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被災地に 平安あれと 祈るのみ

達磨大師 立像

 孫達も来て新年会を始めた途端に、能登半島地震の強い揺れを感じた。家族全員が暫くテレビに釘付けになり、新年会どころではなくなった。しかし、心配した津波が、輪島での測定値で1.2メートルだと分かったところで、テレビを消して新年会を再開した。

 現地の情報が入ってくるに従って、徐々に地震の被害の大きさが増していった。ただし、被害の全容が掴めたのは、地震発生から10日も経ってからだった。能登半島の地形的な特異性を踏まえても、実態把握まで時間がかかり過ぎだと感じた。被災地での救援活動も難航しており、これから災害関連死の増加が心配されている。

 災害関連死するのは高齢者が大半なので、同じ高齢者として救援活動の遅れを憂えずにはいられない。そんな想いを抱いていたら、NH Kのニュース番組で、避難生活における高血圧の問題を取り上げた。ニュースに登場した大学教授は、
・血圧が10上がると脳卒中、心筋梗塞などで死亡するリスクが倍になる。
・室温は18度が望ましいが、それより10度下がると血圧が10上がる。
・従って、室温を出来る限り高く保ち、体温を下げないことが重要である。
・また、血液の循環を良くするために歩くことが重要である。
と話した。

 厳しい寒さの中、劣悪な環境での生活を強いられている高齢者の方々は、この大学教授の説明を聞いてどう思っただろうか。「教授、そんなこと言っても無理ですよ。」との声が聞こえてきそうだ。被災地の状況を報じる多くのテレビ番組の最後は、アナウンサーの、「できる限り暖かくしてお過ごし下さい。」で終わる。アナウンサーとしては、被災者を気遣った精一杯の言葉なのだろうが、被災者には虚しく響くのではないだろうか。

 「じゃー、お前だったら、被災者になんと声をかけるのか」と、教授やアナウンサーから切り返されそうだ。人の言葉を批判はできても、自ら言うべき言葉を持たない。言葉ではない、行動だと言ってみても、血圧降下剤を服用しているこの老人にできることはない。ただただ、皆様の無事を祈るのみだ。

(2024.01.24)

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