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働くお母さんを本気で応援する

学童保育事業を始めるにあたり、コンテンツ制作が得意なわたしは、早速、「これなら楽しいし有益だろう!」というコンテンツをいっぱい考えました。

前回のストーリーはこちら↓

ほぼ、自分の中では「こういう場にしよう」という内容が固まっていて自信もあったので、「もういいかな」と思っていたのですが、念のため、音楽教室ミューレ内でターゲットとなり得る方を募り、インタビューすることにしました。


仕事の終わりがたいへん

わたし自身は、「あとちょっとだけ待ってほしい!」というときに、連絡するのがとても大変だったことを思い出していました。

18:00にお迎えに到着しようとすると、そこから移動時間を逆算する必要があります。さらに、仕事のキリを付ける時間、片付けたり同僚や上司に続きを報告したり、着替えたり退出したりする時間、そのようなことを考えていると、結局、退社の30分前には仕事が切り上がっていないと、安全に余裕を持って迎えに行くことが難しいと感じていました。

30分では仕事が終わらないと判断したとき、ただでさえ急ぎたいのに、5分10分でもお迎えが遅れるなら連絡しないといけません。もしかしたら夫に「行ける?」と連絡を取るかもしれません。そうして「今日は遅れます」「今日は主人が行きます」など学童に連絡している間に、あっという間に10分15分。

あと30分、仕上げの残業ができたらいいのに、というときに、結局、30分を伸ばすための手配に30分かかる、だったらバタバタと退社してしまった方が早い、そんなこともあるのではないでしょうか。30分残業すればいいのに、手配などで延びて、結局、子どもを待たせる時間は1時間以上、ご飯も寝るのも遅くなる・・・。

また、30分の残業のために仕事を中断して連絡をすると、その30分のパフォーマンスが激下がりしてしまうと思います。勢いのままできる30分と、中断された30分ではおそらくクオリティが全然違います。

そこで、20時までは連絡なしでも預かるという方針を決めました。子どもにとっても、「来るの?来ないの?えぇ・・・また今日も?」よりも、そのままの流れでいさせてあげた方が気持ちが安定すると思います。

だからといって、単に「長時間預かる」ということではありません。ひとりの働く大人として、1人足分として、しっかり社会に貢献する。「残りの30分」のパフォーマンスを、子どもがいる前と同じようにしっかり上げていきましょう、ということです。

朝の支度がたいへん

もう一点、これもわたしの経験ですが、「預けるための準備」がとても大変だったのを覚えています。お弁当を作り、起こし、ご飯を食べさせ、トイレに行かせ、歯磨きさせ、忘れ物がないように準備させ・・・、これらを自分だってメイクしたり(←女性はここが本当に大変!!)着替えたりしながらやらせ、バタバタガミガミと車に乗せ・・・、押し込むように学童に入れ・・・、これが本当に嫌でした。

子どもだって、休みの日くらいゆっくり寝たいだろうに。おまけに自分もギリギリまで寝たいもので・・・。

そうして、忘れ物だらけ、口の横に歯磨き粉を付け、寝癖でボサボサ頭の我が子を預けて、「あぁ・・・、また今日も、あのお母さん、本当にダメだなって思われてるんだろうな」と落ち込んでいました。この期に及んで、「学童の先生たちからどう思われているか」を気にして、母として評価されているように思っている自分も嫌でした。子どものことじゃなくて、自分の評価を気にしてる自分・・・。

そこで、もうひとつ、「朝は、パジャマのまま、起きたまま連れて来たらいいよ」という方針も決めました。

サービスとして、というよりも、その分、お母さんはコーヒーでも飲んで、ぴしゃぴしゃと化粧水染み込ませて、起きたばかりの子どもと「どんな夢見た?」ってお話して(←ここが一番大事)、そのまんま連れておいで、ってことです。

だって、

ご飯食べさせる
歯磨きさせる
着替えさせる
顔を洗わせる

これらは他人が手伝ってもいいじゃないですか。

でも、「朝起きたとき、お母さんがニコニコして、「おはよう」って言ってお話聞いてくれる」、これはお母さんにしかできないんですよ。

・・・って書くと、「お父さんでもいいじゃない」と思うかもしれません。ここもわたしは疑問で、じゃあ、今、一体、どのくらい、夏休みにお子さんを預けるために「起こして、ご飯食べさせて、お弁当作って、身支度させて、持ち物用意して、学童に送っていく」お父さんがいますか、ってことなんです。それらは全部、お母さんがやって、お父さんは「おはよう、よく寝たかい?(ニコニコ)」ってそりゃないよ、って思うんです。もちろん、やっていらっしゃるお父さんもいるかと思います。が、世の中のスタンダードはやっぱり「女性が面倒見て、働きたいなら女性が無理する」ということになっていると思います。

誰からも応援されていない

そんなことを想定しながら、「働く大人として、学童がどうだったら、って思いますか?」とインタビューしました。すると、予想外の答えが返ってきました。複数の証言を、ひとりの方がしゃべったと想定して、ご紹介します。

いつも謝っている

会社に謝り、上司に謝り、同僚に謝り、夫に謝り、お迎えに5分遅れたといって学童でまた謝り・・・。

自分が働くってそんなに悪いこと?っていつも思っています。もう謝りたくありません。

女性がやるんだなと感じる

職場で男性が「子どもが熱を出したので、早く帰ります」というと、「あれ?奥さんはどうした?」と言われているのを聞きます。そもそも、保育園や学童から「お子さんが熱を出しました」って、まずはわたしに電話がかかってきます。
あぁ、社会って、そういうことなんだな、と感じます。

