見出し画像

未来から伝えよう

ずっと続く24時間介護に疲れていることでしょう。
休みもなく、全てのことを自分の判断で決めないといけない毎日
次から次にくるいろんなことを、一人で決めないといけないって本当に大変だね。

代わってくれる人はいない、相談したらしたで「じゃぁ施設に預ければ」と言われてしまうんだよね。
ずっと、家で一緒にいたいのに、施設に預けられるはずがないよね。

在宅介護は疲れるよね、一人で何もかもするのは大変だよね。
誰にもわかってもらえないのは、つらいね。

この経験をした人にしかわからないだろうから、それはしょうがないよ。
自分だって、今回の経験がなかったら、在宅介護の大変さをわかることはなかったはずだよ。

でもね、ずっと続くと思っている介護も、一瞬のうちに終わりがやってくるんだよ。
それは来年のこと。

それまで変わりなく元気でいたのに、ショートステイに行っている間に、突然亡くなってしまうんだ。
あなたの最愛の人がいなくなるんだよ。
たくさん後悔する別れになってしまう。

泣いて泣いて泣いて泣いて、突然すぎる出来事に思考がついていけなくて、抜け殻になってしまうんだ。
お別れの言葉も言えず、突然いなくなってしまう。
笑顔で出かけた大切な人が、笑顔で家に戻ってくることはないんだよ。

在宅介護にこだわって頑張ってきたけれど、最期は家では迎えられない。
心臓マッサージをされている最愛の人は、そのまま冷たくなってしまうんだ。
最後のお別れもできなくて、視線を合わせることもできない。

後悔しないようにここまで頑張ってきただろうけれど、後悔だらけのつらい毎日を、過ごすことになってしまう。

介護はどれだけやっても後悔がなくなることはない、って聞いてはいたけれど、あまりに突然の別れで、悪い夢がずっと続いていると思える毎日が続く。

家の中のあちこちに、生きていた匂いがあるのに、姿も形もないんだ。
これからどうやって生きていっていいのか、泣く日々がやってくる。

身体も動かず、言葉も発せられない人だったけれど、その存在の大きさにびっくりするよ。
失ってからようやく気づくその大きさに。

この人に愛されていたから自分がいた、私が生きていられたんだってことに、初めて気づいてびっくりするはず。

大きかったね、あの人は本当に、すごく大きな人だった。
全べてを包んで受け止めてくれていた。
重度障がい者になっても、どんなにつらくても、最後まで笑顔を絶やさなかった。
あんなすごい人は見たことがない、といろんな人に褒めてもらえたね。
本当にすごい人だった。

会いたくてももういないんだよ。寂しいよね。
必ず別れがやってくることを忘れないで。
時間はもうあんまりないからね。

自分の直感を無視しないで。
2人で過ごしたいなと、思うその気持ちを無視しないで。
残された時間を2人で過ごしてほしい。
笑えるテレビを観て、ただ笑うだけでいい。
2人で過ごしてほしいんだ。

立ち直るにはかなりの時間がかかると思う。
けどね、大丈夫。
いつか笑える日がやってくるから。

あなたの一番好きな人が好きだったのは、あなたの笑顔。
『笑っているだけでいい
きりこが笑うと、周りが金色に光り輝くんだよ』って、言ってくれていたその笑顔。
思いっきり泣いたら、笑える日が来るから、大丈夫。

家で最後を迎えなかったのは、きっと理由があるんだよ。
大好きな家で大好きな人を、泣かせたくなかったんだと思う。
彼からの最後のプレゼントだったと思う。
その気持ちをわかってあげてね。

思い出がいっぱい詰まった家で、ゆっくり元気になってね。
まずは自分の身体を元気にすること。
これまでの疲れを取って、たっぷり寝て、ダラダラ過ごしてみるのがいいと思う。

時計なんて見ることもしなくて、やりたいこと以外やらなくていい。
動きたいと思うまで動かなくていい。
廃人になってしまうかもと思うくらい、落ちてしまったらいい。
いつか上がれる日が、必ずやってくる。

この時間で、経験を書くんだ、書くんだ。
どこかで苦しんでいる誰かのために、迷っている誰かのために。
つらいことも苦しいことも、書く。
きっと誰かの役に立つことが、来るはずだから。

あなたの才能を活かしなさい。
その一つが書くことだから。
エネルギーを回しなさい。
アウトプット、アウトプット。
閃いたことは、即実行すること。
間違っていないから。

1年なんてあっという間だよ。
時は命なりだよ。
わかっているよね。
          (34日目)

新堂きりこ

よろしければサポートをお願いします。 いただいたサポートは社会復帰への新しいチャレンジの活動費とさせていただきます。