というものがある。 まず、ニーチェは、「人の生を支えるありとあらゆる価値が一切なくな

          #28.永劫回帰【同じ人生を歩みたいですか?】

          #27.二人の歩幅

          夫が少し前を歩く。妻が後ろからついてゆく。少しずつゆっくりと差が開いてゆく。5mほど差が開いたところで夫が花を見つけ立ち止まる。 妻はゆっくり夫に追いつき、花には目もくれずまた歩き始めた夫のあとをついて行く。 数十年前。夫は、家族の先頭をただ走っていた。お金を稼ぐために目の前の障害物をはねのけ、後ろを走ってくる家族の邪魔にならないように。どんなに理不尽なことが起きようとも、弱音を吐かず走り続けた。 妻も子供を引き連れながら夫に合わせるように走る。前を行く夫が障害物をどけ

          #27.二人の歩幅

          福祉用具の実際【訪問リハビリ編】

          最近は福祉機器展などでも最新テクノロジーを駆使した福祉用品が立ち並んでいますよね。でも、現場で働いている身としてはまだまだそんなハイテク機器は使用したこともありません。今日はそんな現場でもここ数年の間によく目にするようになった商品をお伝えしようと思います。 ポータブル昇降機 これは階段昇降ができない方でも、座りながら(または車椅子のまま)降りることのできる福祉用具になります。一昔前までは、階段を工事するか低い階段であればスロープをかける方法もとられていました。しかし、段数

          福祉用具の実際【訪問リハビリ編】

          #26.私の宝物

          今日も朝から家の中から怒声が聞こえる。 「嫌よ!絶対に行かないからね!」 デイサービスの送迎でこの方の家に来ると必ず起こる一悶着。 この方は80代の女性。認知症を患っている。ご主人と二人暮らしで週2回のデイサービスが日課だ。始めのうちはも拒否なく通えていたのだが、認知症の進行とともに拒否が目立ち始めた。 夫の説得によりようやく送迎車に乗り込む。乗車後も「どこに連れて行くのよ!」「家に帰しなさい!」といつまでも大声で怒鳴るため、他の利用者もこの女性を避けるようになっていった

          #26.私の宝物

          #25.認めてほしい

          介護生活は大変だ。特に娘はよく介護者になり得ることが多く『母の介護が大変なのよ』という言葉を耳にする。 買い物から部屋の掃除、調理などいくら時間があっても足りやしない。繰り返しの毎日に疲弊している。 さて、いつものように娘が仕事から帰り、買い物袋から買ってきたものを冷蔵庫に入れている。その後はすぐにご飯を作り、お母さんを起こして二人で食事。入浴はお母さん一人でできる。このお母さんは介護度が低く身の回りのことは大抵一人でできる。 日常の会話は大概が娘の苦労話。 『今日もバ

          #25.認めてほしい

          #24.妻は施設に、夫は家に

          老老介護(高齢者同士の介護)、認認介護(認知症同士の介護)という言葉が囁かれて数年。今、在宅の現場はこういった世帯で溢れている。 私は理学療法士として、在宅でリハビリに関わっているが、どうやってこの夫婦は過ごしているのだろうと疑問に思う家庭もある。 妻は脊柱菅狭窄症。腰痛がひどく、数分立ち仕事をするだけで立っていることもままならない。もちろん調理もほとんどできず、唯一作れるものは味噌汁だけ。認知症もあり、家事をやったのかは覚えていない。時々目の前のゴミを拾ってゴミ箱に捨て

          #24.妻は施設に、夫は家に

          #23.されどあるくこと

          リハビリの現場ではよく外歩きが提案される。読んで字のごとく“ただ外を歩くだけ”の練習だ。 私は病院勤務時代はこの練習に否定的だった。ただ歩くだけなら誰でもできる。セラピストと患者が楽しそうに歩いている姿をリハビリ室から眺めながら自分にはもっと効果的な運動ができる、そう思っていた。 もちろん歩くことの身体への影響は図りしえない。多くの論文でもこのことは証明されているし、だからこそ健康寿命を伸ばすためには歩くことが推奨されている。 時は10年が経ち、今私は在宅リハビリという

          #23.されどあるくこと

          #22.リハビリなんてやりたくないの

          ケアマネジャーからよくこんな依頼が来る。 「絶対リハビリ受けたほうがいいと思うんですが、なかなか首を立てに振らなくて、、なんとか話だけでもしてもらえないでしょうか?」 利用者の中には家に誰かを入れたがらないことも多い。実際に私が同じ立場でも少し嫌かもしれない。しかし、リハビリをしないと介護者の負担が増えてしまうかもしれないので、説得をするのも我々の役目である。 初回の顔合わせ。玄関のドアが開くと、まるで悪人を見るかのような目つきで中から覗いている。まずは相手に波長を合わせ

          #22.リハビリなんてやりたくないの

          人気記事まとめ

          noteを始めて1ヶ月。拙い文章ですが、少しずつ見てもらえる記事が増えてきました。これも全ては皆様のおかげです。本当にありがとうございます。私の中でビュー数が100回を超えた記事をご紹介します。まだ見ていない方はぜひご覧ください☆ これからも、リアルな介護現場を届けていきますので、お暇なときにでも目をとめていただければ幸いです。

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          #21.おばあちゃんにはなりたくないの

          膝が痛くて歩けない すぐ疲れちゃって長い距離歩くのが大変なのよ 腰が曲がってきてね、、 歩くことに悩みを抱えている方は多い。今まで普通に行えてきたことが、意識しないと歩けないのは辛いことだ。 今は便利な世の中になった。膝負担を減らせる様々な杖の他、歩行器、歩行車など一昔前に比べると見た目もオシャレになってきている。ブランドものの介護用品もあるくらいだ。 しかしながら、こういった歩行補助具を提案すると 『わたしはまだ、おばあちゃんじゃないのよ』 と言われる。 歩行補

          #21.おばあちゃんにはなりたくないの

          #20.幸せの感じ方

          私はよく病気になった方の動画や本、ブログを読む。その中で、今生きていることはとても幸せなこと、明日を迎えることができるだけで幸せなこと。 といったメッセージを聞くことがある。 頭では理解しようとするのだが、長続きしない。その一瞬は心に響いているのだが、次の日に同じ感情でいられるかと言われるとそういうわけでもない。 なぜ、人は自分が幸せなことに気づかないのだろう。 病気ではない当たり前のことのようで特別なこと。まずはそんな健康なことへ感謝できる自分でありたい。そして例え病

          #20.幸せの感じ方