マガジンのカバー画像

Business Design Magazine

38
ビジネスデザイン・新規事業開発領域で働く方に向けて、NEWhメンバーが日頃の業務で得た気づき・発見・学びをお届けします。
運営しているクリエイター

記事一覧

新事業成功の鍵を握る"Why now"‐大企業が間違いがちな市場選択の基準‐

大企業の新事業開発において市場を選択する際には、"Why now"と"Why us"という2つの重要な問いを考慮する必要があります。"Why now"は、なぜ今その事業に取り組むべきなのかを問い、市場のニーズ、技術の進歩、社会の変化などを踏まえた適切なタイミングでの事業化を重視します。一方、"Why us"は、なぜ自社がその事業を行うべきかを問い、自社の強みや独自性、競合優位性を明確にすることを重視します。 これらの問いは密接に関連しています。"Why us"の問いに答える

グローバルバーティカルSaaSのトレンド:社会構造の変化を捉え、事業機会を発見する方法

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 今回は欧米を中心に、特に近年で創業されたバーティカルSaaSをピックアップしながら、そのサービスの特徴や既存のサービスが数多く存在するなかで、創業者はどこに事業機会を見出したのか、その背景も含めてみていきたいと思います。 新規事業のシードアイデア創出や、ビジネスモデルのブラッシュアップのヒントになれば幸いです。 ピックアップしたバーティカルSaaS今回はアメリカを中心に、3つの狙いから特にここ5~6年で創業した

[Part2]事業開発の色々な論点を構造化・図解してみた。

こんにちわ。NEWh堀です。 前回の記事では、 事業開発領域における色々な論点の構造を1枚のスライドに落とし、X上で発信している内容から一部を、ピックアップし紹介をしてみました。 前回記事はこちら。 実は、まだまだ色々と発信していたものはあったりするので、 今回はPart2ということで、またいくつかピックアップし、紹介してみます。 競合優位性とは何か。の図解。 まずはこちら。競合優位性とは。 事業開発の中だと必ず論点に上がるテーマ。ポジショニング・マップで立ち位置や優

国内上場SaaS企業の分析から導き出す、大企業の新事業が3年で売上100億円を達成するためのポイント

大企業の新事業を支援していると、3年で売上100億円という目標がよく掲げられています。さらに、デジタルを活用したプロダクトを開発するため、デザイン思考やリーンスタートアップを実践して、顧客課題から考えたいという要件もあったりなかったり。そこで今回は「この目標と要件は現実的なの?」ということを、SaaSビジネスのグローバルトレンドや国内上場SaaS企業の現状を分析しながら考えていきたいと思います。さらに、3年で売上100億円を達成するための戦略の方向性と重要なポイントを絞り出し

生成AIが変える新事業開発のプロセスと求められるスキル

生成AIの登場により、新事業開発のプロセスが大きく変わろうとしています。ChatGPT、Claude、Perplexity、Stable Diffusion、Createなどの生成AIは、膨大なデータを学習して、瞬時に「正解」を生み出すことができます。文章作成やデザイン、コーディングなど、様々な分野ですでに実用レベルに達しており、アイデアの創出から事業計画の策定、プロトタイピングなど、新事業開発のすべての工程を自動化できる可能性があります。私が所属しているNEWhでも生成AI

【IPO達成には理由がある】気になるスタートアップのキモ解説:ジンジブ(高卒就職支援サービス)‐後編‐

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 今回は創業に至る背景や事業機会をどのように捉えたのかを考察した前編に続いて、3月22日に東証グロース市場へ上場された、高校生の就職を支援するというユニークなサービスに特化した株式会社ジンジブをケースとして、新規事業に必要な要素を整理するためのフレームワーク「バリューデザイン・シンタックス」を使いながら、サービスの特徴や強み、競合環境や今後の課題についても深掘りしてみたいと思います。企業内の新規事業の担当者、起業を考

【新規事業担当者に効く】気になるスタートアップのキモ解説:ジンジブ(高卒就職支援サービス)‐前編‐

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 今回は3月22日に東証グロース市場へ上場された、高校生の就職を支援するというユニークなサービスに特化した株式会社ジンジブを深掘りしてみたいと思います。個人的にこちらの企業を知った時、シンプルに「なぜそこ(=高校生の就職支援)に着目したのだろう?」という興味が沸いたことがリサーチテーマとした理由ですが、調べれば調べるほど「起業するとはどういうことか?」「ビジネスチャンスになり得る機会を捉えるとはどういうことか?」を考

