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アルバム「DayDreaming」制作日記#2


真っ暗で、
真っ暗で真っ暗でしょうがない、
目を閉じれば目の前に現れる暗闇。

その中に、ひとつ、またひとつと色が違う光が揺蕩うから
私はいつもためらっている。

ずっと続いてほしいとか、楽しいひと時が終わらないでほしいとか
永遠を願ってまぶしい光を取っておこうと必死に集めれば集めるほど
私の手のひらからするりと抜け落ちて
また暗闇に還っていく。

私は本当の光じゃなくていいから、私の空を綺麗に彩ってほしくて
プラネタリュウムを作った。

心の投影機は、昔の思い出ばかりを映し出して
感傷に浸る光を映し出す。

夜の時間は、プラネタリュウムの時間になって
明日の陽を迎える前
想い出の時間。


「ずっと夢見てたのは、誰なのかな」

「私が愛せたのは、誰なのかな」

問いかけの中で、探している。



作られた光をぼうっと眺めていると

いつの間にか陽が昇り

やがて、
私の大好きな歌声が聞こえる。

ねむるまちに、草木が萌えて。
窓の向こうでは小鳥たちが遊ぶ声。

「なにやってもうまくいかない!」

すねたような声が窓の向こうから響く。
…でも、嘆いているようには聞こえなくて。
不思議と頬が緩む声だった。

あの子の笑っている顔が目に浮かんだから
私の暗闇はどこかへ飛んで行ってしまった。
私の白昼夢は
全部全部全部、どこかへ飛んで行ってしまった。


私はプラネタリュウムの電源を落として
窓から少し身を乗り出し、風の匂いを嗅ぐ。
春から夏へ、変わっていく匂い。



歌っているあの子を窓から眺める。
始まりの朝。


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