またき

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またき

読んだ本について書いています。 ノートを読んだ感想やオススメの本などありましたら、お気軽にコメントしてください。

最近の記事

最近のこと

夕方からビールを飲む。 ベランダからは夕日で染まった通りを人々が行き交う様子などが見えたりして、感傷的な気分になった。このグッとくる感じは多分に自己憐憫の要素を含んでいて、それを肴にしてビールを飲んだ。お金がかからなくて良い。

    • iQOSショップ、壊れてないじゃんチュー

      今日は雨がしとしとと降るなか、都内のiQOSショップに行ってきました。数日前からiQOSの調子が悪く、タバコを差し込んでも反応しなくなっていたからです。持ち込で修理をしてくれる店舗は都内でも限られていたので、念の為予約をしていきました。 店舗に着くと早速店員さんから親切に用件を聞かれ、予約していたことを告げると席まで案内してくれました。店内は広々としていて、アップルストアのように綺麗でした。席に着くと年齢確認のために免許証の提示と簡単な用紙に名前などを記入するように求められま

      • マッドサイエンティストと偽りの家族のリトマス紙〜『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』〜

        『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』は本谷有希子が2005年に出版した小説。 舞台は、憂鬱な雰囲気の立ち込めるありふれた片田舎に住む和合家。 父の曾太郎と母の加津子が交通事故で亡くなったのをきっかけに、取り繕った家族らしさがボロボロと剥がれていく。 お正月のおめでたい気分をぶち壊してくれる破壊力のある小説だった。 自分が女優になれると信じ込んでいる次女の澄伽の姿を見ていると痛々しい気分になる。 周囲の人も臭いものに蓋状態で澄伽がその才能がないことを触れようとはしない。

        • 秋の夜にうってつけの映画〜『ミステリー・トレイン』を観て

          『ミステリー・トレイン』(1989)を観た。 作品全体にジム・ジャームッシュの独特なユーモアと哀愁が漂っていて、こんな雨の降る夜なんかにみる心地よい気分になる。 いわゆる特定の主人公は据えられていない。エルビス・プレスリーをはじめとるすアーティストを輩出した街メンフィスを舞台に相互にゆるく関係する3組の人物たちの物語が群像劇風に語られる。 パート1:Far From Yokohama ジュン(永瀬正敏)とミツコ(工藤夕貴)はロックンロールの熱狂的なファンで、はるばる横浜から

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        • iQOSショップ、壊れてないじゃんチュー

        • マッドサイエンティストと偽りの家族のリトマス紙〜『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』〜

        • 秋の夜にうってつけの映画〜『ミステリー・トレイン』を観て

          肖像画の裏側〜『黄金のアデーレ 名画の帰還』を観て

          第二次世界大戦の戦渦中にナチスドイツによって違法に没収された芸術作品は、10万点以上にもわたり、その多くは持ち主の元に帰っていないのだという。 本作はナチスに収奪され、法的根拠が薄弱なまま戦後ベルヴェデーレに飾られた『黄金の女性』を取り戻すためにオーストリア政府相手に控訴を起こしたユダヤ人の女性とその弁護士の史実に基づいた物語。 ナチスを逃れアメリカに亡命したマリア(ヘレン・ミレン)と同じく、彼女の弁護士ランディ・シェーンベルク(ライアン・レイノルズ)も作曲家シェーンベルクの

          肖像画の裏側〜『黄金のアデーレ 名画の帰還』を観て

          撮ることと撮られること〜映画『MINAMATA』を観て

          今日はジョニー・デップが主演を務めたことで話題になっている、アンドリュー・レヴィタス監督作品『MINAMATA』を観た。 あらすじは以下の通り。 ジョニー・デップ演じるユージン・スミスは盛りの過ぎた報道写真家で、酒に入り浸った生活を送っていた。そんな時、日本からアイリーンという女性がユージンの元にやってきて、水俣の惨状を写真に撮って全世界に知らせてほしいという依頼を受ける。一度は断るも、彼女が残した水俣病患者の写真を見て、水俣に行くことを決意する。ユージンは川に汚染水を垂れ

          撮ることと撮られること〜映画『MINAMATA』を観て

          自然に配慮する製薬会社〜映画『OLD』を観て

          『シックスセンス』などの監督M・ナイト・シャラマンの新作『OLD』を観た。以下ではネタバレも含むので、ご注意ください。なお画像は『OLD』のものではありません。 あらすじ 舞台はある雄大な自然に溢れる魅惑的なビーチ。 切り立った岸壁で外界から隔てらたこの美しいビーチには、ある秘密が隠されている。 それはこのビーチで働いている急速に人を老させるエネルギーである。 このビーチでの30分は外界での1年間に相当し、24時間滞在すればほぼ50年の時を過ごしたことになる。 そして

          自然に配慮する製薬会社〜映画『OLD』を観て

          恋が愛になるとは限らない -『脳内ポイズンベリー』-

          2015年に公開された佐藤裕市監督による『脳内ポイズンベリー』を観た。 簡単にあらすじを書いておく。アラサー独身フリーターの櫻井いちこ(真木よう子)は、出版社の企画したパーティーで出会った7歳年下の早乙女亮一(古川雄輝)に一目惚れする。駅のホームで偶然再開し、すんなりと付き合い始めた二人だが、アルバイトをしながら美術で生計を立てようとする早乙女と作家として徐々に成功していくいちこは、ちょっとしたことですぐにすれ違う。そんなとき、いちこは彼女の小説の編集を担当してる越智からア

