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もしかしたら異種族間BLかもしれない話

※再掲です

私の家にはペットがいます。かわいいかわいい目に入れても痛くないような存在が、なんと2匹もいます。
1匹は、哺乳綱食肉目ネコ科ネコ属イエネコのアッシュくん(♂・もうすぐ4才)

あざといけど人間年齢で28歳。おっさん。


もう1匹は、爬虫綱有鱗目トカゲモドキ科Eublepharis属ヒョウモントカゲモドキのひなたくん(♂・3〜4才)

爬虫類は苦手な方が多いと聞いたのでイメージ図(私の持ってる爬虫類LINEスタンプ;『りくお』さんという方のやつなので気になる方は見てみて!)


どちらも私の愛おしい家族ですが、実は先に住んでいたのがひなたで、後から来たのがアッシュです。

ひなたは私が高1の頃、後輩が部活(化学部兼生物部だった)で飼っていた雄雌2匹を繁殖させた結果できた子で、たくさん生まれたので部員でペット飼える人に里子に出そう!ということでうちにもやってきました。ちなみに、

「生まれすぎちゃって飼えないから、なんとか引き取ってくれる人探さなきゃ…誰かいないかなどうしよう…ワルツ先輩、お家ってペット可ですか??」

みたいなのを想像しているなら違います。当時ヒョウモントカゲモドキといえばブームになりかけの時期で、テレビでも動物系の番組で度々紹介されたりとかなり人気の爬虫類でした。
うちの部活である科学部でも、長年の間部のアイドル地位とマスコットキャラを守り抜いてきたハリネズミさん🦔を差し置いて、一気にトップスターに踊り出る大躍進。部員以外の子も見に来たり、生物室掃除の当番生徒がかぶりつきで眺めていたのを覚えています。掃除しなさい。

そんなヒョウモントカゲモドキの子どもが生まれて里子に出されるというんだから、当然争奪戦です。部活の研究に使う個体は何匹か残さなきゃいけないので、数もかなり限られています。そんなわけで私が引き取る頃にはもう最後の一体でした。その一体も同級生と取り合いになって、

「…ジャンケンか……」
「まさかお前と戦うことになるとはな……」
「俺たちに余計な感傷はいらないだろ、やろうぜ」

みたいな雰囲気になってたら、察した後輩が
「あと1匹くらいなら大丈夫なんで、おふたりとも1匹ずつ貰っていっていいですよ」
と言ってくれました。いい子だね、ありがとう。元気にしてるかな。

そんなひなたくんですが、私がついうっかり後輩に誕生日を聞くのを忘れていたせいで「3〜4才」というちょっとサバ読んでるみたいな表記になっています。黄色みの強い個体で、大人しく、くりくりのおめめがとってもキュートです。



さて、ひなたがうちの家族になってから1年経ったか経たないかの頃だと思います。今度は親戚から引き取る形で、我が家に猫がやってきます。キンカローとスコティッシュフォールドのミックスで、ちょっとつぶれ顔の白猫。名前は家族全員が一案ずつ出して、その中から投票で決めました。他の人がどんな案を出したかは覚えていませんが……自分は「にぼし」案を推して、投票の結果父の「アッシュ」案が採用されました。お顔の半分としっぽがアッシュグレーで、お腹にもグレーのまんまるい模様があるかららしいです。食いしん坊で人懐っこく、猫にしては珍しく全く人見知りをしない子です。水が好きでよく風呂場に侵入し、寒いところが好きでよく冬場にベランダへ脱走します。たまに本当に猫なのか疑います。

ここまで読んで、ふと思った人もいるでしょう。「猫と爬虫類、一緒に飼っても大丈夫なの…?」
そう、前置きが長くなりましたが今日のテーマは『共存の話』です。

アッシュくんは猫なのでお家の中を縦横無尽に駆け回りますが、ひなたくんは基本『ケージ』と呼ばれるアクリルの箱の中で暮らします。中には水飲み場や身を隠せるシェルター、ちょっとした遊び場用の流木などが置いてあります。
ケージは透明なので飼い主が外から見れるようになっています。猫からももちろん見えてしまいます。とはいえ、ヒョウモントカゲモドキは滅多なことが無い限りケージの中をバタバタと飛んだり跳ねたり移動したりすることはありまん。基本はのそのそと動き、水を飲んだりご飯を食べたりする時以外はシェルターの中(これは陶器製で、外からも見えない)に引きこもっていることが多いです。

一方猫は、本能が残ってはいるので素早く動くものや見え隠れするものに対しては興味を示し攻撃を仕掛けますが、野生で暮らしたことは無いので動かない爬虫類を『獲物』として認識することはないはずです。ないはず……なんです…。

「ただいま〜」
「おかえりワルツ、今日アッシュがひなたのケージの上乗ってたよ」
「え、は!?」

結論から言うと、アッシュはひなたに興味津々でした。ひなたのケージは壁に設置された本棚の一段に収まっているのですが、ぴったりはまっているわけではなく、上にはギリギリ猫が体を突っ込める分くらいのスペースがあります。
幸い、ケージには蓋がささっていますしその時ひなたはシェルターの中に居たみたいなので大丈夫でしたが、ひなたが外に出ていたらきっと怖かったことでしょう。私は慌てて原因究明に走りました。そしてここから、私とアッシュのひなたを巡った攻防戦が始まります。

