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GitLabから学ぶ、フルリモート組織マネジメントの極意

世界最大級のソフトウェア開発ツール提供企業「GitLab」。チームが一丸となって開発と運用に取り組むことを可能にするツールとして、世界中のエンジニアに利用されています。

チームメンバーがいつ、どこにいても開発がスムーズに進行することを目的に作られたGitLab。それを開発するGitLab側もまた、完全リモートワークで運営されています。

コロナウイルスを機に大きく広まったリモートワークは今、一つのスタンダードな働き方になる一方、多くの経営者や人事担当者にとっての悩みのタネともなっています。

リモートワークの先進企業とも呼べるGitLabの取り組み。制度設計やリモートワークの導入にお困りの企業経営者の方、人事担当者の方はぜひご覧ください。

リモートワークマネジメントの課題

リモートワークは、新型コロナウイルスをきっかけに急速に普及した働き方です。

当初は感染拡大を防ぐ目的ではじまりましたが、近年では通勤時間の削減やワークライフバランスの向上など多くのメリットをもたらすとして、当初の目的とは関係なく運用する企業も増えてきました。

一方、課題も少なくありません。

コミュニケーションの難しさ

オフィス勤務の場合、顔を合わせて話したり、会議室で打ち合わせしたりすることで、自然とコミュニケーションが生まれます。しかし、リモートワークでは、こうしたコミュニケーションが取りづらいため、誤解やトラブルが発生しやすくなります。

チームワークの維持の難しさ

オフィス勤務の場合、同じ空間で働くことで、チームワークが自然と醸成されます。しかし、リモートワークでは、チームメンバーと直接会う機会が少なくなるため、チームワークを維持することが難しくなります。

モチベーションの維持の難しさ

オフィス勤務の場合、同僚の存在や上司のサポートによって、モチベーションを維持しやすくなります。しかし、リモートワークでは、周囲の目を気にせずに仕事ができる一方で、孤独感や孤立感を感じやすくなり、モチベーションを維持することが難しくなります。

今、多くの経営者や人事担当者の方がこれらを解決するためのマネジメントに悩まされています。私たちNewAgencyは日々多くのスタートアップ経営者の方とお話をしていますが、このような課題をご相談されることも少なくありません。

しかし、NewAgencyを通じてご支援させていただくスタートアップやベンチャー企業においては、採用においてリモートワークで土地やライフスタイルにとらわれずに優秀な人材を採用できるという価値をベースにリモートワークをせざるおえないという企業様もいらっしゃいます。
そう言った企業の方のために、GitLabが提供するリモートワークのナレッジをわかりやすく見出し形式にまとめてみました。

GitLabとは

リモートワークとマネジメントの課題をいち早く解決し、事業を伸ばしているのが「GitLab」です。

GitLabはソフトウェア開発を支援するプラットフォーム「GitLab」を提供する企業。コードのバージョン管理、CI/CD、モニタリング、セキュリティ、プロジェクト管理など、開発作業とその周辺業務を一元化できることが特長です。

現在では全世界で数百万人に利用されているGitLab。その運営は、なんと会社設立から現在までフルリモートで行われています。地球上のどこにもオフィスはなく、世界65か国に住む1,500人を超えるスタッフが、オンラインで連携しながら日々業務を進めているそうです。

GitLabの働き方「All remote」

このようなGitLabの働き方は「All remote」と呼ばれています。GitLabでは「All remoteガイド」と呼ばれるリモートワークマニュアルを作成しており、ここでは「All remote」の意味や働くにあたってのヒント、具体的な行動や考え方が示されています。

ちなみにこれらは、社外の人間でも閲覧ができるようになっています。

GitLabは社内のほとんどのことをマニュアル化して、社外に公開しているとのこと。これはGitLabで「ハンドブックファースト」と呼ばれる、リモートワークにおける重要な要素のひとつでもあります。

ハンドブック・ファーストのコミュニケーション・アプローチは、成功するビジネスに実は不可欠なものです。非効率に見えますが、プロセス、文化、解決策を意図的に書き出し、整理することのメリットは数え切れません。逆に、構造化された文書を避けることは、全体的な成長を妨ぐ「低レベルの混乱」を招きます。

では「All remoteガイド」にはどのような項目が掲載されているのでしょうか?解説するとともに、参考にしたい点を見ていきます。

リモートワークをマネジメントするにあたって、GitLabが重要視していること

GitLabでは、社内でさまざまな取り組みをしているのですが、それをするにあたってさまざまなことが考慮されています。

①柔軟な働き方を尊重する

まずは、柔軟な働き方を重視すること。リモートワークを採用する際の最大のメリットは、ライフスタイルや価値観が違うさまざまな土地国の優秀な人材を採用して、事業を運営できる点にあります。

とりあえずリモートワークではなく、リモートワークを取り入れる目的を考えると、働き方の柔軟性を尊重し、カルチャーを作ることで採用できなかったようなハイパフォーマーを採用できるというメリットがあります。リモートワークをするなら当たり前でしょ?と思えることですが、これができている企業は意外と少ないもの。

MTGや週一出社など同期的なコミュニケーションが多く残されたままリモートワークを実施しているという企業は多いのではないでしょうか?

