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ミネオラ・ツインズ~六場、四つの夢、(最低)六つのウィッグからなるコメディ~

こんにちは、スタッフの田中です。

先日、一部公演中止を乗り越え千穐楽を迎えた『ミネオラ・ツインズ』を観劇してきました。

大原櫻子さんの可愛らしくもパワフルなお芝居と、透き通ったのびやかな声が大好きで、今回の舞台では二役を演じるということで、すごく楽しみにしていた作品でした。

~作品について~
ピュリツァー賞受賞作家ポーラ・ヴォーゲルの作品で、日本初演。
1950年代から1980年代までの激動の時代を生き抜いた女性を描いた、ダークコメディ。
劇作家ポーラ・ヴォーゲルが、「同じ女優がかつらを変えて演じるように」という指定があったという作品。

大原櫻子さんが双子を一人で演じただけでなく、出演者の八嶋智人さんや小泉今日子さんも、一人二役を演じられました。

三人がそれぞれ二役を演じ、しかも演じたのは全く正反対のキャラクター。
しかし、表情や立ち姿、声のトーンまで華麗に演じ分けていて、見ていて混乱するようなことはまったくなく、世界観に没頭できました。

主人公は、ニューヨークの郊外ミネオラで生まれた双子だから、「ミネオラ・ツインズ」。
保守的で家庭的、白人至上主義者で"いい子"のマーナと、
リベラル派でアウトサイダー、活動家で"悪い子"のマイラ。
彼女たちの発言や考え方は、社会問題と重ね合わせられるような内容で深く考えさせられました。
マーナは真面目すぎるところがあり、マイラは破天荒すぎるところがあるけれど、二人とも人間味に溢れていて憎めない、むしろ好きになってしまうキャラクターでした。

また、客席の様式が円形劇場のようになっているところも、独特な雰囲気を醸し出していました。360度ではなく、客席のちょうど真正面に同じ数の席があり、客席と客席の間に舞台がある。舞台に対して鏡になっているような状態でした。
つまり、役者さんは「正面がない」状態で演じており、反対側から見たら、今どんな表情をしていて、どういう風に見えているのだろうと、常に想像が掻き立てられるところも世界観に没頭できる一つになりました。



つい先日、SNSで舞台裏が公開されていました。
大原櫻子さん演じる、マーナが舞台はけた後、マイラになって舞台の反対側から登場するシーン。

通常であれば、舞台の裏を通るであろうところを、この舞台は客席に囲われているので、舞台裏も何もない。
見ているときは気づかなかったのですが、この移動、ロビーを通って舞台の反対側に行っていたことが公開されました。

開演前にはお客さんがいるところを駆け抜けていたなんて…。
そして、舞台の反対側まで行ったり来たり、衣装替えをしながらダッシュで移動して、何事もなかったかのように演じていたとは…。

観劇後に知る舞台裏もユーモアたっぷりで最高でした。

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