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スピッツ「ひみつスタジオ」の感想を語りたい!

この記事をご覧いただきありがとうございます。


5月17日、スピッツの待望のニューアルバム「ひみつスタジオ」が発売されました!

前作「見っけ」からおよそ3年半ぶりの新作です。

いやー待った。待ち焦がれた。このために生きてきましたよ。同じようなことを思っている人が日本国中、いや、地球上にたくさんいるでしょう。

私はデラックスエディション版を購入し、発売日に届いてから現在まで何周聴いたか分かりません。これからもまだまだ飽きるまで、いや、飽きても聴き続けると思います。

今回はそんな「ひみつスタジオ」についての私なりの考察と溢れる想いを、この場をお借りして語らせてください。

というのも、ただ新しいアルバムが出たということではなく、スピッツであるからこそ、1つのアルバムの中で様々な楽しみ方があるのです。その魅力が少しでも伝われば幸いです。

とは言っても、大好きなスピッツの、しかも発売から現在まで擦り切れるほど聴いてきた最新アルバムを語ろうものなら膨大な文字数になりますし、『ROCKIN'ON JAPAN』のような語彙力や表現力を持ち合わせているわけではありません。

あくまでいちリスナーとして、単純明快な分かりやすい言葉遣いを意識して語りたいと思います(という完全なる自己防衛です😅)

アルバムタイトル

まず、アルバムタイトルの「ひみつスタジオ」について。相変わらず予想がつかないようなタイトルで、見た瞬間の驚きとワクワク感は今でも忘れません。

それでも今回のタイトルは、見ただけで意味合いや想いが通じるほうの部類かなと思いました。

最近のアルバムでいうと、「醒めない」や「とげまる」が同じ部類で、比較的ストレートで、タイトルからそのアルバムの空気感やメンバーの想いが伝わってきます。

逆に、「見っけ」や「小さな生き物」などは、言葉こそ簡単であるものの、一体どういう意味なのだろうと考えてしまうタイトルです。私の感覚ですが、実際この両アルバムは全体の構成に浮き沈みがあり、一種のコンセプト要素みたいなものを感じます。

私はこの「ひみつスタジオ」というタイトルを見た瞬間に、
"世の中や音楽業界がコロナ禍で思うような活動ができずにいる中、スピッツはスタジオでコツコツとレコーディング活動を秘密裏に続けてきて、大変お待たせしました、おかげさまで素晴らしいものができたのでみんなに届けたい、安心して聴いてほしい"
という自信と充実感を感じました。
(あくまでも私の感じ方です笑)

その後の雑誌やテレビなどでのメンバーのインタビューによると、私の感じ方はあながち間違っていないようでした。インタビュー内容やテレビでのメンバーの様子を見ても、とても楽しそうに生き生きと語っているようでした。

また「ひみつ」という言葉に少しこだわりがあったようで、可愛げのある意地悪なおじさま方だなあと微笑ましくなりました。

なお、ファンの間ではすでに「ひみスタ」という愛称がついているようで、なんだかスタジアムみたいだなと面白おかしくなりました😆

収録曲

続いて、収録曲は以下の通りです。

01. i-O(修理のうた)
02. 跳べ
03. 大好物 〔2021年シングル〕
04. 美しい鰭 〔2023年シングル〕
05. さびしくなかった
06. オバケのロックバンド
07. 手鞠
08. 未来未来
09. 紫の夜を越えて 〔2021年シングル〕
10. Sandie
11. ときめきpart1  〔映画主題歌〕
12. 讃歌
13. めぐりめぐって

前作「見っけ」や前々作「醒めない」など、近年は先行シングルを1枚発売した年にアルバムを出すという流れが続いていましたが、今作は「紫の夜を越えて」「大好物」「美しい鰭」と、デジタルシングルやCDシングルをコンスタントに出してきたうえでのアルバムリリースとなりました。

これにも、コロナ禍というのが少なからず影響しているようです。

2000年代以降のスピッツは、アルバムを発表して、ツアーをして、フェスに出演したりファンクラブ限定ツアーをして、次のアルバムを制作するという3年スパンのルーティンで安定稼働しているような状態でした。

それが、新型コロナウイルス感染拡大により活動が制限され、ライブもできず、スピッツのみならず音楽業界全体に大きな影響が出ました。

そのような中でも、スピッツのメンバーは色々と模索しながら制作活動を続けていきます。

メンバーが個々にレコーディングをしてリモートで完成させた「猫ちぐら」(本作には未収録)、News23のテーマとして書き下ろされた「紫の夜を越えて」、映画「きのう何食べた?」の主題歌として書き下ろされた「大好物」、映画「名探偵コナン」主題歌として書き下ろされた「美しい鰭」といった、新しい試みや多くの書き下ろし曲があります。恐らく、今までのアルバム制作の流れと異なった点が多かったと思います。

