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新しい縁

近々結婚する娘とそのお相手は、「今どき」の人だ。

結納はなし(婚約指輪はもらっていた)
結婚式はしない。
いわゆる新婚旅行には行かない。
子どもはもうけない。
家計費は完全に折半で、お互いの収入は(ぼんやりとしか)知らない。
食事は作らない。
娘が「(いろいろ手続きが面倒くさいから)名前を変えたくない」と言えば、「じゃぁ自分が変えてもいい」とお相手が言ってくれたらしい、秒で。
他にも既成概念にとらわれない、よくいえば柔軟な考えの人だ。

先日、結婚指輪のお直しが終わって、それを早速はめていた。
入籍も、引っ越しもまだ。
でも、指輪はでき上がったから着ける。
娘とお相手は世のしきたりから清々しいほどに自由だ。

ならばすべてのしきたりを無視しているかといえばそうでもなく。
お相手のご両親に娘をきちんと紹介し、ウチにもすぐにご挨拶に来てくださった。
縁や繋がりをないがしろにしないところに好感が持てる。
ま、娘の選んだ人だから当然か(親バカ)

とはいえ。
ウチもお相手のご両親も旧世代なので、こちらが良くても向こうは苦々しく思っているかもしれない。
名前を変えてくれるのは有難いが、彼は長男だ。
それとなくお相手のご両親の意向を聞いてもらったら、「ふたりの良いように。でも、向こうのご意向を聞いて」と同じことを言っていると知り、価値観が似ていて安心した。
もう何回もお相手の家に呼ばれている娘によると、とても素敵なご両親のようだ。心の底からほっとしている。

結婚式をしないので、近々両家でお顔合わせしましょう、ということになった。

お店はこちらで予約します
お母様が一番お忙しいと思いますので、候補日をいくつかお知らせください
結納をしないので、費用はこちらで持たせていただきます
服装はスマートカジュアルくらいでいかがでしょうか

向こうのお母様から早速のご連絡。
万事にそつがない。

結婚というのは家の繋がりを広げていくことだ。
家父長制は過去の遺物だとしても。
でも、望んだからといって良い結びつきが得られるわけではない。
壊れてしまうこと、途切れてしまうことももちろんあるし、段々と薄れていくものかもしれない。
それでも、常識的な線を探り探り、かつ、子どもの幸せを第一に考える。
それを言わずともお互いに感じられる。
良い縁に恵まれたものだ。





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