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公務とハリーポッター

となりの公務員の隣の席を与えられた私は、
しばしば、となりの公務員の仕事を手伝う機会が与えられる。
それは主にプレゼン資料だったり、企画書だったり、フライヤーだったり、私はとなりの公務員の専属制作部隊のような立ち位置にいる。(たぶん)。

その活動は課を越えた広がりを見せて、
職員採用ポスターや、ワインラベル、LINEバナーなども手掛けたりする。
ちなみに一番人気なのは、名刺デザインだ。現在までに全国の多種多様な方々17人くらいのお名刺を作らさせていただいている。
その話はまた後で詳しくしたい。

指示なし加工なしの素の紫波町の風景をそのまま使った新採用ポスター

都内の広告代理店にかつて勤務していた私は、
言葉や写真で相手の気持ちを動かすことに喜びと生き甲斐を感じてきた。
子ども時代も、合唱部、美術部、写真部、放送部と、かねてより「表現」が重視される世界で生きてきたし、性に合っている。
そして運動はまるでできない。走るとだいたいコケる。

(代理店時代、コピーやライティングは毎日のようにやっていたが、デザインは美大上がりのプロ軍団がいたので全く経験はなく、紫波町役場で働き出してから独学でがんばっている。役場ではそのような人材が少ないので喜んでくれてうれしい。そして写真は、高校時代からのライフワークだ。)

最近末娘が小学校に入学し、長らく楽しんできた甘えん坊の子育て生活に突然ぽっかりとできた「小一時間の朝の自分時間」をどう楽しむかを考え抜き、今週はハリーポッター劇場版シリーズを全部最初から見直すという素晴らしい自己中心的な時間の使い方を思いついた。この感覚は約10年ぶりである。

それと公務となんの関係があるかと思うだろうが、関係大有りだ。
私は、となりの公務員のアウトプット品のだいたいほとんどを任されているので、言葉選びや見せ方、特にとなりの公務員の「熱量をどうしたら万人に伝わるか」は常日頃、ほとんど24時間気にして過ごしている。

本を読み、映画を見ながら、熱量が伝わる言葉を探している。
日本語でうまく表現されていればいいが、いまいちだと思ったら訳す前の英語を確認したりもたまにする。(したところでわからないことのほうが多い)

今日は金曜日。
今週かけて見てきた『ハリーポッターと死の秘宝』の中で
ロンの父親が言ったセリフが、となりの公務員っぽいなと思いメモした。

「勝敗を決めるのは数にあらず。一人ひとりの意思の硬さなり!」

ヴォルデモート勢に攻め込まれる直前に言い放たれ、
数では圧倒的に負けていたが立ち向かう姿に朝から涙を流した。
とても良い金曜日の朝である。


となりの公務員と私の違い

となりの公務員と私を並べてみた時に、
はて、紫波と酒が好きであること以外に共通点があるのだろうか?
血液型がA型だという共通点は意外と強い。

ある日、シビックプライドに関する本を同時に読み、
勉強になった箇所、もう一度読みたい箇所に付箋を貼っていく作業をしたのだが、二人とも全く違うページに付箋を貼り一切重複しないという奇跡を起こしたことがある。

となりの公務員が重要だと思うことを私は見過ごし、
私が重要だと思うことは公務員は興味がないのだ。

これはすごいぞ!と当時は興奮した。
私ととなりの公務員という全く脳内が違う人間が同じことを同時に考えることで、理想の答えに近づく力が2倍になるなと思った。

意見の衝突も多々あるが、
となりの公務員はだんだんと、「行政としてこうあるべき」よりも
「民間上がりの表現で多くの人に気持ちを伝える」ことが重要だと感じてくれたらしい。
まさしくスーパー公務員だなと思う。

最近の新作Tシャツ「紫波熱波SHIWA NEPPA」

となりの公務員は、その熱量を熱波にして吹き荒らすという概念を
本当に現実のものにしている。
その名も「紫波熱波」。
地元の温泉館のサウナ室でタオルを振り回すとなりの公務員は
毎回元気と勇気をアンパンマンの100倍与えている。

「紫波という字が熱波にしか見えない」と、ある日となりの公務員はつぶやいた。なので、すぐにTシャツを作って差し上げた。
自腹という決裁不要の飛び道具は、こういう時にとても役に立つ。
そして私の独断で作り上げたアウトプット品を、となりの公務員は買い取る羽目になる。

つい最近行われた熱波イベントのあとの、スタッフ感想付きの画像がこちら。

となりの公務員は、タレントとしても忙しい

人生に蒸気を!steam of life
というのは、「サウナがあるところ」という映画へのリスペクトを込めたものだ。

映画の中で、電話ボックスもサウナになる


こんな具合で、私はとなりの公務員が興味と時間がなくて取り込めない部分を補うという役割を自ら喜んで担っている。
目の前の人に、紫波の熱量を伝播させることが生き甲斐なのだ。



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