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2023年のライオンズを振り返る

もう年末ですが2023年の埼玉西武ライオンズを振り返っていきます。

 前半戦のまとめを書いた際には35勝47敗1分けの5位。後半戦は30勝30敗のちょうど5割。一時期は最下位に転落しましたが、5位でシーズンを終えることとなりました。いくつかトピックスを挙げていきます。
 

■先発投手の頑張り

とにかく先発投手が頑張った!髙橋光成・平良海馬・今井達也・隅田知一郎の4投手が130回以上をクリアしましたが、これはチームでは2015年以来のことでした。しかも今年に関しては全員が20代。30歳以上で先発したのはD.エンス(12先発)、本田圭佑(2先発/ショートスターター)のみでした。

2015年
十亀剣(28歳) 152回
牧田和久(31歳) 137.2回
野上亮磨(28歳) 134.1回
菊池雄星(24歳) 133回
 
2023年
髙橋光成(26歳) 155回
平良海馬(24歳) 150回
今井達也(25歳) 133回
隅田知一郎(24歳)131回

四球率が9.0%と高いため「指標映え」はしないものの、先発投手が消化したイニングは860回でタイガースに次いで両リーグ2位。1試合平均で6回を投げ切っていることになります。
(DH制じゃないのに1位のタイガースがスゴすぎる)
また先発投手にとって目標の一つであるQSは86度、HQSは53度でいずれも両リーグ1位でした。約6割の試合でQS、4割弱の試合でHQSなんて山賊打線時代の投壊状態を見てきた者としては信じられません。

平良海馬

ただエース・髙橋光成は来オフにポスティング移籍の可能性が高そう。1人抜けてもすぐに崩壊ということはないでしょうが、将来的には平良・今井もMLB移籍の可能性があるでしょう。二軍・三軍で研鑽を積む羽田慎之介・黒田将矢・菅井信也らの台頭に期待したいところです。 

羽田慎之介

■外野手問題が続く

外崎修汰の内野専念、秋山翔吾の移籍以降なかなか解決しない外野手問題。まずは2020年以降のチーム全体の外野手成績を書き出してみました。

一般的に打力がある選手が集まっているポジションなのですが、wRC+は20年以降ずっと100以下、かつ12球団ワースト。明らかにチーム全体の攻撃力不足の要因となってしまっています。その中でも20・22年は80台の数字ですが、21・23年は70以下とシーズンによっても状況が少しずつ異なるようです。 そのうち具体的にどのような選手が起用され、どのような成績を残してきたのでしょうか。

※外野での打席数上位5選手。打撃成績は外野手としての出場分のみのため、代打や他ポジションでの成績は除く 

20年は内外野をこなすC.スパンジェンバーグが約2/3を外野手として出場し平均以上の貢献。その他は金子侑司・木村文紀・栗山巧と前年までの山賊打線時代のメンバーが並んでおり、秋山がスパンジェンバーグに入れ替わった以外では、若手の鈴木将平が顔を出すようになったのが変化でした。
21年になると岸潤一郎・愛斗・川越誠司と山賊打線には名を連ねていなかったメンバーが増えてきます。そして来日2年目のスパンジェンバーグはwRC+121と平均以上の数字を残したものの、故障などにより61試合の出場だったことと、出場数が内外野でほぼ半々だったため、外野手の成績アップには寄与できませんでした。

C.スパンジェンバーグ

22年にはスパンジェンバーグに代わってB.オグレディが来日。外国人選手の成績についてはこの後の項でも触れるのですが、トータルではまずまずの成績を残しました。それに次ぐ打席数だった愛斗・鈴木が平均以下ながら80前後に留めたことで、この年は前年より改善が見られました。
しかし今年は打席数上位1・2位の愛斗・鈴木がともに伸び悩んでしまいました。そもそも260打席の愛斗がチーム最多というところに起用の苦しさが垣間見えます。また新外国人のM.ペイトンも質・量ともになかなか貢献できず、1年でチームを去ることに。
一方でルーキーの蛭間拓哉、高卒3年目の長谷川信哉が初めて名を連ね、それぞれ80前後の数字をマークしたことが来季以降の光明になりそう。長谷川は内野手登録ですが、来季は外野手登録に変更されることが内定しています。
また愛斗は現役ドラフトで、21・22年にランクインした川越はシーズン途中にトレードでそれぞれ退団。来季は長谷川・蛭間・F.コルデロを軸に、岸・鈴木・西川愛也らのレギュラー争いを繰り広げることになりそうです。 

