つまらない男

ウィル・スミスがアカデミー賞のセレモニーで
クリス・ロックのジェイダ・ピンケット・スミスに対する発言に激怒して暴力を振るった


暴力は
他人に恐怖を与えて

恐怖は人をコントロールする

感動とか共感とか
喜びとか
そういうものよりもずっと簡単に。

抑止力
なんて言っても

戦争だって
体罰だって同じ事だ


その安易さに
人はつい手を染めたくなるけど

ダークサイドに落ちたら
そう簡単に戻ってくる事はできない


その暴力の根底には
ウィル・スミスなりの正当性があったんだろうけど


正当性を暴力以外の方法で主張したら
クリス・ロックが後に謝らなくてはいけなくなる可能性が高かった筈なのに


いまや被害者と加害者の境界線はあやふやになってしまった

(そもそも被害者はジェイダ・ピンケット・スミスだ)

やはり暴力は何も解決はしない
人間なんだから。




ところで


日本のテレビでタレントが
「暴力もいけないけど、気持ちはわかる。それよりあのコメディアンの発言に聴衆が笑っていた事に驚いた。日本だったらあの発言で笑いが起こるのは考えられない」
と言っていた


本当にそうかな

日本のテレビだって
いや、もう世の中が
さんざん人の事を小馬鹿にした笑いを許容してるじゃないかと思う

シニカルな笑いって
もっと体制とか権力とか
ポピュリズムとか
そういうものに向けられるべきもののはずなのに

お笑い芸人が
目上の人を小馬鹿にするみたいな構図の時

言われた側は笑ってやり過ごさなきゃいけない

不機嫌になったり
言い返したりしたら

空気の読めないヤツだとか
扱い難いとか

イジリがわかってないとか言われるんだ


そんなモノが笑いで
それが面白い人間なら

僕は一生

笑いがわからなくて
つまらない男でいいやって思う

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