未知の質量の可能性に迫る:ダークマター(3)
今回も、この世界の真の法則を知る、その全てを理解する、外界の全てを知ることは己の内面世界を知ることでもある、ということで純粋な知性の世界、形而上学/形而下学の世界を探究する瞑想を行なっていきましょう。
これまで“存在しているはず”なのに全く見えない・観測できない「ダークマター」というものがある、そしてそれは遠くの銀河から我々のいる天の川銀河まで正体不明の質量が宇宙に広く存在しているということを紹介しました(*1, *2)。もしまだこれらの記事を読んでいない読者の方はまず予備知識としてこれらに目を通しておくことを勧めます。
この未知の物体(?)であるダークマター(暗黒物質)に対してどのような候補が考えられているのかを今回は紹介します。
・候補(1):アクシオン (Axion)
アクシオンとは、一部の研究者らによって想定されている未知の素粒子です。現時点では見つかっていませんが、その重さは電子=約500キロeV(電子ボルト)に対しアクシオン想定質量=数十〜数百マイクロeVと予測されており、質量が電子の1億分の1以下という“非常に軽い素粒子”と考えられています。
国内では京都大学を中心としたプロジェクトCARRACK(Cosmic Axion Research with Rydberg Atoms in Cavities in Kyoto)という実験で発見の取り組みが行われています。アクシオンは想定では「プリマコフ効果によって強い磁場の中で光子に変換される(図1)」と考えられておりこれによって変換されたアクシオンを計測しようという試みのようです(*3, *4)。現状ではアクシオンが発見されたという報告はありませんが、今後の成果が注目されています。
・候補(2):WIMPs (Weakly Interacting Massive Particles)
こちらも未発見の新たな素粒子の一つと考えられており、名前が表す通り“他の素粒子と非常に弱い相互作用しか示さない重い粒子(*5)”と考えられています。こちらは前述のアクシオンとは反対に、質量は100GeV以上=電子の数十万倍の重さの“非常に重い素粒子”と予測されています。
WIMPsは“光(電磁気力)”や“強い力(原子核を結びつける力)”と相互作用せず、“弱い力(核分裂や素粒子の変換に関与)”と“重力”のみしか相互作用しないと考えられています(詳しくは*6参照)。この性質はニュートリノとほぼ同様に考えられており相互作用を起こしにくい=“非常に検出しにくい”ものと考えられています(詳しくは*7参照)。
WIMPsを直接観測したり間接的に観測する試みが行われているようですが、現在までのところでは確固とした存在が証明されてはいないようです(*8, *9, *10)。
・候補(3):超対称性理論 (SUSY: supersymmetry)
超対称性理論とは、これまで知られている素粒子(図2左側)のボース粒子とフェルミ粒子に対してそれぞれ対応するフェルミ粒子とボース粒子(超対称性粒子:図2右側)が存在する、という仮説です。
元々は1970年代初頭に複数の研修者グループらによりその概念が提唱され(*12, *13)、その数学的構造は多くの物理学的理論に適用されてきたとされています(*15,*16)。このモデルでは既知の素粒子に対応する同じ質量の超対称性粒子が存在すると予測されていて、もしかしたらこれらが未知の質量“ダークマター”である可能性が提唱されています。ただし、2023年現在のところまだこれらの粒子を発見するには至っていません。
・改めて現状を理解する
これまで未知の質量“ダークマター”について“確実に見えない何かが存在する”、“この天の川銀河も大部分は未知のダークマター”というエビデンスが示されてきました(*1, *2)。
図3右のグラフのようにこの銀河や宇宙にある質量のほんの10%程度のものしか我々の科学は把握できていない、と言えます。また図3左のイメージ図のように銀河には“何かがある”が、光/電磁波/弱い核力/強い核力と“相互作用しない”ために観測すらできないと考えられます。
・未知の質量の可能性について瞑想してみる
ここまで多くの科学者達が最先端の科学をもってしても未だにその片鱗すら見えてこない“ダークマター”ですが、こうなると常識的な考えでは全く理解不可能なものかもしれません。ここからは完全に空想の世界ですが、もともと有能な科学者達の頭脳でさえ解析できないものなので自由な発想で瞑想しながらいろいろ思考を巡らせてみましょう。
可能性の一つとしては上記の超対称性理論に近いかもしれませんが、“もしかしたら我々の知り得ない素粒子のセットが存在する”かもしれませんね。“重力だけを共有し、他の相互作用とは一切干渉しない”別の素粒子のセットがあったら面白そうですね(図4)。
・“相互作用しない”素粒子同士はどうなるか
我々の世界で知られている“4つの相互作用(電磁力/弱い力/強い力/重力)”については過去の記事(*6)で掘り下げているのでそちらでおさらいしてください。そして、“他の物質とほとんど相互作用しない”物質でよく知られているのは“ニュートリノ”です。この“相互作用しない”性質も過去の記事(*7)で解説しているのでおさらいしてみてください。
では、“相互作用しないとどうなるのか”というと、「毎秒何億個ものニュートリノが我々の体を透過していっても我々は何も感じないし健康への影響も無い」ように、「互いに何も感じずにすり抜けていってしまう」ということが想定されます。
もし“相互作用する同じ素粒子でできた人同士が近づいたら”、図5Aのように当然ですがぶつかって転倒しますね。誰でも分かる当然のことです。しかし、もし“相互作用しない素粒子でできた人同士が近づいたら”どうなるかというと、図5Bのように“お互いに何も感じずに何事もなく通り過ぎる”ということが考えられます。もちろん、お互いに“見えてない”し“触れられない”という状態です。
・相互作用しない素粒子の世界があったら?
