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Easter イースター

○イースターとは

3月21日春分の日を境に、太陽は月よりも強くなり、太陽の描く日周軌道は広がり高くなります。春分後の満月後の日曜日(つまり、日が長くなり始めるとき)イースターをお祝いします。

イースターは復活祭と訳されているキリスト教の祝祭です。イエス・キリストがなくなって3日目に復活したことを祝うお祭りです。

Easter(英)Ostern(独)の名前の由来は、ゲルマン神話の春の女神「eostre エオストレ」や、この女神の名前を冠した春の月名「Epstremonat エオストレモナト」に由来するという説が一般的のようです。キリスト教以前の土着信仰の影響もあるようで、「キリストの復活」と「春の女神のお祝い」という2つの祝祭が融合したものと考えられています。


○イースターの祝日
2022年               独       英
4月14日 聖木曜日(洗足木曜日) Gründonnerstag  Maundy Thursday
4月15日 聖金曜日        Karfreitag     Good Friday
4月16日 聖土曜日        Karsamstag     Holy Saturday
4月17日 聖日曜日        Ostersonntag    Easter Sunday
4月18日 聖月曜日                          Ostermonntag      Easter Monday

・聖木曜日は、イエスと弟子たちがユダに裏切られ、ローマ人に捕えられる前の最後の晩餐の日を象徴しています。 古い習慣では、聖木曜日は主に緑色のものが食べられました。古代の慣習によれば、一部の人々は木曜日にキャベツ、イラクサ、などを食べたということです。春のエネルギーに満ちた新鮮なハーブは最適です。

・聖金曜日は沈黙の日とされているため、賑やかに過ごすことが禁止されているそうです。 伝統的に魚料理やベジタリアン料理の軽い料理がよく食べられ、特にディナーに関しては、肉を避けることが重要な意味を持ちます。その伝統は2世紀にさかのぼり、当時は肉を買う余裕のある人はわずかで特別な喜びのためのお祝いの日だけに用意されるものでした。聖金曜日は、お祝いの日ではなく、イエスの十字架刑に象徴される悲嘆や苦行、禁欲を思い起こすものなので、 肉は食べず、代わりに魚がテーブルに出されたということです。

・聖土曜日はイースターの日曜日の準備の日です。 伝統的にドイツではフラーデンブロート(Osterfladen) と呼ばれるイースターのフラットブレッド、イースト生地で作られたイースターの子羊、イースターの組みひもパン(Zopfbrot)はこの日に焼かれ、イースターの日曜日の準備をします。また、イースターファイヤー(Osterfeuer)と呼ばれる盛大な焚火が催される地方も多いようです。 この習慣は非常に古く、冬とその悪霊を追い払う意味があるようです。

・復活祭の日曜日はイエスの復活が祝われる祝日です。家族そろって囲むお祝いのテーブルでは、伝統的には、ローズマリー風味のイースターラム、柔らかいローストウサギ、上質なイースターハム、ボリュームのあるパイなど、肉料理を再び食べることができます。

・イースターの月曜日は、断食も終わり、スポーツや様々なお祝いが展開されます。またドイツのオーバーバイエルンの農村地域では、この日に畑を家族総出で見回るいう古い習慣が生き続けているそうです。


○イースターのテーマ『死と復活』

自然は、すべての死の中に新しい生の芽が含まれていることを教えてくれます。秋に新しい葉の出る準備をして蕾を作った後には、古い葉を落とし、熟した果実は腐ります。しかし、その中には新しい種が作られ、周囲の環境が整ったとき、新しい芽が姿を現すのです。

シュタイナーは、人生の7年周期のうち、28~35歳は「死と再生の時代」と言っています。太陽から最も遠く、魂が闇の時代を生きるのが33歳(これはイエス・キリストが死んだ歳)。この時代は、これまで自分のうちに潜在していたものが死んで、新しく生まれ変わるときです。


○うさぎと卵

うさぎの持つ本質は「無我と自己犠牲」です。これは、キリストの姿の中の最もよく示されている完全な無私の形を現しています。昔の聖徒物語や伝説に、うさぎは他の者のために自分を犠牲にする動物として描かれています。これはうさぎの本能なのです。

うさぎは誰にも危害を加えないのに、自身は常に狙われ追われています。長い耳で常に周囲の音を聞き取り気を配り、逃げる手段はジクザクに速く走るという特技だけなのです。そのため、うさぎは天体の中では、空を急いで駆け回っている月と関係づけられています。

うさぎ1

卵は新しい命や発展の芽であり、新しい始まりの象徴です。また、永遠のシンボルでもあり、消えることも滅びることもできない人間の本質でもあります。ある民族は、死んだ人と一緒に卵をお墓の中に入れました。それは、死はただの変化にすぎず、人間の魂にとって死は新しい生命の始まりだということを知っていたからです。

卵は、起源と始まりの象徴としてキリスト教に取り入れられ、イエスが洗礼によって大転換を迎え、人間の新生が生じたことと関係づけられました。

また、イースターの卵は特別な卵です。自然界の動物が生んだものに、人間がもつ芸術性と創造性が加えられます。その絵柄は、規則的・調和的な装飾で、宇宙的原則に基づいているといえます。なぜなら宇宙は秩序と調和という意味であり、恣意や混沌の反対だからです。

人間は、意識的な無私と自己犠牲ができるように、という理想をもつことで、「私ではなく私の中のキリスト」と言われる、キリストの力を自分の中に目覚めさせることができます。この人間の中にある永遠との新たな関係こそ、卵が象徴するものなのです。


○子どもたちのために

『死と復活』について、一番身近に目に見えるのが植物の種です。この時期に(もしくはこのシーズンの前に)子どもと一緒に種まきをすることは、とても意味深いことなのです。

・季節のテーブルの設え‥‥緑のテーブルクロス、季節の草花(スイセン・スミレなど春の花)、イースター用の枝に卵を吊るす、籠の中に卵を入れる、羊毛で作るうさぎ、松ぼっくりで作るうさぎ、、

・ふさわしい絵‥‥グリューネヴァルト『キリストの復活』、フラ・アンシュリコ『キリストの変容』

・手仕事など‥‥羊毛や松ぼっくりでうさぎを作る、イースター用の卵に絵を描く、イースターのパン作り、イースターの詩・歌、イースターのろうそくの灯、*イースターの卵探し、、

*イースターの卵探し

卵はそこから新しいものが発展していく胚細胞ですが、それがどのように発展していくかはわかりません。卵は中身が隠れて見えないのです。イースターに卵というのは、見えないものをみつけようとする意欲を掻き立て、自己の内面と向き合い、生きる意味・自分にとっての正しい道を探すということを私たちに思い出させたい、という意味があります。ただ、子どもにとってイースターの卵探しはとても楽しい行事なので、それ以上のことは求めず、探すことを楽しめばよいのです。

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