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【GTO+】模擬戦機能(Play against the solution)について

いつものターンの集合分析は一旦置いといて、面白い機能がGTO+に導入されたので、特集記事を書きました。

●GTO+(v1.2.1)の機能について

GTO+にアップデートが入って、こんな機能ができました!

まだベータ版のようなので、GTO+公式サイトの緑色の先行バーションでお試しできます。青色の現行バージョンでは、まだできません。

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ちなみに、GTO+のソフト自体の詳細については、前記事をご参考くださいね。


●「Play against the solution」(機能編)

「Play against the solution」は、GTO+で解析済みのツリーについて、実際に自分でアクションを体験できる機能です。

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Heroには、ポジションのレンジに含まれるランダムなハンドが配られ、アクションを選択すると、その場でEV値と頻度(%)を教えてくれます。

従来のGTO解析ツールという機能から一歩進化し、解析したGTOを使って、GTO相手に模擬戦ができる機能です。


●PokerSnowieとの違いは?

同じようなトレーニングソフトとしては、PokerSnowieも有名です。

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GTO+「Play against the solution」とPokerSnowieとの違いを挙げてみます。

「Play against the solution」は…

・SnowieのAI(人工知能)ではなく、GTOに基づくEVと頻度を算出

・価格は購入時の$75.0買い切り設定

・プリフロップのハンドレンジに設定が必要
⇒模擬戦できるのは、ポストフロップのみ

・計算機で既に解析したシチュエーションのみ、模擬戦が可能
⇒採れるアクションの選択肢(複数のBetSize等)は、解析時のBuild Treeで組み入れたBetSizeのみ選択可

・ヘッズアップのシチュエーションに限定
⇒GTO+がマルチウェイに対応していないため

・アクションごとのEVと頻度(%)を表示するのみで、アドバイスはない


●「Play against the solution」(使い方編)

GTO+ユーザーのため、使い方の手順を書いていきます。

1.Databaseに解析済みのデータセットを入れてあることを確認し、右上のカードのアイコンを選択します。
(下図では、まだデータセットの9通りしか解析されていませんが、これで9通りのフロップで模擬戦ができることになります。)

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2.おもむろにポーカーテーブルが出てきたら、「SIT DOWN」を押してみます。

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3.あなた(Hero)にレンジ内のランダムなハンドが配られます。早速アクションを選択すると、相手のアクションが返ってきます。

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上図①・②・③におけるオプションが意味するところを書いていきます。

①ゲームスピード・表示機能のON/OFF
Speed…ゲームの進行スピードを(Normal/Faster/Fastest)で変更できます。
Show performance…GTOの期待値に対し、現時点の収支差分を表示します。
Show equity…相手のレンジに対してハンドが持つEQを表示します。
No hints/Training mode/Show solution…トレーニングモードの変更
 No hints…アクションごとのEVおよび頻度を隠します。
 Training mode…GTO頻度0%のアクションを選択するとエラーが出ます。
 Show solution…アクションごとのEVおよび頻度を常に表示します。
※CTRLキーを押すと、設定に関わらずEVおよび頻度を表示します。

②プレイヤー・システム

Play versus…Databaseまたは選択中のツリーのどちらを対象とするか
Hero is IP or OOP…操作するプレイヤーを(IP/OOP/ランダム)とする
Export to FlopzillaPro…模擬戦を別ソフトのFlopzillaProと連携するか

③追加オプション
Drill the current decision…②Play versusでcurrent treeを選択している時のみ
 特定のストリートを繰り返す仕様にする
Lock hand for hero…Heroに特定のハンド(レンジ内に限る)を任意に選ぶ

4.一旦中断したい時には、「STAND UP」で中断できます。

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5.レンジやBetSize、データセットを修正すれば、また模擬戦の内容も変わっていきます。おそらく1回目では上手く設定できないので、徐々に改善していきましょう。

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●(補足)FlopzillaProでのリアルタイム解析

ちなみに、GTO+の「Play against the solution」は、簡単にFlopzillaProと連携できるようになっています。

上のGTO+公式動画の導入部分で、模擬戦の内容と連動し、リアルタイムでEQ分布などが更新されていることがわかります。

ただ、GTO+単体で十分動かすことはできるので、FlopzillaProによるグラフ化は、あくまでオプションとしての位置付けです。


●使ってみた感想

参考までに、今回の機能を使ってみた私個人の感想です。

【良い点】
・既に解析済みのデータセットを使うため、アクションを選択した後のソフトの反応は、かなりスムーズに進んでくれる。
・フロップ1つに対しても様々なハンドでシミュレーションできるので、複数のフロップを用意すれば、ほぼ無限に練習できる。
・IPとOOPのポジションを変更し、1つのデータセットがあれば、オリジナルとコーラーの両方のレンジで模擬戦ができる。
・ShowEquity機能は便利。例えば、下図のBBvsBTN(3bet)におけるBB側J9ハイでも、BTNのレンジに対して30.0%のエクイティがあることに気付かされる。

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【悩ましい点】
・PokerSnowieと違い、前準備としてデータ解析の手間が必要。
・練習中でBetSizeの選択肢を増やす場合など、Treeを修正するたびに計算機で解析する必要があるため、時間がかかる。
・FlopzillaProの連携は、都度都度GTO+と見比べたりしていると、若干テンポが悪くなることもあり、そこまで要らなさそう。
・Performance値は、個別のハンドごとに得られるEV値の多寡までは考慮しないため、あまり参考にならない。

【総括】
GTO+ユーザーにとっては、素晴らしいツールといえます。
従来の代表的トレーニングツールSnowieに比べ、インターフェース等で劇的に進化したわけではないものの、AI特有の「時折、根拠がわからないアクションを推奨する」というネガティブな要素を排除し、GTOに即したトレーニングをすることができます。
アクションを選択してからのレスポンスも早く、ストレスなく反復して模擬戦ができます。
また、ポーカー教材としても、GTO解析ソフト+トレーニングツールを併せて$75.0と考えると、かなり良心的な価格設定であるといえます。

一方で、トレーニングを始めるまでに手間と時間はかかります。
Snowieと違い、プリフロップのレンジ設定や、途中のTreeを事細かに編集する必要があるからです。
その点で、GTO+に馴染みが無い方には、取っ付きにくいかもしれません。
(模擬戦だけやりたいユーザーにすぐ使えるような、GTO+の解析済みファイルをアップロードできればいいのですが…。ちょっと検討します。)

あと、中々地味なトレーニングツールです。
チップが動く効果音もなく、Snowieのようにスタッツやエラーレートもないので、どちらかというと座学感が強い印象です。ポーカーをもっと楽しみたいというレクリエーショナルプレイヤーには向かないかもしれません。
それよりは、「強くなるためにGTOは勉強したいけど、GTOで毎回解析するのが面倒」「効率的にGTOのイメージを掴みたい」という方にお勧めです。


ということで、今回の特集記事は以上です。

この模擬戦機能も含め、GTO+1.2.1はまだまだベータ版なので、これからのアップデートにも注目が集まるところですね!

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