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2+2=22という小1の答えを尊重した結果

ものすごいショートムービーがあったので、ぜひ見てほしいです。

ある小1の子が、「2+2=22」という答えを書いて、散々たる点数を取りました。

先生は、「足し算のしくみが理解できていないのね」と判断し、やさしくペンを使って教えてあげようとします。でも子どもは拗ねて、パァン!とそれをはらい、走り去ってしまいます。

次の日。

ご両親が学校に来られたので、先生はやさしく受け入れ、「大丈夫ですよ」と安心させようとしました。

すると・・・。
とんでもない展開に。

でも、これ、今笑えないことになっています。

ある先進的な教育を謳っている(けど実態を伴わせるリソースを持っていない)小学校では、小1でたしざんを教える前に「1+1はなぜ2なのか」というディベートを行うそうです。

本当に成功するならば素晴らしい教育かもしれませんが、わたしは、「そういうことじゃない」と思います。

子どもがディベートするためには、自分自身に明確に関係があり、損得や進退など、真剣に考えないといけない議題でないと、本気で自分の考えを言語化しようと思いません

もしくは、「アンパンマンとプリキュアはどちらが本当のヒーローか」など、どうでもいいけど身近な題材を二択にするなど、とにかく子どもが本気で頭を使いたくなる工夫が必要です。

小1には学びが「面白い」と思わなくてはいけないんです。最初の1歩なので。「1+1はなぜ2か」を楽しく議論できる小1なんて、わたしの20年の講師生活でも、まぁ、ひとりいるか・・・?いや、小1だと無理かー、って感じです。

子どもがテキトーに言ったことを「なるほど!面白い視点だね!」とほくそ笑む大人の姿が目に見えるようです。

小1にとっての「1+1」は、

(1)目の前に見えているみかんとかえんぴつとか、具体的なモノを、
(2) 一旦、おはじきや数え棒など、抽象的なモノに置き換え、
(3) さらにそれを「数字」という概念に置き換え、
(4) みかんから「かず」という性質のみ取り出して概念で理解したことを数値化して、
(5) 数式に表記して伝える、

という、めちゃくちゃ高度なことを学んでいるんです。

ここは「1+1は2なんだよ」ということを、徹底的に落とし込んで「当たり前じゃん」と思えるまでにすることが大事なのであって、ショートムービーでいうと、先生が、もう一度「ペン」という具体物に戻って目で見せたことは、本当に本当に適切な指導だったのです。

マジでこういう「良かれと思ってとんでもない方向へ子どもを導いている」ことがいっぱいあって、今後、ますます、二極化は進むだろうと思います。

ショートムービーは、最後、痛快に終わるのでぜひ見てみてください。10分足らずです。日本語字幕をオンにして!

追記:

このムービーそのものは風刺コメディなので、そんなに深層心理を探るようなものではないと思います。
日本には風刺の文化がないですからねー。どう受け止めたらいいのか、とまどいますよね。

風刺っていうのは、とある現象が共通認識になってる必要があって、しかも、それって馬鹿馬鹿しいよねという視点がある程度理解してもらえている、というベースが要ります。

なので、「今って、腫れ物に触るように多様性を認めるっていうけど、バカバカしいときもあるよね」って感じですかね。

わたしの追記は、「あながち笑い話でもないことが起きてるよ」ってことです。

笑っていられるうちは平和です。


教育について語ってます。

著書『好きなことだけすれば子どもは伸びる』


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