これまで通りの制作過程がとれなかったり、ライブも行えないような状況の中、その時々で出来ることを愚直に行ってきた結果、たくさんの書き下ろし曲としてコンスタントに発表できたのかなと推測します。

そういった背景も含め、既発曲がアルバムに多く収録されることもあり、収録曲を見た瞬間に期待値は高まりました。

新曲の曲名を見ても、スピッツらしいものばかり。シンプルなものや可愛らしいもの、意味が分からないもの(褒め言葉です)など、バラエティ豊かです。相変わらずなところに安心感もありました。

ジャケット

また、このジャケットですよ。もう優勝確定ですよね🏆

ロボットが可愛らしいし、スピッツのアルバム恒例の女性モデルも笑顔で可愛らしいし、どこに置いても目立つような黄色いジャケットです。

無駄知識ですが、黄色は心理的に希望や元気を与えるエネルギッシュな色であります。なぜ黄色ベースなのかは不明ですが、その点でも、このアルバムの持つ前向きな力を感じました。

「ひみつスタジオ」ジャケット※通常盤

Eテレの新番組かな?って思うような、おそらくスピッツ史上1番ポップなジャケットですが、以前ラジオで草野さんが、このジャケットにもちゃんとモデルがあると語っていました↓

イギリスのロックバンド"スタッグリッジ"のアルバム「MR.MICK」

確かに、人の配置やカメラ目線であるところは似ていますね笑 

このようにスピッツのアルバムジャケットには、これまでも様々なモデルが存在します(UKロックの名盤がほとんどです)
そこを深掘りしていくのも、ファンとしての楽しみの1つです。

また、今回は土偶をジャケットに使いたい(←なぜ?笑)という草野さんの想いがあったようで、ただの土偶ではなくロボットみたくしたことと、様々な出来事(コロナ禍のことを言っているのかは不明ですが)で傷ついたロボットと、それを直してくれる人の組み合わせという、アルバム全体の構成に繋がるようなものになっているようです。

なお、草野さん自身がアートワークに非常にこだわりがあり、アルバム制作にあたっては、曲やコンセプトよりもまず最初にどういうジャケットにしたいかを考えるようです。

20年来のファンとしては、アルバムの内容はもちろん、今回はどういうジャケットなのかなという大きな楽しみやワクワクもあるのです。

アルバムを聴いた印象

さて、アルバムを通して聴いた印象ですが、

いい…

語彙力を失いましたが、今作も、間違いなく名盤です。

そして、私的には、ここ最近の中で1番好きなアルバムかもしれません。

1曲ごとのクオリティが高いのは相変わらずですが、アルバムを構成するための曲というよりは、1曲1曲が際立ち、それぞれ粒揃いの自立した曲が集まって構成されたアルバムという印象がありました。

なので、最初から最後まで大きな起伏がなく、同じテンションのまま安心して聴けました。

これまでのスピッツのアルバムでいうと「空の飛び方」「三日月ロック」「とげまる」が同じような構成だと感じていましたが、最近放送されたCSの特番で草野さんがまさに同じことを言っていました。ボジョレーヌーボの如く、10年毎にそういったアルバムができるようです。


また、コロナ禍という時代を反映しているかのように、サウンドや歌詞が前向きなものが多い印象です。

もちろん曲によってロックサウンドな曲やバラード調の曲もあったりしますが、どの曲にも歌詞の中に希望が書かれており、それに沿うようなサウンドが鳴っています。

1曲目「i-O(修理のうた)」では、ジャケットのロボットのことを歌っているかのような世の中とリンクさせた曲であり、9曲目「紫の夜を越えて」では、明けない夜はないと歌っているかのように未来への希望を歌い、12曲目「讃歌」では、この世は素晴らしいものだと再認識するかのように小さな喜びをすくい上げる賛辞の曲であるように、様々な視点から未来への希望や人生の喜びを歌っているように感じます。

これらの曲を、あくまでいつも通りのスピッツのサウンドに落とし込んで世の中に自信を持って届けられる様に、バンドとしてのスキルの高さが伺えます。


さらに、アルバムを聴いた別の印象として、きっとレコーディングが楽しかったんだろうなという空気感を感じました。

先ほど書いたように、サウンドや歌詞から前向きな印象を感じ取れたのもありますが、2曲目「跳べ」や13曲目「めぐりめぐって」のようなシンプルでストレートなロックサウンドを、このキャリアでさらっと出来てしまうところに感動しました。