蛭間拓哉

■外国人野手について

FA補強がなかなか望めないライオンズにとって大事なのが外国人補強です。山賊打線時代はE.メヒア以外は日本人野手のみでした。それが様々な選手がチームを去ったことで、外国人補強で「当たり」を引かないと打線の構築が困難になっています。20年以降の外国人選手の成績をまとめたものがこちらです。

20年は前の項でも触れた通りスパンジェンバーグが内外野を守りながら一定の働きをしてくれたものの、翌年は出場数が伸びずに退団。また功労者であるメヒアは出場機会の問題や衰えもあり平均以下の貢献に終わり、コロナ禍に苦しめられたこともあり21年途中に退団となってしまいました。
スパンジェンバーグは秋山の抜けた外野を埋めつつ、守備位置的にベテランの栗山・中村をフォローする位置づけでしたが、22年からは(24年も含めて)内野・外野1名ずつの体制となっています。22年のオグレディは平均以上の貢献でしたが、三振の多さが目立ったのと尻すぼみ感があり契約延長ならず。元々スペア的に獲得したと思われるジャンセンは、山川が絶好調だったこともあり出場機会が伸びず。全2本塁打をいずれも辛島航から放つという離れ業が目立った程度でした。

B.オグレディ

そして今年はマキノンとペイトンの2名体制。そもそも山川が前年同様に打ちまくることが大前提のチーム編成だったのですが、まさかの戒め。中距離打者であるマキノンは守備・キャラクター面も含めて十分すぎる存在だったのですが、チームが外国人野手に求めるものとマッチせずに退団となってしまいました。またペイトンも前評判は悪くなかったものの、故障が相次ぎなかなか本来の力を発揮できませんでした。

D.マキノン

今オフにマキノンとの契約がなかなかまとまらなかった時期にはヤキモキしていたのですが、代わりに獲得した選手のスペックを見て合点がいきました。外野手のF.コルデロは今季NYYで24試合に出場し71打席で6本塁打。3Aでは82試合350打席で13本塁打、OPS.879をマークしています。そして内野手のJ.アギラーは18年にMILで35本塁打を放ちオールスターにも選出。今季こそ5本塁打でしたが、21年は22本塁打、22年も16本塁打とMLBでも長打力を見せてきました。
円安の影響もありますがアギラーは年俸2億1千万円、コルデロも1億円と球団の期待値の高さも感じます。チーム全体で楽しみな若手はたくさんいますが、来季に関してはこの2人が打たないと話になりません。1年後にこの判断が正解だったと言えることを願っています。

■骨牙コンビの球団記録

ここからは各種記録についてです。22年目ながらチームを引っ張った栗山巧・中村剛也の骨牙コンビ。球団の安打記録、本塁打記録をそれぞれ持っているのは周知の事実ですが、その他の打撃成績はどうか?

今季は中村が石毛宏典を抜いて得点で1位に、安打で3位に躍り出ました。来季は中村が36安打で石毛を抜いて歴代2位に、栗山が14打点で清原和博を抜いて歴代2位になります。名実ともに球団史に遺る存在の2人。まだまだ元気な姿を見せてほしいものです。

中村剛也

■登板表まとめ

毎年更新している登板表ですが今年の結果はこのようになりました。

投球数で言えば21年は髙橋光・今井・松本、22年は髙橋光が3000球以上を投げていましたが、今季は今井の2930球が最多でした。髙橋光は離脱があったのと、全体的に中6日以上の登板間隔が多かったことが影響していそうです。

また登板数では今季からリリーフに転向した佐藤隼が最多。終盤に台頭した田村が2位に続きました。田村は一軍では24登板でしたが、二軍で33登板と投げまくっていました。また三軍中心の登板だった育成の齊藤大・伊藤・三浦が上位にランクインしているのも今年の特徴でしょう。本格的な三軍制が始まり、一・二・三軍が同時開催される日もありました。必然的に育成組の登板も増えました。今季は支配下・育成合計で39投手。3試合をこなすには少し足りない選手数のため、無理して投げる投手がいたことは想像に難くありませんが、それでも登板機会を得られない投手がいなくなったのはいいことです。
来季は三軍制が更に拡充され44投手となる予定。「育成のライオンズ」を標榜しているので、水上由伸・豆田泰志に次ぐ新星の登場に期待したいです。

伊藤翔

■第一生還者賞「天の露」

ホームゲームでは今年も第一生還者賞として新井園本店より「天の露」が贈られました。2年前に調査した際にはマリーンズ・荻野貴司が最多獲得者というまさかの結果になりましたが、今年はどうだったのでしょうか?