          恋が愛になるとは限らない -『脳内ポイズンベリー』-

          上野の休日

          今日は珍しく日記を書いてみる。 まずは眼鏡を見に上野にある白山眼鏡店に行った。 4年前に奮発して買ったMoscotのDOVもだいぶ使用感が出てきたし、ずっと白山眼鏡の眼鏡がずっと気になっていた。 どうせいい眼鏡を買うならシンプルなものより、凝ったデザインのものの方が高級感がわかりやすい気もするのだけど、目についたのはMoscotのDOVよりもさらにクラシックなデザインのSPM Classic。 鼻パッド(カッコ良く言うとノーズパット)がなく、つる(カッコ良く言うとテンプ

          上野の休日

          『ブレードランナー』

          恥ずかしなら今更ながら言わずと知れたSFの金字塔『ブレードランナー』を観た。ハリソン・フォード主演で1982年に公開されたSFの古典的作品だ。 舞台装置にアメリカ人が考えたアジアが爆発していて、突っ込みどころが満載だったんだけど、想像以上に面白かった。 簡単に粗筋を書いておく。発達した科学技術は,遺伝子操作によりレプリカントと呼ばれる人造人間を生み出した。レプリカントは,製造から数年で感情を持つほに精巧に作られており,知能と体力においては,人間よりも優れていた。そのため,レ

          『ブレードランナー』

          久しぶりの投稿

          8月も残すところ数日だが、涼しくなる気配はまったくない。 茹だるような暑さの上をカレンダーの日付だけが涼しい顔で通り過ぎていくこの感じ。 今年もコロナで里帰りすらしないまま8月が終わりそうだ。

          久しぶりの投稿

          『あの子は貴族』,監督岨手由貴子

          主人公は,開業医の親を持ち裕福な家庭で育った華子(門脇麦)と大学入学を期に田舎から上京した美紀(水原希子)。社会階層という見えない壁で隔てられ,本来出会うはずのない2人の人生が,偶然触れ合うほんの一瞬の様子がとても丁寧に描かれている。 映画の冒頭,みるからに格式の高そうなホテルの一室で華子が親族と元日を過ごす場面を,こんな家庭があるんだ…と驚きと感心の入り混じった複雑な気持ちで観ていた。料理もみるからに高そうだし,実際に僕の半年分の食事を賄えると思う。お昼に白米に冷凍の唐揚げ

          『あの子は貴族』,監督岨手由貴子

          『哀愁シンデレラ』渡部亮平

          あらすじを簡単にまとめると次のようになる。しがない自転車屋の娘小春(土屋太鳳)は,お金持ちの開業医泉澤大悟(田中圭)と出会い,玉の輿に乗る。しかし,幸福な結婚生活も束の間,小春はすぐに大吾とその連れ子ヒカリ(COCO)がどこか異常なものを抱えていることに気が付く。そこから逃げ出すことのできない小春は,ゆっくりと精神を蝕まれ,その異常な家族に取り込まれる。 注)ネタバレを含むのでご注意ください 『哀愁シンデレラ』では,モチーフの反復や場面の繰り返しが効果的に用いられているの

          『哀愁シンデレラ』渡部亮平

          『花束みたいな恋をした』

          『花束みたいな恋をした』の感想。 ネタバレとかなり批判的な部分があるので、注意してください。   1. ストーリーはいたって単純で、麦(菅田将暉)と絹(有村架純)が偶然出会ってから別れるまでの5年間を描いた恋愛をテーマとしている。小説、映画、音楽など多くの趣味が共通していることを知った2人は、たちまち恋に落ちる。  麦と絹が共有する小説や音楽の一つ一つが、2人の絆をより合わせる糸であり、その数が多ければ多いほどその絆は強固なものとなる。2人は共通の趣味であるサブカル

          『花束みたいな恋をした』

          内田百閒 「琥珀」#1

          想像も及ばないほど雄大に流れる時代の流れと些細な日常が触れ合うときがある。内田百閒の「琥珀」は次のような一文で始まる。 琥珀は松樹の脂が地中に埋もれて、何萬年かの後に石になったものである、と云う事を学校で教わって、私は家に帰って来た。(10頁) 酒屋の息子である「私」にとって、酒が漏れないように樽の継ぎ目に塗る松脂は普段からよく目にするものであった。「私」は何万年もの時を経て地中で生成される琥珀の秘密がすぐ手に届くところにあることを知るのである。 学校から帰ると「私」は

          内田百閒 「琥珀」#1

          麻雀と変態異常性欲

          最近友達に麻雀を教えてもらっている。 ずっとやってみたかったのだけど、やってみる機会はなかなか無かった。 今更麻雀を始めることへの気恥ずかしさもあった。麻雀って狭苦し雀荘で悪そうな男たちがタバコをスパスパ吸いながら眉間に皺を寄せて牌をジャラジャラやっているイメージが強くて、そんな姿に憧れていると思われるのが嫌だった。もちろんほんとはそんな荒んだ漢になってみたかったのですが。 誰も僕の麻雀を始めた理由なんて気にするわけないので、ただの自意識過剰なんでけど。こういう自意識はほ

          麻雀と変態異常性欲