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坊主憎けりゃ何まで憎いか?

受験生に古文を教えていたときのこと。
『更級日記』の文中に出てきた「袈裟」の字が読めない様子です。
そこでヒントを出しました。

「ほら、坊主憎けりゃナントカまで憎いって言うじゃない」
「?」
「ああ、このことわざ、もう死語かなあ。坊主憎けりゃって、ふだんの会話で聞かないよね」
「うん」

私はクイズのようにして考えてもらうことにしました。
「じゃあ、推測してみよう。お坊さんが憎いとなったら何まで憎くなるか。はい、坊主憎けりゃ?」
「寺まで憎い」
「なるほど!」
思わず唸る私。「袈裟」よりいいかも。
「たとえば、大学生の彼氏がいて、別れて、元カレ憎けりゃ大学まで憎いって感じ?」
「うん、そう」
「個人的にはマルをあげたいけど、『寺』ではない」
「え~?」
「もう一回。はい、坊主憎けりゃ?」
「仏まで憎い」
今度はのけぞってしまう私。
「そこまでいく⁉」
「うん」
「仏教の開祖まで憎んじゃう?」
「うん」

私の頭の辞書に新しいことわざが加わりました。
私の仏教説話『マイ発心集』に載せたい、今の若い人とのやりとりでした。


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