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いざ、「信仰」の時代へ

先日、「パラサイト 半地下の家族」を見て参りまして、

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まぁハチャメチャに面白かったんですよ。元々身分を偽って就職するところから始まるので、スパイ映画的な緊張感もあったり、一方でタイトルの通りファミリードラマ感もあったり、詳しくは書けないですが、もはやメタルギアソリッドかな?な場面もあったり、とにかく面白い映画で。

ただ、どうしても脳裏によぎるのは、今の時代を残酷なほどに切り取っていた、あの「ジョーカー」なんですよね。


ネタバレにならない程度に触れますが、とある場面が印象的で..。

主人公となる家族の長男が、就職先の金持ち家族の中で、「果たして俺は馴染めているのか?」と自問自答する場面があって。彼がいる半地下の人々は、お世辞にもスマートとは言えない暮らしをしているのだけど、金持ちの人々は、急なパーティの誘いにも文句なく集まり、スマートにその場を楽しむ。常にどこか余裕がある。

「金持ちだから余裕があるんだよ」

そんなことを誰かが言う。一方で、自分はうまく就職先を見つけても、どこか半地下の"匂い"が染み付いている。それは、強い洗剤を使って念入りに洗っても、簡単には落ちてくれない。


2019年はニュースを見るたびに、SNSの投稿を見るたびに、絶望が一つひとつ深まっていく年でした。あまりにも絶望がひどいので、近い価値観を持つ人と「どうしようもねぇな本当!!」と笑い飛ばすことしかできなくなっていく。

うん、少なくとも未来がよくなる気配がしない。収入は減りそうだし、社会環境も酷くなっていきそうだ。多様性だグローバル化だ差別撤廃だ環境保全だ、それは正しい。絶対的に正しいし、心から支持するけれど、でも世の中全部がそんな人ばかりじゃないから、とても信じられない光景を目の当たりにして、そんなギャップに頭がおかしくなりそうになる。


思えば、トランプ大統領が誕生したことで社会は変わった気がする。それは、ポピュリズムの台頭とか、そういう大きな話もあるけれど、もっと簡単に言えば、「階級間の差を埋めるためには対話など役に立たない。あるのは暴力だけ」ということを可視化してしまったことかなと思ったりするんですよね。

やっぱり「ジョーカー」を観て、多くの人が「まぁ、これは暴力に出てもしょうがないよな」と思ったわけじゃないですか。ニュースに対するリアクションを見ていても、「私刑を許す」ムードが加速しているな..と思ったり。


とはいえ、そう簡単に暴力になんて出る勇気も無いので、ただただ混沌としていく世の中を眺めながら、頭を抱えていく...。ただ悩みに没していく、絶望していく...。でも、今の生活を止めるわけにはいかないから、ループに身を任せて、絶望の流れに身を委ねる...。

そんな人が増えているような気がする中で、勝手に思っているのが「これからは"信仰"の時代が来る」ということ。

何か一つ、無条件に信じられるもの。それさえ信じていられれば、正気を保つことができるもの。

そういうところにもっと需要が集まっていくんじゃないかと思っております。「あれ、なんか同じようなこと言ってなかった?」という方、そう、まさにこの前のKanye Westの記事で同じようなことを書いております。

そんな「信仰」の時代に、音楽、というよりはアーティストが持つ役割は既に今までよりもずっと大きくなってきていて、もう「楽曲のみ」で語ること、それ自体が不可能なことになりつつあります。アーティストがSNSで発信する内容、音楽活動それ自体の進め方、ライブスタッフなど関わる人全員の姿、そういう、音楽の周囲にある一つひとつの物事全てが「信仰」の対象が触れる物なのですから。


もちろん、ちょうどさっき紅白で嵐が「でっかい愛とか希望探してる」方が正しいのは当たり前のこと。でもそれって難しくない?と思ってしまう時代ではある。

そんな時代に、音楽はどこへ向かうのか、個人的には物凄く興味があるので、その様子を一つひとつ、(今年は更新少なかったけど)ちゃんと文章として、皆さんに伝えられれば良いなと思っております。


さて、今年はnoteでの活動のおかげで、念願叶いまして、ずっと愛読していたReal Sound様と一緒に記事を作ることもできました!!現在も企画案を提案中だったりしますので、2020年はもっと活動の場所を広げていきたいですね。

年間ベストは年明けに発表予定です。

絶望的な時代だからこそ、自分が信じられる存在ともっと向き合う年になるでしょう。そして、なんとか2020年も生き抜くのです。

いざ、2020年へ!!!皆様、よいお年を!!!!!

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