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プレゼント

わたしが初めて「もの」を贈ったとき


そこにはたしか、明確な理由があったんだ



そう
この先、どんなふうになるかわからない


たとえば
実家の大黒柱が倒れて
もう自由に時間やお金を使うような余裕がなくなって
フェードアウトせざるを得ない状況になった時

たとえば
東北か中部か どちらかに大地震があって
家が壊れたりライフラインが途切れたりして
連絡できなくなって離れてしまう状況の時

たとえば
ただごく単純に
喧嘩して、嫌うか嫌われるかして別れる時

そんなときに…

「もの」が視界に入ることで
そこに私が関わっていた、ということを
思い出すキッカケになるんじゃないかという


無論
3番目の理由で別れたとしたら
そのキッカケはただの荷物だ


でも

いずれ処分されるにしても、
憎悪の対象になるとしても、
それでも、

「もの」が視界に入ることで
一瞬でも

「思い出す」というエネルギーが
発するんじゃないかって
発してほしいって


普通に聞けば
陰湿極まりない動機


見返りとかそういうのじゃない


終わったら そのまま消えてなくなるんじゃなくて


過去のどこかに私がいたような


跡をどうしても残したいなんて



その初心はもはや忘れ去られ、何の意味も持たない
すでに「私の証拠」であふれかえってしまっているからだ


私が一番最初に贈ったプレゼント


そこにしか、本当の意義はもうないのだ


#ひとりごと #詩 #エッセイ



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