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聞く前に シナリオありきの インタビュー

野球場前でのラジオ番組のインタビュー

 7月24日、夏の高校野球、西東京大会の準々決勝を観ての帰り、神宮球場の入り口付近で30前後の男性に呼び止められた。腕に巻いた腕章にラジオ日本の文字が見えた。マイクを近づけながら、「少しお話しが伺えるでしょうか。」と聞いてきた。

 その後、次のようなやり取りになった。
「今日は高校野球を観戦に来られたのですか。」
「そうです。」
「今日はとても暑いですが如何でしたか。」
「なかなかの熱戦でとても面白かった。」
「暑さ対策は何かされていましたか。」
「冷たい水を入れた水筒と、保冷バックに入れて冷たいタオルを持ってきました。」
 そして、最後に、
「選手たちを見てどう思われましたか。」と聞かれたのに対して、「とても頼もしく思いました。」と答えたら、その男性記者は、困ったような顔をしたので、期待された答えではなかったのだなと思っていると、記者が、
「試合中にクーリング・タイムがあったり、選手は水を飲んだり、暑さ対策をやっていましたよね。」言った。
「そうでしたね。」と答えながら、これを言わせたかったのだなと思った。

 高校野球についての感想を聞かれていると思ったが、インタビューアーは猛暑についての声を集めたかったのだ。こちらとしては、質問者の誘導に乗らなかったと喜んで良いのか、質問者の意図が読めない鈍感さを憂うべきなのか、どちらだろう。インタビューアーとしては、事前に用意したシナリオに沿ったやり取りにならなかったので、最後に答えを誘導してしまったと言ったところか。

 ラジオ、テレビでは、臨場感を高めるために街頭でインタビューをよくやっているが、全てのインタビューで番組のテーマに即した意見が聞けるとは限らない。「犬も歩けば棒に当たる」ではないが、空振りは覚悟の上だろう。そうだとするならば、私に質問してきた記者は、私が「とても頼もしく思いました」と答えた時に、「この爺さん分かってないな」と思いながらも、「そうですか」と引き下がれば良かっただろうに。「お若いの、修行が足りんのぉー」

(2023.08.03)

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