見出し画像

切羽詰まっていると思いきや、ただ遊んでいるだけの赤シャツ

 2010年5月17日、赤シャツ最後の日まで後2日。陸軍の包囲網が狭まり、ラーチャプラソン交差点一帯は政府によって電気が切られ、集会場は自家発電機で照明を維持していた。携帯電話には、ラーチャプラソン界隈の端末に限定されているのだろう、平和維持本部(CRES)からの、「速やかに退去するように」との警告文がSMSとして配信されてくる。赤シャツも、「もうダメだろう」と思っているに違いない……。ところが、赤シャツのみんなはセントラルワールド前でビールビンを立てて遊んでいた……。

 緊迫したニュースが刻々と伝えられる中、女性はせっせと炊き出し、若い女の子と(日本ではLGBTと呼ぶのだろうか、いわゆる)オカマが棒を持ってニコニコと警備、シーロム交差点側では散発する銃撃戦を物見遊山、警戒に飽きてしまったのかバリケードに人影はなく……、みんな余裕をかましていた。

ビールビンを立てて遊んでいる赤シャツ

ここから先は

1,048字 / 5画像
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?