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夢の3Dプリント #不連続小説

3Dプリンターを買った、そう最近出たモデリングが要らないってやつ。
めんどくさがりの俺にも使えるかなって。
 箱を開けて取り出して、机の上は猫のジェニーに占領されてるから床に置いた。ジェニーは見慣れない新人が来たぞって匂いを嗅いでる。

一緒に入ってたプラグコードをコンセントに突っ込んで右上にある電源ボタンを押したらじんわりと電源ボタンがペカパカと点滅していたが、今はグリーンのランプがつきっぱなしになっている。起動したらしい。
ディスプレイには「Ready to talk」の文字が出ている。待ち受け中って事らしい。
さて、何をプリントしてもらうべきか。

はたと僕は気づくのだ、特にプリントしてもらうべきものが無いってことに。何がいいかと思案するが、何がいいんだろう?そうだ、ジェニーのおもちゃでもつくってやるか。
プリンターに声をかけてみる。プリンターには名前がついていてビーマンというそうだ。話しかけて指示を出せって事らしい。
「Yo, ビーマン」
「何をプリントなさいますか?」
ビーマン、beeman、Be man なんて大それた名前だ
「猫のおもちゃをプリントして」
「どのような猫のおもちゃですか?」
「え~、なんかふわふわの、ネズミみたいなやつ?」
「ビーマンは生物をプリントすることはできません」
「ネズミじゃなくていいんだけど……」
「ネズミを印刷しますか?」
「えっ?できるの?」
「ビーマンは生物をプリントすることはできません」
「おいっ!やっぱできねぇのか!」
いきものは出せないってことは…..
「グレーのふわふわが欲しい」
よしよし、これでいいんだ
「大きさはどうしますか?」
「手のひらサイズ」
「手のひらサイズのグレーのふわふわをプリントします。プリント完了は20分ほどの予定です。」

「よぉ!造形が完了しました」
ウィーウィーと多少鳴ってたけど、いつの間にかしなくなって忘れてたな。20分経ったらしい。ていうか、Yo!って挨拶してくるんだ…..
中の白い造形ディッシュに載ってるのは、7cmの正方形で厚みは2cmぐらいのグレーのはんぺんみたいなものだった。まぁ確かにふわふわ?手のひらサイズで、グレーだ。

ジェニーはウィーウィー鳴いたりする白い箱型の新参者から出てきたグレーのはんぺんの匂いを嗅いでから、何処かに立ち去った。
喜ばれるものを作るって難しい。

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