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マガジン「NINE INCH NAILS: 1988 - 2000」について

2023年現在、ナイン・インチ・ネイルズの情報や記事はインターネットで数多くのものが読める。しかし1988年から2000年くらいまでの活動期間に限って言えば、日本語で書かれたものはそれほど多く残っていないように思う。トレント・レズナーはインタビュー嫌いという割には海外のテレビや雑誌ではよくインタビューに応じていた。しかし日本では1999年くらいまでは有名な音楽雑誌で大きく取り扱われることはさほど多くなく、音楽ファンの間でも少しマニアックな、例えばインダストリアル・ミュージックあるいはそれに近いテクノのリスナー、キーボードやシンセサイザーが好きな人たちがナイン・インチ・ネイルズの存在を気にしている状況だった。初来日公演が2000年になるまで行われなかったことも関係して、日本の音楽ファンと距離が離れていたのだろうと思う。

1990年代の半ばころから日本でもインターネットが一般家庭に普及し始めた。多くのファンは毎日のように海外のサイトにアクセスをして、少しでもナイン・チンチ・ネイルズとトレント・レズナーの動向を知ろうとした。人によってはWebサイトを作って海外の雑誌記事を翻訳したり、自分が手に入れた情報を発信していた。Webサイトの出来栄えは玉石混交であったが、中にはナイン・インチ・ネイルズの公式サイトからリンクを張ってもらっているほどのサイトもあった。そうしたWebサイト内にほぼ例外なく設置されたBBSやチャットでファンたちはいくらかスノッブな雰囲気も漂わせながら、夜の22時から朝方までナイン・インチ・ネイルズに対する情熱を競うように、そして楽しく語り合っていた。

しかしそんな時代から数年もすると、管理者が仕事やその他の理由で維持が出来なくなり、個人が作成したWebサイトは次々に閉鎖していった。そこで扱われた情報はアーカイブされず、ほとんどが霧散してしまった。

このマガジン「NINE INCH NAILS: 1988 - 2000」はその霧散してしまったと思われるナイン・インチ・ネイルズの活動や作品についての情報をインターネットに残すことを目的としている。更新頻度についてはお約束ができないが、全7回を予定している。

情報や引用の多くはいくつかの雑誌が過去に行ったインタビュー、ナイン・インチ・ネイルズの情報に特化したWiki(https://www.nin.wiki/)と日本盤CDに同封されたライナーノーツを元にしている。極力事実のみを残すようにしているが、筆者自身の個人的な感情や思い込みも含まれていることは承知していただきたい。

マガジンの構成はリリースされたオフィシャル・アルバムごとのレビューという体裁を取っている。その作品がリリースされた、そしてそのようなサウンドになった必然性について少しでも理解の助けになればと思い、作品の情報だけではなくそれらがリリースされた当時のロック、ポップ・ミュージックにまつわる空気感などについても資料や筆者の(あまり当てにならない)記憶をもとに書いている。

このマガジンを読んだことによってナイン・チンチ・ネイルズのリスナーがその音楽をより一層楽しめるようになってもらえたらこの上ない幸せだ。

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