「コーチングの効果って何?」
「エビデンスは?」
と質問されて、すっと回答できるでしょうか。
今回は、コーチングの効果について18個の研究を統合して分析してくれた論文(ありがたい!)がありますので紹介していきます。
オランダ、アムステルダム大学の労働・組織心理学部 Theeboom氏らが2013年に発表した論文です。
概要
はじめにこの研究結果をおおまかにお伝えします。
筆者らは理論面、実践面を考慮しコーチングの効果を下記5つに分類し、効果があったと結論づけています。
5つのカテゴリーはみなさんの経験と照らしあわせると納得のいくものでしょうか。それでは5つのカテゴリーについて詳細を見ていきましょう。
コーチングの5つの効果
1.パフォーマンス / スキル
特に営利を目的とする企業においては、この「パフォーマンス」向上の効果があるのかは最も関心のあるカテゴリーではないかと思います。
2.幸福(well-being)
次は、well-beingです。well-beingと従業員の生産性の間に関係があることを示す研究がありますので、well-beingも組織における効果として位置づけることができます。
3.コーピング
コーピングはあまり日本では耳にしませんが、説明を読むとストレスへの対処や自己効力感(自分はできるという自己認識)を意味しています。
4.仕事に対する姿勢(work attitudes)
4つ目は、仕事や組織への満足度のようなカテゴリーです。組織コミットメントというのは、組織への愛着とか帰属意識を表す概念です。
5.目標指向の自己制御(goal-directed self-regulation)
最後5つ目は、目標にまつわる行動が含まれるカテゴリーです。
GAS:goal-attainment scalingって何?という方はこちら。
メンタルヘルスプログラムを評価するためKiresukらにより開発された。
対象者個々の目標について,それぞれ5段階(+2~−2)で達成度を評価する。事前に、目標を決め達成すれば0。それより高いと(+1, +2)と低いと(−1, −2)とスコアリングされる。
理学療法学 目標設定と目標達成度評価の考え方 上岡裕美子を参照。
まとめ
この論文では、5つのカテゴリーでコーチングが効果があることを示しました。
筆者らはまとめの章で、「コーチングが機能するか?」という問いでなく「コーチングはどのように機能するのか?」という問いへ移っていく時期にきている、と書いています。
この論文が発表されたのは2013年であり、その後コーチングは「どのように機能するのか」についての論文も出ていますので、また紹介できればと思います。
<参考>
2021年に発表されたコーチング効果のメタアナリシス論文はこちら