1位源田壮亮 7
2位D.マキノン 3
2位佐藤龍世 3
2位外崎修汰 3
2位周東佑京 3
2位万波中正 3
2位頓宮裕真 3
2位藤原恭大 3

今年は無事にライオンズ源田壮亮が1位となりました。WBCでの怪我により一軍初出場が5月末となりましたがそこから約4か月で7個を荒稼ぎ。ほとんどが1・2番での出場だったことが優位に働きました。12月には第二子が誕生した源田。様々な記事から美彩夫人との微笑ましい日常が垣間見えますが、天の露で更に優雅な時を過ごしてほしいものです。
 

5/31 vsT単打で出塁、渡部タイムリーで生還
6/27 vsF単打で出塁、外崎タイムリーで生還
6/28 vsF犠打失敗で走者入れ代わりで出塁、外崎タイムリーで出塁
7/15 vsF単打で出塁、中村サヨナラタイムリーで生還
7/16 vsF単打で出塁、中村2ランで生還
7/23 vsE二塁打で出塁、栗山タイムリーで生還
9/1 vsH単打で出塁、外崎タイムリーで生還

源田壮亮

■よかった記事まとめ

これを読んでくださっているライオンズファンの方には説明するまでもないですが、ほとんどが日刊スポーツ・金子記者の記事です。来季は担当が代わられるのが本当に残念ですが、1年間良質な記事を読ませていただいて本当に有難かったです。
 
「負けたら『次、取り返したい』 僕は好きじゃない」不惑を前に〝ミスターライオンズ〟栗山巧が語った生きざま
https://nishispo.nishinippon.co.jp/article/791474
【西武】佐藤龍世がプロ初3番&プロ初三塁打&頼もしい三塁守備も「チームが勝てれば僕はいい」
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202307250002107.html
【西武】1万2818球から選ぶベストボール スタンド沸かせた佐々木健の1球にあった伏線
https://www.nikkansports.com/baseball/column/bankisha/news/202307260001954.html
なぜ西武新助っ人は日本で打球失速? 原因判明で開眼…理解した“日米の違い”
https://full-count.jp/2023/07/27/post1417162/
【西武】長期遠征を追い掛ける“ガチ”ファン3人に今の埼玉西武ライオンズはどう映っているか
https://www.nikkansports.com/baseball/column/bankisha/news/202308050001690.html?mode=all
【西武】中村剛也の隠れた走塁技術「行く準備はしてました」隙は逃さん!巨体揺らして本塁生還
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202308080001676.html
【西武】長崎出身の隅田知一郎「日本の歴史が、原爆が、忘れられないように」8・9にプロ初完封
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202308090001572.html
【西武】ベテラン栗山巧が今年初のお立ち台で熱い言葉「いい力を皆さんに感じてもらえるように」https://www.nikkansports.com/baseball/news/202308120000023.html
【西武】トップバッター任されるドラ1ルーキー蛭間拓哉は「迷惑が…」と大好物を我慢中
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202308150000814.html
【西武】平井克典が4年ぶり20ホールド到達 タフな役割でのストレス解消法を問いかけると…
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202308170001633.html
【西武】佐藤龍世の流れを読むチカラ 下位打線からの4得点生み、三塁守備でも言葉で今井乗せた
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202308160001605.html
西武の栄光の系譜へ挑戦 23歳の新たな「扇の要」エース高橋光成とのかけがえのない日々
https://nishispo.nishinippon.co.jp/article/793594
リスタートした西武の柘植世那 悔しさ受け止め、正捕手争いへ
https://www.jiji.com/jc/v8?id=20230829baseballstories
【西武】“最後の日産戦士“熊代聖人コーチが古巣日産野球部の吉報に感慨「あの時はみんな…」
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202309110001087.html
【西武】延長戦敗れ今季勝ち越し逃す 古市尊「やっぱ悔しい。あれで負けたので…」決勝点悔やむ
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202309180001312.html
【西武】田村伊知郎が「思い切ってぶち込んだ」好救援で雄たけび 小柄ゆえの悩みもなんのその
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202309230001387.html
【西武】西川愛也が適時打にファインプレー 初アーチの後輩ソフトバンク井上朋也に負けじと躍動
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202309250001421.html
【西武】35歳の後輩引退でも40歳中村剛也は来季以降へ意欲満々「打ちたいなぁ」今季狙う数字
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202309180001472.html
西武の大ベテラン栗山巧の真摯な準備と、支える打撃投手たち
https://www.jiji.com/jc/v8?id=20230927baseballstories
西武・平良海馬が明かす先発転向「成功の要因は2つ」 いきなりの二桁勝利には周到な準備が
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/329822
プロ初2ケタ勝利の西武・今井達也が語る“5.9にキレた”理由 降板後にベンチでブチ切れ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/329880
西武・岸潤一郎はなぜ「センターゴロ」を狙うのか? どん底に落ちた徳島時代、恩師と磨いた“考える力”
https://bunshun.jp/articles/-/65362
「日本を代表するバッテリーになろう」西武・隅田知一郎と古賀悠斗がドラフト直後に交わした約束
https://bunshun.jp/articles/-/66229
「バイメカさんのおかげです」西武投手陣を支える、榎田大樹と武隈祥太の“泥臭い”仕事
https://bunshun.jp/articles/-/66231
西武の鈴木将平、成果と反省の7年目 定位置確保へ「突き抜けられないと」
https://www.jiji.com/jc/v8?id=20231024baseballstories
【西武】ドラフト7位の糸川亮太は縦にも横にも自由自在のシンカーで獅子勝利への糸になる
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202311020001322.html
【西武】充電中の中村剛也に尋ねた「いま何を」「子どもの活躍は」「今江監督は」「この先は」
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202311030001145.html
「痛っ、最悪やあ」右手小指があらぬ方向に…源田壮亮がいま明かす、WBC“あのケガの真相”「レントゲン写真を見た瞬間、先生があれ?って」
https://number.bunshun.jp/articles/-/858678
【西武】西川愛也と羽田慎之介がファンイベントで臨時駅員、ご近所育ち羽田の一番の思い出は…
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202311260000205.html
【西武】「ちょっとは大人になった」という佐藤龍世は背番号変更を伝えるタイミングを探っていた
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202311290000118.html
【西武】西川愛也が12年間追いかけてきた愛斗の背中はもうない 写真アルバムを見返したら…
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202312170001687.html
FA山川穂高のソフトバンク移籍19日発表へ 何度も振り回され釈然とせず取り残される西武ファン
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202312180000797.html
西武・佐藤隼輔「JK役で女装したのですが、スカートの下、ノーパンでした(笑)」/ファン感の裏話
https://column.sp.baseball.findfriends.jp/?pid=column_detail&id=103-20240108-02&from=db_art
 
