見出し画像

ぼくの勝利 #9「勝利と大勝利」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第四章

ぼくが目を開くと特急列車は到着駅に近づいている。ぼくは降りる支度を始める。どうやらぼくはまた黒いマントの男の夢を見ていたようだ。ぼくは重い足取りで駅に降り立つ。ぼくの妻も夢の中で見た美女に負けないぐらい美しい。あの美女のように、妻がぼくをランクアップさせてくれる存在でいてくれればいいのに。


ぼくは妻の実家に向かう。妻はぼくが建てた家にはほとんど近寄らずに実家に入り浸っている。ぼくは妻に、家を売って当座の予備校の資金繰りにあてたいという話をする。義父がでてきて反対をする。

「君はいずれこちらに引っ越して、わたしの会社を手伝ってくれるものだと思っている。これを機に予備校を畳んでこちらに来てもらいたい」

義父は誰もが名前を知っている伝統織物を扱う店を経営している。妻の兄が後を継いだものの、義兄には商売勘がない。だからぼくを専務に迎えたいという。ぼくは予備校の負債を解決するためにやってきたのに会社の経営を相談される羽目になる。

養父が住む町はこの国では有数の古い町とはいえ、昔ながらの家屋もほとんど残っていない。服装も現代的になる一方だ。義理の兄が駆けつけてきて、ぼくにアドバイスを乞うてきた。会社の経営は悪化しているらしく、義理の兄は困り切っている。ぼくは義理の兄を励まし、伝統工芸品を使い安くアレンジすることを勧める。


ぼくの予備校の経営が危ないと知った妻は離婚すると言い出した。
ぼくは聞く。

「夫婦は大変な時こそ支え合うものだよ。そもそも、あなたはなぜぼくと結婚したの?」

妻は答える。

「あなたならお金を稼いで会社を立て直してくれると父が言ったからよ。借金を背負うような夫なら必要ありませんわ」

ぼくは夢から覚めたような気持ちがする。古いしきたりで育った女性は、自分が育った世界しか受け入れようとしない。ぼくを理解して支えてくれるつもりはないのだ。

ぼくはようやく理解する。外側の条件は愛の助けにはならない。ぼくと妻の間には愛は育ちそうにない。あの赤い本に書かれているような完璧な恋とはほど遠い。ぼくは妻に家を譲って離婚する。ぼくはまた無一文になった。


ずっと幸せをめざしてきたのに、ぼくはまた空虚な気持ちになっている。なぜだろう。ぼくは世の中の人が羨むような成功を実現している。夢の国と母国で二度も勝利を手に入れた。それなのに幸せを感じることができない。もしかしたら、ぼくがめざす勝利よりも、もっと大きな勝利というものがあるのかもしれない。

…#10へつづく。

◆現在公開中の連載はこちらからまとめてご覧いただけます。

​誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。


◆連載小説「ユニバーサル・カバラの物語」が本になりました!

『カバリスト ぼくの成功物語〜永遠の生命の木の謎〜』(上巻) 発売中 


小説だけもいいけれど、裏側を知るともっと面白い! 物語の裏に秘められた神秘の教え「カバラ」の奥義を解き明かす解説つき。カバラを学ぶ人、そして真理を探求する人に必携の一冊です。

画像1

モダンミステリースクール 形而上学BOOKシリーズ
「カバリスト ぼくの成功物語」〜永遠の生命の木の謎〜 
イプシスマス・中込英人 著 税込2,500円

ご購入はこちらから

制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』『カバリスト ぼくの成功物語』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

画像2

★LINE友達限定!毎週金曜日「星読みまどかのNEW LIFE星占い」配信中★

LINE友達登録画像

「新時代」の生きかたマガジン―「NEW LIFE」は、
“理想の新しい世界”を本気で希求する、
すべての人に向けたオンラインメディアです。

銀河レベルのぶっちぎりに新しい情報で、
誰もが本質を生きる時代を目指し様々な記事を発信予定。

更新情報はライン公式でお知らせしています。

画像4


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?