何故アッシュがひなたにそんなにご執心なのかはともかくとして、どうやってケージまでたどり着いたかについては簡単に判明しました。近くにあるテーブルから本棚までジャンプをかましたのです。ならば、テーブルと棚の距離を離せば良いこと。

〜数日後〜
「アッシュがケージつついてるよ」
「はあ!?」
棚の下に置いていた荷物共が原因でした。片付けました。

〜さらに数日後〜
「ひなた〜かわいいねぇひなたァドウゥェアッッァ!?」
ケージの前で中を覗く私の背中にとてつもない衝撃。白い獣が背中に飛び乗ってきたのです。テーブル⇒ケージは無理でも私の体を踏み台にすればいけると思ったのでしょう。「大丈夫、こわくない、こわくない」をやるにはお前の身体はデカすぎる。重い。お願い降りて。

テーブルを近づけない、近くに踏み台になるような物を置かない、ケージを覗く時は最新の注意を払って、を徹底することでいい加減諦めたのかアッシュがケージに乗っかることは無くなりました
その代わりと言ってはなんですが、彼は遠ざけられたテーブルの端にちょこんと座り、しっぽをパッタンパッタンと振るわせながら毎日のようにじーーーーーーーっとケージの方を見つめるようになったのです。その姿さながらストーカー。

対する日向はというと、これまたケージの外のアッシュの方をじーっと見つめています。
父が言う。「相思相愛だね」
いやいやいやいや。これはあれじゃないでしょうか。目を逸らしたら負けとかいう、野生動物あるあるじゃないんですか?もしそうなんだとしたらこれはとても動物愛護的にまずいです。アッシュには申し訳ないけど、ひなたが安心して暮らせる環境を作らなきゃいけないんだ!

「ひなた、お姉ちゃんの部屋片付けたらお引っ越ししよう…か……」
そう言いながらひなたの方を向くと。ケージの中には、ヒーターが敷いてあって少し温かい場所があります。そこがひなたくんのお気に入りスポット。彼はその上でーー
「ね、寝てる……」
動物の寝ている姿ってなんでこんなに愛おしいんでしょうか。かわいいね。でもお姉ちゃんは少し心配です。そこで捕食者が見つめているというのにそんなに呑気に、
「…パチッ……クアァ………」
「あくび……!?初めて見たよ君のあくび……」
うちの子は絶対野生じゃ生きていけない。そう確信しました。

とはいえやっぱり心配なことには変わりありません。なんてったって動物の心は読めないし、声も聞けませんから。心の中では怖がっているかも、と思うと気が気じゃありません。
なので大学受験が終わってすぐ、私は部屋の本棚を片付けそこにひなたのケージをお引っ越しさせることにしました。
「さーこれで一安心かなっと…」
引っ越しを終えリビングに戻ると、そこには……いつものようにテーブルの端で、さっきまでひなたのケージがあったはずの場所をじーっと見つめるアッシュの姿が。

「…ごめん……ごめんねアッシュ、そこにはもうひなたはいないんだよ。君は猫で、あの子は爬虫類で、一緒には居られない。居ちゃいけない運命なんだよ……ごめんね…」

涙をこらえる私に、父が声をかけます。
「いいこと思いついた」
父が持ってきたのは、昔ひなたがもう少し小さい頃に使っていた今より一回り小さいケージ……と、1000円ガチャでゲットしたヒョウモントカゲモドキの等身大フィギュア。
「これを、こうしてこう」
ひなたのケージがあった場所に、フィギュアの入ったケージを設置します。

「ほらアッシュ、ひなただよ〜」
「………パタンッパタンッ(興奮してる時のしっぽの動き)」
「ケージ乗ってもいいんだよ〜」
「カリカリッカリカリッ(ケージを引っ掻く音)」
うちの子……結構おバカかもしれない……

ちなみにこの誤魔化しは1年と保たず、たまたま私が部屋に入る時に滑り込んできたアッシュにひなたのケージが見つかり、以来隙を見つけては私の部屋に侵入しロフトベッドの上から目ェガン開きでケージを見つめるようになりました。アッシュは私の部屋立ち入り禁止にしました。


というわけで、猫と爬虫類は共存できない!……というのは人間から見た推察であり、もしかしたら本当にひなたはアッシュのことを何とも思ってなくて、あるいは相思相愛なのかもしれませんね。でもそれは、私とひなたの意思疎通が可能にならない限りは永遠に分かりません。いつか私が死んで、虹の橋の向こうでひなたとアッシュがめっっちゃイチャイチャラブラブしてたら「ああそういうことだったんだなごめんよ」って思うことにします。


※書いた後でやっぱりかわいいうちの子自慢したい欲が増したので後でひなたの方の写真も載せる……

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