その他日刊スポーツ・金子記者の有料記事全て
https://www.nikkansports.com/premium/people/detail.html?name=masahito-kaneko
 


■後半戦勝利試合まとめ


●7/22 2-1E

 
●7/25 3-0M

 
●7/26 5-3M

 
●7/29 3-1E

 
●8/1 5-0H

 
●8/2 2-0H

 
●8/4 3-2B

 
●8/8 6-3F

 
●8/9 6-0F

 
●8/11 8-2M

 
●8/16 4-1E

 
●8/17 4-2E

 
●8/20 6-4H

 
●8/25 5-0F

 
●8/31 5-4E

 
●9/1 6-0H

 
●9/5 3-0B

 
●9/6 4-3B

 
●9/8 6-0F

 
●9/9 7-2F

 
●9/10 10-0F

 
●9/14 4-2H

 
●9/17 3-2M

 
●9/19 7-4F

 
●9/20 4-1F

 
●9/21 7-2E

 
●9/23 2-1M

 ●9/26 7-1B

 
●9/27 2-1E

 
●10/3 4-1M

■その他野球以外のトピックス


・#学歴でねじ伏せろ佐藤隼輔
・外崎ボブルヘッド/#外崎ボブル友の会
・「マツコの知らない世界」で取り上げられてピザ屋大行列
・「長い髪で飯がマズい」からの「チームロンゲ」爆誕
・マキノンのXに癒される
・外崎、パテレアンバサダーに就任
・TEXT SAMPLE
・総合的に判断してコンディション的に抹消
・戒め/#埼玉西武ライオンズ戒飯部
 
とても長くなりましたが1年間の振り返りは以上です!
個人的には3月のエスコンFこけら落とし試合、4月の宮崎・鹿児島遠征、外崎ボブルヘッドなどなど楽しい1年でした。来年もライオンズを追いかけ続けます。よいお年を!


TONOSAKI

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