シェアハウスで凝った料理に挑むな

シェアハウスにはキッチンが1つしかない 当然誰かが使っていれば順番待ちをする羽目になる 今まさに待機中である シャワーを浴びに階段を降りる時にはキッチンは使われていた 空腹だが待たねばならない だが私はそういう待ち時間はそこまで嫌いじゃない なぜなら本を読めるチャンスだからだ 

私は「何でもしていいですよー」といきなり自由を与えられると何故かそれほど見たくもないショート動画や誰も更新してないSNSで時間を潰してしまう愚かな人間だ  

故に、電車移動や病院の待ち時間など制約のある時間は、私にとって待望の「本来やりたかったことが出来る時間」なのである 

夕食を作るためのキッチンの順番待ちという状況もいい塩梅の制約だ 本を読むにはピッタリである ということで朝井リョウのエッセイを爆笑しながら読んでいた 既に半分ほど読み進めていたため30分くらいで読了した 薄いドアに耳を傾けるとキッチンの方向からまだカチャカチャと料理の音が聞こる 

私は思った いや遅せぇよ 

私がシャワーを浴びて保湿をして薬を塗って髪を乾かして朝井リョウのエッセイを読了しても終わらない凝った料理をキッチン共同のシェアハウスで挑むなと理不尽に憤慨してしまう 

今こうして日記なんだかエッセイなんだかよく分からない素人文章をスマホで打っている間もまだキッチンは空かない 名も顔も知らぬ空気の読めない同居人よ早くそこをどいてくれ 

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