I'm not alone. -Madeon×Porter Robinson-

 まずはこちらをお聴き下さい。

The City / Madeon (2012)

 名曲ですね。2012年に発表された、フランス出身のエレクトロニック・ミュージシャン、Madeonの代表曲"The City"です。

 続きましてこちら。

 こちらも名曲ですね。2014年に発表された、アメリカ出身のエレクトロニック・ミュージシャン、Porter Robinsonの代表曲"Sad Machine"です。

 僕の勝手な想像なんですけれど、どっちかが好きな人はもう片方も好きなんじゃないでしょうか。GLAYファンとEXILEファンが被るとはあまり思えないけれど、MadeonファンとPorter Robinsonファンは被るのでは...、そんな気がしています。いや、"SCREAM"は良い曲だけどね!

 EDMの流行については色々な意見があって、「終わった後には何も残らない」という声もあるけれど、個人的には彼らのような作家性のあるエレクトロニック・ミュージシャンが幅広く活躍する土壌があるだけでも十分成果の一つだと思っています。きっと彼らはブームが過ぎたとしても良い作品を作り続けるだろうし。例えば90年代のレイヴブームが過ぎ去っても、その渦中にいたThe Prodigyは今でも前線で活躍して、去年に至ってはSONIC MANIAを含めた世界中のダンスミュージック・フェスティバルでメインに登場したりしているし。

 MadeonとPorter Robinsonにはちょっとした共通点があって、それは「日本でも比較的人気が高いこと」と「日本の音楽に影響を受けてきた事」。前者については、今なら両者とも新木場STUDIO COASTくらいなら埋められるはず。後者については、MadeonはCAPSULEからの影響を、Porter Robinsonは数々のアニメ及びアニソンからの影響を公言しています。

 「後者ちょっと待て」という声も聞こえてきそうですが無視しまして、例えばMadeonは昨年、自身の楽曲のリミックスを中田ヤスタカに依頼。ナタリーでの対談も実現し、Capsuleの2008年作「MORE!MORE!MORE!」からの強い影響を語っています。確かに"JUMPER"のノリなんかはMadeonに近いかもしれない。

 そしてPorter Robinsonについてですが、こちらを観て頂ければ全体的に分かるかと思います。秋葉原にあるクラブ「MOGRA」のアニソンイベントに出演した時の映像です。今年のElectric Zooでトランス界の帝王、Tiestoの前にセカンドヘッドライナーとして登場したとは思えない、驚異的なDJセットを披露しています。

 そんな彼らは実際に仲が良く、もう10年近くの付き合い。昨年のSONIC MANIAにも揃って出演し、Madeonは丁寧かつストイックに楽曲を繰り出し、Porter RobinsonはVJ等の演出を駆使しながらエモーショナルに物語を紡ぎ、どちらも独創性のある素晴らしいパフォーマンスを披露していました。

 彼らのファンはずっと妄想していました。「コラボしてくれないかなぁ...」と。ダンスミュージック界隈ではミュージシャン同士のコラボレーションが比較的活発で、Swedish House MafiaやDuck Sauceといった大きな例もありますが、割と気軽なコラボレーションも多い。Dimitri Vegas & Like Mikeの曲は半分くらいコラボレーション曲じゃないだろうか。

 そんなファンの妄想が2016年秋、ついに具現化しました。突如、「Porter Robinson & Madeon」としてコラボ曲を発表したのです。これが本当に素晴らしい仕上がり。一回目は地味でも、二回、三回と聴いていくと、ぐんぐん染みてきます。

 「この力強いボトムやファンク色のある音色の使い方はMadeonだな」、「この物語性のある楽曲展開や浮遊感のあるメロディはPorter Robinsonだな」と随所に個々の要素を感じることが出来るけれど、最終的には「Porter Robinson & Madeon」としか言いようのない見事なマッチングぶり。期待を上回る出来に思わず海外のiTunes Store経由で購入してしまいました。何故日本で買えないのか。

 そんな彼らはそのまま北米ツアーに出る事に。なんとコラボツアーにありがちな「どっちか→コラボタイム(数分)→もう片方」の流れではなくて、二人でライブをするとのこと。ファンなら絶対に見たいこのツアー、幸いな事にNew York公演が決定したので、僕はもうチケットを購入しました。とはいえ、せっかくならやっぱり日本で見たい。来年のSONIC MANIAのヘッドライナーなんか良いんじゃないだろうか...。どうでしょうかクリエイティブマンさん...!

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