世間の印象とは裏腹に、メンバー全員の根底にロック魂があるという背景があるからこそ、これらの曲を聴いた時にバンドとしての充実度を感じました。

そして、6曲目「オバケのロックバンド」ではメンバー全員が順番にヴォーカルを取るという初の試みをしており、メンバーの仲の良さや信頼感がないとできないことを、このキャリアで、しかもこのタイミングでやってのけてしまうところに、ファンとしてもつい笑みがこぼれました。

この曲にはMVが存在し、メンバー全員がそれぞれのパートでカメラが向けられていましたが、草野さん以外のメンバーはどこか照れながらも楽しそうな雰囲気が伝わり、微笑ましいかぎりでした。


私がこのアルバムの中でダントツでお気に入りなのが、11曲目「ときめきpart1」です。

この曲もまた、6月9日公開の映画「水は海に向かって流れる」の主題歌として書き下ろされ、アルバム発売前からラジオやTV出演で聴くことができましたが、まさに一聴惚れでした。

新曲なのに、どこか懐かしくて安心感があります。

恐らく、アルバムの中で1番世間のスピッツ像に沿っている曲ではないでしょうか。

また、ストレートなラブソングに聴こえますが、私が聴いた印象は、恋愛に限らず、塞ぎ込んでいる心に未来への希望が差し込んで心がときめいていく様子を歌っているように感じました。

シーンを限定しない、聴き手の解釈に委ねる懐の深さもまた、スピッツの魅力の1つです。

作品毎に様々な試みで新しい姿を見せ続けてくれたスピッツが、ここにきてド直球のスピッツサウンドを届けてくれたこと、私自身が未来への展望が見え始めたタイミングでこの曲に出会えたことがとても嬉しく、この曲を聴いた瞬間、まさに私の心はときめきました。

これからの人生、私にとってターニングポイントになりつつある曲です。

最後に

あー、まだまだ書きたいことがありすぎる…

本当は1曲毎に感想を書きたいぐらいですが、時間がいくらあっても足りないのと、私の体力が先に果てそうなのでやめておきます。

ちなみに、この記事の流れである「タイトル」→「収録曲」→「ジャケット」→「聴いてみた印象」は、このアルバムについての情報が公表された順番でもあります。その時々の心情を素直に文章にしていますので、私自身も懐かしみながら楽しく書けました。

私が思うに、このアルバムは、全体的にコロナ禍という1つの大きな時代背景を反映させたような、世間に、そしてリスナー1人1人に向けた、スピッツならではの希望溢れる前向きなアルバムであります。

前述のとおり、タイトルやジャケットからその雰囲気を感じることができただけでなく、歌詞やサウンドにおいても、様々なアプローチをとりつつも前向きなエネルギーを感じますし、曲の中に少しでも希望を持たせたいという草野さんの思いが、本作ではより一層感じられます。


「醒めない」や「見っけ」が出た時は、それぞれでまた最高傑作が出たなと当時は思いましたが、本作はさらにそれらを上回るような最高傑作が出たなという喜びと感動がありました。

逆に、バンドとして充実しすぎていて、これから大丈夫なのかとファンとして少し心配になってしまいます。

まあでも、もう30年越えのキャリアと実績を誇るモンスターバンドですし、これまでも最高傑作を塗り替え続けてきたので、心配しないでも大丈夫なのかな。

なにより、メンバー仲がとても良いことで有名ですし、当のメンバー全員がマイペースで力が抜けている状態なので、これからもゆるゆると活動を見守り続けたいと思います。


楽しみはまだ続き、6月からアルバムを提げた全国ツアーが始まります。

私はすでに11月の福岡公演が当選し、首を長ーくして待っている状態です。

本当は現在住んでいる広島県や周辺の会場も申し込んだのですが、全然当たらず…それだけファンの数も多く、生で見たいという人が多いのでしょう。

大袈裟ですが、今まではこのアルバムを聴くために生きてこれたので、これからは福岡公演のために頑張って生きていきたいと思います✊


ということで、まだ「ひみつスタジオ」を聴いていないそこのあなた👀

ぜひ聴いてみてください!

また、すでに「ひみつスタジオ」を聴いたり、ツアーに参戦予定の方👀

これからも一緒にスピッツを楽しみましょう!!


乱筆にて


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