事業開発の色々な論点を構造化・図解してみた。

こんにちわ。NEWh堀です。 普段事業開発領域でお仕事をしている私ですが、 タイトルの通り、事業開発の領域は、人によって解釈に揺れがあるビッグワードにまみれている世界な気がしてます。 なので、 note上では、これまでいくつかの論点に対して構造化、言語化、文章化と向き合ってきたのですが、できるだけ普段からそういう思考を維持できるよう、Xでも、事業開発領域における色々な論点とその構造を1枚のスライドに落とし込み、定期的に発信をしてたりします。 ということで、 今回は、X上で

【ビジネスデザイナーが読むべきnote】デザイナーとは?生成AI時代に求められる役割とスキル

「business design shift」は、ビジネスデザインのトレンド、革新的なアイデア、変化の兆しを探るマガジンです。noteにある素晴らしい記事をクリップすることで、ビジネスデザインの可能性を拡張し、持続可能で意味のある変化を生み出すためのインスピレーションの提供を目指しています。 基本的にはクリップのみですが、適時テーマを設定してキュレーションを行うことで、その集合からビジネスデザインに対する「意味」を考察し、より深く理解へと導いていきたいと思います。 第1回目の

【撤退から学ぶ】良いサービスが残り続けるためのヒント:Leapsin(食品OEMマッチングサービス)

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 気になるスタートアップ企業について、新規事業担当者が参考になったり、ヒントを得るために、ビジネスの肝(キモ)は何か、新規事業に必要な要素を整理するためのフレームワーク「バリューデザイン・シンタックス」を使いながら解きほぐすシリーズ企画、今回は少し趣向を変えて社内公募制度を経て100%子会社として立ち上げられたものの、2023年1月にクローズされてしまった株式会社Leapsin(リープスイン)について、分析してみた

世の中のビジネスを事業構想フレームワーク「VDS」を使って分析してみた。まとめ。

こんにちわ。NEWh 堀です。 今まで何度か、事業構想フレームワーク「バリューデザインシンタックス(以下VDS)」を用いたケーススタディを行ってきたのですが私の同僚が書いてくれたものも含め、ちょっと溜まってきたので、 今回は、ケーススタディの総集編、まとめです。 何度かnote内でも発信をしてきた内容ですが、改めて。 事業構想/開発において必ず向き合う言葉である「ビジネスモデル」 ビジネスモデルの構成要素は色々とありますが、大事なことは 顧客が変われば、向き合うべき課題も変

【ビジネスデザイナーが読むべきnote】不確実性とデザイン

はじめに/創刊のご挨拶少し前に思い立って「business design shift」というマガジンをnoteで創刊しました。このマガジンは、ビジネスデザインのトレンドや革新的なアイデア、変化の兆しを探ることを目的としています。noteには数多くの素晴らしい記事がありますが、それらをクリップすることでビジネスデザインの可能性を拡張し、持続可能で意味のある変化を生み出すためのインスピレーションを提供することを目指しています。 「business design shift」の

【新規事業担当者に効く】気になるスタートアップ企業の「キモ」解説:ジャパンワランティサポート(住宅設備機器の延長保証)

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 気になるスタートアップ企業について、新規事業担当者が参考になったり、ヒントを得るために、ビジネスの肝(キモ)は何か、新規事業に必要な要素を整理するためのフレームワーク「バリューデザイン・シンタックス」を使いながら解きほぐすシリーズ企画、今回は住宅設備機器の延長保証事業を行うジャパンワランティサポートを分析しました。 こちらの企業に注目した理由としては、大きく3つあります。 ・非常に高い営業利益率(42.8%/2

"料金モデル"をどう描くべきか。

こんにちわ。NEWh 堀です。 note記事も気づけばもう7本目。 今回はまたこれまでと異なる領域・論点の「料金モデル」について書いてみます。事業収支におけるインプットを規定する料金モデルをどう描くか、って実事業開発の現場でも結構悩みがちなテーマ。 料金モデルとは何か。料金モデルを構成する要素。 事業構想を考えていく際、料金モデルを描くって結構難しい。 もちろん世に出してみないとわからない部分は多分にあるものの、料金モデルをどう描くか次第で、収入構造側が規定されてくるし