子供の頃　プールの底に座って水面を見るのが好きだった
プールの底で　仰向けになって水面を見ることも
揺れる水面の光は絶えなくて
希望に満ちた小さい頃　それは沈むことのない太陽のようだった

誰かが水の中に入ってきた
たくさんの泡が　水面付近に壁を作る

音は聞こえるけど　はっきり聞こえない
何を言っているのか　分からない
それが時々怖くて　時々楽しい

水中で会話をしようとしても　言葉は泡と化す
全てが水に揺れて　はっきり見えなくて
それでも　見えるものは見えていた

もしキミが　言葉に出来るようになったら
泡の言葉で教えてくれるかな？
海の生物みたいに　お互いにしか分からない言語だといいな
キミが話しやすくなるから
しっかり聞くから　ずっと待っているんだ

揺れた水面でも　キミがつらいのが見えるんだ
そんな顔をしないで

キミに向かって　手を伸ばしているんだけど
それはキミに見えるんだろうか
すぐに見つけてくれなくても良い
もし手を伸ばし返してくれたら　キミの手を必ずつかまえるよ
今度は離さない
見えなくなってしまってごめん
誤魔化してばかりにさせてごめん

沈まない太陽なんかないって　大きくなったら分かるんだ
物事を知るって良いことのはずなのに
知らないままでいたいことは　信じられないほど多い

またプールの底から水面を見てみる
ずっと明るいから錯覚を起こす
あぁ夢だったら良いのに
これは白昼夢だろうか

キミには水面の明かりが見えるのだろうか
上ばかり向いていたら　疲れちゃう
だから上を見てって言えない
そんな言葉こそ泡となって欲しい
キミの耳に届いて欲しくない

ずっと待っている　キミの言葉
水中の言葉みたい
２人にしか分からない　その言葉
キミの言葉を待ち続けるよ

いつか自由に泳げるよう祈りながら
今日も待ち続けるよ