自分の穴は自分で埋める

仕事で開けた自分の穴は、結局、自分で埋めるしかありません。どこかで無理したり、休日出勤したり。代わりが効かないのでしかたないと思いながら、応援されてないんだなと感じます。

両親が近くにいる女性を見るとうらやましい

自分で選んだ自分の生き方なのですが、近所に両親がいて、独身のころと同じように納得するまで安心して働いている女性を見ると、つい自分と比べてしまって、いいなぁと思います。
子どもたちにとっても、おじいちゃんおばあちゃんちにいたり自分の家にいたりするのと、施設に預けられているのとでは安心感が違うだろうから、好きなだけ働けて、本当にうらやましいと思ってしまいます。

なるほど・・・。

わたしはてっきり、「この時間が開いていたら助かる」とか、「これをやってくれたら助かる」といった意見が集まると思ったんです。こんな心理的なことが出てくるとは・・・。今、令和だよね?と耳を疑いました。まだそんななんだ・・・。働く女性は圧倒的に増えているし、国だって推奨しているはずなのに。

それで、「今、お話を聞いてて思ったんだけど、要するに、預かってもらえるのはいいけど、結局、誰からも応援されていない、と感じてるってことかな」と言うと、「泣きそうです。そうです!」という悲痛な訴えが返って来ました。

子どもの話を聞きたい

では、子育てについてはどう?と聞いてみました。働きながら子育てをするにあたり、学童に何を求める?と。こちらも意外な答えが返ってきました。

「聞いて」「聞いて」に答えていない

やることがいっぱいで、「聞いて、聞いて」という話に全然耳を傾けてあげていません。寝てしまったあとにいつも「ごめんね」って言ってます。

疲れ果てて寝てしまう

学童に迎えに行って、そのまま車の中で寝てしまって、着替えもお風呂もご飯も食べずに朝まで寝ることがしょっちゅうです。子どもの生活リズムに合わせてあげられず、これでいいのか、自問しています。

全部手付かず

すべてが手付かずな気がして、まったく子どもに向き合えていません。何もできていない自分が嫌で、特に夏休みは自分の無能感がすごくて、子どもといるのが苦痛です。

夜の時間がただの作業になっている

本当はいっしょに料理を作って、ゆっくりご飯を食べたいのに、すべてが作業のようにこなしているだけになっています。

申し訳ないという気持ちでいっぱい

どこにも連れて行っていない、とことん追求したいことにも時間を使わせてあげられていない。いつも子どもに申し訳ないという気持ちでいっぱいです。

聞いているだけで辛いです・・・。

その解決策は、「仕事を辞めればいいのか」「学童で長時間預かってもらえばいいのか」、というと、そういうわけではないそうです。苦しい立場がよく伝わって来ました。

個別対応で解決しよう

働く女性たちの話を聞いて、サービス満点が解決策ではないということがよく分かりました。また、「預かっている間、いいことをする」ということも、「自分の満足いく子育てがしたい」という願いが叶えられてこそ、ということが分かりました。

他人がやってくれたらそれでいいのか、というと、教育に対する意識の高いお母さんほど、そうではなく、「ちゃんと自分も関わりたい」と思っているんですね。それは素晴らしいことで、なんとか叶えてあげたいと思いました。

よく思い起こしてみると、わたし自身も、子育てにおいて良い思い出になっているのは、「自分がどう絡んだか」ということありきだということに気づきました。

そして、最後に「どんなことをしてほしいか/今の学童にどんな不満があるか」ということを聞いてみました。

これは、みんなそれぞれ、ぜんぜん違うということが分かりました。「誰もが満足のいくコンテンツ」は不可能で、それなりに良さげなものを用意したとしても、果たしてそれが子どもとお母さんの満足につながるかと言うと、それも疑問だなと思いました。

ところで、これらについて、「できるだけの協力はしてるよ」というお父さんもいらっしゃるでしょう。ぜひ分かってほしいのは、これらを「主導する」のと「手伝う」のとでは、大きな大きな精神的な負担の差がある、ということなんです。

「夏のミューレラボ」は、そういうわけで、働くお母さんの味方です。今の日本社会では、どうしても女性の負担の方が大きい。(そうではないご家庭は、それはそれで素晴らしいです)なので、他人がサポートするとしたら、まずは「お母さん」だと考えました。お母さんをサポートすることが、ひいてはお父さんをサポートすることにもつながります。

では、どうやって味方をするか。

わたしは「可能な限りの個別対応をする」ことに決めました。

おひとりおひとりに、「家に帰ったら、子どもと何をしたいですか」と聞きます。それ以外を終えておきます。やりたいことだけ残します。それはご家庭によって違うでしょう。「いっしょに宿題をやりたい」「いっしょにテレビを見たい」「いっしょにお風呂に入りたい」「いっしょにお料理を作りたい」。全部は無理でしょうから、いちばんやりたいことを残します。

ミューレラボは、どんなにポンコツでも、お母さんを評価しません。だって、わたしもポンコツなりにやってきたから。ポンコツだと思われること、知らしめられることがとても辛かったから。今思うのは、わたしはポンコツではないってこと。少なくとも、他人からそんな評価をされていい人間ではないってこと。

子どもにとっては「かけがえのないお母さんである」ということ、社会にとっては「大切な人材である」ということ、それを尊重します。「誰がやってもいい部分」は手伝います。「やりたいこと」は残します。

どうぞ、余裕のある気持ちで、今しかない、かけがえのないお子様との時間を楽しんで下さい。


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