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木漏れ日に 花をたずねて 心晴る

 昨年の春、眼科での診察を終えて帰る道すがら、我が家からそう遠くない所にカタクリの群生地を見つけた。その時は残念ながら花の時期を過ぎていた。ほぼ1年ぶりとなる先日、同じ眼科からの帰りにその群生地を覗いてみたら、ちょうど花の時期であった。春の柔らかな日差しが漏れるクヌギ林の斜面に、薄紫の花が咲いていた。花は、百合に似た形状で、地面に向いて咲いている。

 クヌギ林の下は背の低い笹に覆われており、薄紫のカタクリの花は笹の葉の間にポツポツと見える感じだった。地面一杯に花が咲き乱れている様子を想像していたので少しガッカリしたが、メゲずに木漏れ日の中を歩いていると、日の差さない斜面に二輪草の花が咲いているのを見つけた。二輪草は濃い緑の葉の上に伸びた細い茎の先に白く可憐な花を付けている。予想もしていなかったニ輪草の花を鑑賞できて、すっかり気分が回復した。また、そのすぐ脇からは湧水が出ており、小さな池とせせらぎを作っていた。カタクリだけではない豊かな自然が、未だに残っていることが嬉しかった。

 帰り際に、出入り口の近くの小屋の前に立つガイドと思しき人を見つけたので、今年のカタクリの花の咲き具合についてを尋ねてみた。花の咲き方そのものは例年通りだが、笹の刈り込みが足りなかったせいで今年は花が目立たないのだと教えてくれた。更に、カタクリは桜の開花と時を同じくして咲き始めるとか、東北地方のカタクリの花はもっと大きくて紫が濃いとか、問わず語りにカタクリについて色々と話してくれた。

 ガイドは、リタイヤ後にボランティアで引き受けた方だろうと思われた。ガイドが必要なのは花の時期だけだとしても、それ以外の時期には群生地の整備などの仕事もあるに違いない。このボランティアは、自然保護に貢献しながら世間との繋がも保てるので、リタイヤ後の取り組みとして理想に近いのではないかと思いつつ家路についた。

                               (2022.04.15)

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