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読書記録#007 「超」入門 失敗の本質(鈴木 博毅 著)

太平洋戦争時の日本軍のさまざまな事例から失敗の本質を学ぶ、こちらの本をご紹介します!

1.概要紹介

名著「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」(1991/8/1発売)を現代のビジネスにも照らし合わせて分かりやすく紐解いた解説本。

2.どんな人に読んでほしい?

  • なぜ日本のビジネスはこんなに弱くなってしまったのか知りたい人

  • 原書が難解で挫折した人

3.本から得た学び・エッセンス

  • 「戦略」とは追いかける指標のことであり、その指標の有効性により勝ち負けが決まる。 例えば、太平洋戦争における航空戦では、前半は日本軍の零戦の旋回能力の高さ(指標)により戦況優位だったものの、米軍はこの旋回能力という指標を発見し(既存の指標を発見)、二機一組で零戦に対峙して狙われたもう一方の機体が零戦を追撃する戦法に変えたことで(敵の指標を無効化・新たな指標で戦う)米軍が圧倒的優位に変わった。

  • 現代のイノベーションも同様の仕組みで起こる。日本の家電メーカーが衰退したのは、新しい価値(指標)を生み出さずに、すでに無意味と化した「使い切れないほどの高機能」を追求し続けた結果であり、この原理による。一方、ジョブズのAppleは、iMacやiPhoneでイノベーションを起こした。デザイン性や感覚的な操作性でユーザの支持を集め(既存の指標を無効化)、スマートフォンという新たなデバイスで儲けを出す仕組みを作りだした(新たな指標で戦う)

  • 米軍は、現場をよく知り、実戦で優れた成果を上げた者を昇進させた。一方、日本軍は、上司と組織の意向を汲んだ者を要職につけた。これが、戦果へ大きく影響していった。また、日本軍は戦況に対するコンティンジェンシープランを持たなかったことも悲劇的な大敗の一因。


4.さいごに

会社組織としても学ぶところ多いですが、ちょうどコロナ禍2年目の夏のころに読み終えたこともあり、当時の読書記録に「コロナ禍において偉い政治家さんによく読んでもらいたい…」と書いてありました。
以前「昭和史1926-1945」(半藤一利 著)を読んで、日本軍大本営の「エビデンスないけど、まあ行けるっしょ」の精神で敗戦まで突き進む様子を目の当たりにして言葉にならない気持ちになりましたが、この本を読むと、その組織のありようが分解して理解できるのと、現代の日本とも通ずるところがあって、ゾッとします。
そして、自分には何ができるだろうかと考えさせられました。「上の人が言ってるから、まあ行けるっしょ」とならいように気を引き締めたいです。

読了日:2021/08/08