GitLabでは、リモートワークは家族の時間や旅行の計画など、さまざまな点でチーム メンバーの生活を向上させるとしています。

「柔軟性により、家族生活が飛躍的に楽になり、ストレスが軽減され、生産性とモチベーションが高まります。それには何ドルの価値もつけられない、かけがえのない価値があるのです。」- Haydn 氏、GitLab 地域セールス ディレクター

また、リモートワークによる自由と柔軟性により、従業員の作業効率や生産性は上がると言います。リモートワークによって、事前に定義された毎日のスケジュールを実行する機械になるのではなく、個人がスケジュールを定義する仕事人となれるからです。

②情報の透明性

GitLabの特徴として、情報の「透明性」が非常に高いことが挙げられます。

これはGitLabで重視される6つの価値観の一つでもあります。情報を公開することで社内メンバーが「より良くなるにはどうすれば良いのか?」と考え、貢献することが容易になり、引き継ぎも簡単になるためです。

文面だけではなく、「気が変わったときははっきりと伝える」「建設的に問題を表面化する」「情報源を1つにする(複数同じファイルを作らない)」など、コミュニケーションにおけるあらゆる事柄をシンプルにすることで、生産性の向上とリモートワークにおけるチームワークの維持を狙っています。

特にリモートワークでの生産性の課題を感じられる企業の方においてはこの、情報を一つにするが、徹底されていない場合などがあります。リモートワークは採用にとっては旨みがありますが企業マネジメントにおいては克服しなくてはならない課題が多いです。その中でこの、情報の設計の徹底は、かなり特効薬になる場合があります。

GitLabのリモートワークマネジメントの具体的な取り組み

①非同期コミュニケーションツールの活用

チャットや掲示板など、2人が同時に連絡がつくようになっている必要のないコミュニケーション手段。柔軟な働き方を推奨し、やり取りを明確に残すために利用されています。

なお、GitLab では社内メールを送信しないという規範があるとのこと。代わりに、従業員はチームの Slack チャネルに質問を投稿し、社内の全員が情報を利用できるようになります。非同期コミュニケーションかつ、オープンなプラットフォームがGitLabにとって良いコミュニケーションだといえるでしょう。

②情報を見つけやすい場所においておく

GitLabにとっての「透明性の価値」は、誰もが情報にアクセスできるようにすることを意味します。メンバーのパフォーマンスを向上させるには、情報にアクセスできるようにするだけでなく、情報が正しい場所に流れ、必要な人が見つけられるようにすることが重要です。

Googleドライブに格納したり、掲示板に情報を書くだけではなく、それらをSlackに掲載したり、リンクを見やすい場所にピン留めしておく必要があります。

③リモートワークの責任者を立てる

GitLabでは「All remote Marketing」チームを設け、GitLabのリモート文化を開発し、外部への発信を行っています。

制度やマニュアルの文書化、より良い環境を作るためのリサーチ……まだリモートワークを導入していない企業では、リモートワークを行っている会社について発信するまでは難しいかもしれませんが、リモートワークを行うにあたって社内メンバー向けのマニュアルやツール導入を行う責任者は、後に重要な役割を果たします。

特にこのマニュアル整備はリモートワークで軽視されがちな「共通規範」という概念を実装するという意味で非常に有用な価値をもたらします。もっというと、GitLabがこの人数でリモートワークをできているのもこの専任者の存在が大きいです。

近年スタートアップにもカルチャー担当や、人事部がそう言った社内マネジメント業務にあたる場合が増えてきましたが、このチームの有無で、リモートワークの成功確率は多く変化することが考えられます。

先進企業の知見を、自社にカスタマイズ

GitLabでは、All remoteの取り組みを文書化しネット上で公開しています。より詳細な内容が気になる方は、ぜひご覧ください。

とはいえ、スタートアップや中小企業でまだリモートワークが浸透していない企業がいきなりここまでのリモート組織を実現するのは難しいと思います。

NewAgencyでは海外企業をはじめ、新しい組織マネジメントを行う先進企業の知見を日本の企業一社一社にカスタマイズし、実働までをサポートすることが可能です。下記サイトのフォームより、まずは一度お気軽にご相談ください。

リモートワークを導入している企業の人事担当者の方、経営者の方など、ぜひご相談をお待ちしています。

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