我々の世界では図4左側のように、陽子や中性子を構成しているクォークや電子といったものしか観測できない(相互作用できない)ので、もし図4右側のように重力以外相互作用できない素粒子グループがあったとしたら我々は全く知覚することはできないでしょう。あちら側の素粒子の世界も我々の世界とは干渉せずに星や銀河が出来ていくだろうと考えられます(我々の世界の素粒子と同じような性質ならば)。
そうなると、もしかしたら図6のように我々のいる天の川銀河がある場所には我々の銀河だけではなく他の世界の別の銀河が重なっているのかもしれませんね。しかも、1つ2つではなくもっと多いかもしれません。むしろそのくらいでないと質量的に説明がつかないかもしれません。
さらにはもしかしたら太陽系に似たような星系が別の素粒子の世界にあってもおかしくないですね。そしてもし“重力のみ相互作用する”としたら、“惑星間の重力によって引き合いつつ衝突はしない”ので実は重なって同じ軌道を周回していたりするかもしれないですね(図7)。パラレルワールドといったSFの世界の話も、“実は同じ座標空間に存在していた”なんていうことも可能性としては否定できないですね。
月の表面は我々が知っている景色は図8左側のような、無味乾燥で荒涼とした何も無い地面だけが続く景色です。しかし、もしかしたら我々が別な世界を知覚できたとしたら図8右側のような、我々が干渉できず我々の科学が遥かに及ばないような高度な文明が築かれているかもしれません。さらにその上、あちら側の素粒子物理学を完全に制御して一方的にこちらの素粒子の世界を観測していたりするかもしれませんね。
・さらなるダークマターの候補
重さと言えば、前回の記事“魂の重さは何グラム?(*18)”では人が亡くなる瞬間、全ての物質的現象を考慮しても原因不明な10〜21グラムの体重減少が起こることを示しました(*19)。研究著者は“魂の重さ”と考察しており、100年以上前の古い論文ですがこれを覆す検証結果は未だに示されていません。よって、今の時点では「魂の重さは平均15グラムであることが少ないデータながら示されているがこれを否定する科学的根拠は現在まで示されていない」と言えます。
この研究結果を真実と考えると“魂という科学的には直接観測できない存在が、重さを持ってどこかに存在している”ということになります。もしそうなら肉体が無くなっても存在し続けることになります。そうなると現状での世界人口は80億人を超えましたが、この地球上に存在している魂の数はこれを遥かに超える膨大な数になると考えられます。
また、魂というもの存在を科学的にも否定できないとなると、人の魂だけではなく“魂のような存在”あるいは死の際に迎えに来るような“魂とのみ相互作用できる存在”のことも考慮に入れる必要があるかもしれません。
下の絵は14世紀頃にイタリアの詩人ダンテによって書かれた神曲(Divina Commedia *20)の一場面です。知らない方、まだ読んでない方は一読することをお勧めします。絵の場面は天国編でダンテとベアトリーチェが至高天(Empyrean)で見た光景です。ご覧の通り、そこには無数の天使達が天に舞っている様が描かれています。もしかしたらこのような世界も正体不明の質量の一部として実在しているのかもしれませんね。
“神曲”が書かれるにあたって詩人のダンテが想像の中で見たものは何だったのでしょうか。完全なる空想や妄想の世界だったのでしょうか。それとも、通常は知覚できない・相互作用できない“魂の世界”を知覚したのでしょうか。“魂の世界”は本当にあるのでしょうか。それとも確固とした実在世界であり“ただ一般の地球人が知覚できないだけ”に過ぎないのでしょうか。
・最先端の科学でも限界があることを知る
21世紀を迎え、人類は観測範囲を広げ100億光年以上離れた星の情報をも得ることが出来るようになりました。しかしながら図3右のグラフのように「我々人類は真実の10%しか観測できてない」ということも今の事実であり、これを否定する有能な科学者はいません。いくら“望遠レンズの感度と倍率を高めても、光というモダリティで観測できない領域が存在する”ということに気が付き始めていると思います。
“意識”、“魂”といった全く掴みどころの無いものも近年の瞑想に関する医学研究が増加していることから、関心や注目が高まっているようです。我々もこの世界は“目に見えて触れられる物質”だけから成っているわけではないということを嫌でも認識しなければならない時期に来ているようです。量子力学においても“観測するかどうか”や“意識”といった非物理的な要素が結果を変えることが知られています(*21, *22)。
我々は科学のような客観的なもの、物質的なもの、存在を確認できるもの、つまり形而下学(形あるもの)の世界が主体であると思って生きています。しかし、科学の進歩は“形をとらえられないもの”、つまり形而上学的な世界を直視せずにはいられない状況に直面しています。形而上学的な世界は“意識”によって知覚することができます。日々の瞑想によって“意識”を鍛錬し、ダンテと同じ光景を見に行きましょう。
(著者:野宮琢磨)
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