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不況・在宅状況にピッタリのビジネス書10選(No.91-100)

この適当に始めたマガジンも、気付いたらもうすぐ1周年となります。書評もついに100冊目に突入してしまった…。今回は時宜を見て、在宅で読むのにお勧めな本を紹介します。

経済は世界史から学べ

歴史+お金系の本っていっぱいあります。『ニュースの「なぜ」は世界史から学べ』とかね。経済の中で起こることのほとんどは「歴史は繰り返す」。つまり、「過去にどこかで起こったことだから、歴史から学びましょうねー」という切り口。インフレの行方も、急な経済成長からの世界恐慌も、中央銀行の債務超過の結末もすべて起こってるんですね。これ系の世界史本は色々ありますが、この本が僕的にはベストで分かりやすかったです。

日経でアナリストが言ってましたが、今回のコロナショックは前回のリーマンショックのケースはあまり当てはまらない。リーマンが金融経済の崩壊を発端にして実体経済を巻き込んだのに対して、今回は実体経済から先に壊れてるから。

となると、信用が信用を生み、抽象概念が連鎖している現代の高度な金融経済の話より、それこそジャガイモの飢饉だとかイギリスの織物やトヨタの車を入れるなとか、そんな風により原始的な「歴史に学べ」ですよね。

書評書くために読み返したんですけど、今だからこそ考えさせられる内容が溢れてました。読みやすく図解で書かれてるんで、経済学に素養がない僕のような人間にも楽しく読めます。経済センスが上がるでしょう。さすが著者が駿台予備校講師なだけある。駿台の講師って超優秀ですからね~(昔バイトで応募して最初の書類で瞬殺されたw)。

ウェブの仕事力が上がる標準ガイドブック Webディレクション

最近書評流行ってますけど、こういう本紹介されないですね。ゴリゴリの実用なんで。書評っていうのは、やっぱり『サピエンス全史』みたいなオピニオン本が一番やりやすいので、知識集みたいな本は紹介しにくいのでしょう。僕は実用の人間なので、プライドを持ってこういう本を紹介しましょう。

この本はWEBディレクターの実務書だと思うとあまりにも勿体ないです。ではこれは一体何かというと「地図帳」なのです。

今Webに間違いなく雇用が増えてるでしょう。営業はインサイドセールスになり、チラシはダイレクトメールやターゲティング広告になり、商品はデジタルのフィルターを超えられるように無形商材化してます。そして「Web」って言っても大きいトピックなので、全部にまるっと精通している人はいません。それぞれの歯車が点在し、技能と知識が散り散りになって相互理解ができてない。これはこの前紹介した本の著者である、WEBコンサルタントの竹内謙礼さんも言ってましたね。

…そしてWEBディレクションという仕事は何か? それらバラバラな職能に一本の筋を通してくれる横串なのです。私たちは必ずどこかの歯車をやっている。自分がどこに噛めるのか。どういうお金の流れをしているのか、凄く勉強になる。

ここ数カ月、どこの業界でも急速にデジタルトランスフォーメーションが進んでると思います。これから雇用市場で活躍する人にとっては、就活四季報よりリアルに実務や立ち位置のことが分かるし、既に詳しい人や戦略のレイヤーにいる人にとっても、お金の流れを俯瞰し全体最適するための手引きになるかと。こういう補助輪的な本って、オピニオンリーダーのヒット本と比べてバカにされがちですけど、スゲー本ですよ。

良い戦略、悪い戦略

マッキンゼーが「戦略論の大家」と呼んだ経営思想家のリチャード・ルメルトが、「戦略思想とは何か」を論文ではなく、自己啓発書的に分かりやすく書いている本です。

『倒産図鑑』なんて本が売れちゃうんだから、世の中挑戦して失敗する人って沢山いるってことが分かります。なぜ失敗するかというと「悪い戦略」が当たり前のようにはびこっているから。では「良い戦略」とは何なのかにつついて、400頁に渡って事例を特集しています。

競争相手より低いコストで生産できるとき、競争相手より高い価値を提供できるとき、あるいはその両方ができるとき、競争優位があると言う。(中略)優位性が持続可能であるためには、競争相手に容易に真似されないこと(模倣困難性)が条件になる。
リストを作ることは、認識能力の限界を乗り越える手段と言える。リストがあれば、忘れてしまうことを防げるし、リストを作る過程で、抱えている問題の相対的な緊急度や重要度を天秤にかけることができる。そして「いまやるべきこと」が明確になれば、問題解決に向けた行動を起こせるはずだ。

この本読んで思ったのが、ストラテジー(戦略)って要するに「配分する」ってこと。「自分の持ってるリソースをどこに充てるか」これが正しくできてる人が上手くいっていると思うのです(僕はこの本を読んだ後、売れてない本のプロモーションを一切しなくなって、売れてるものだけに全振りすることにしました爆)。

今我々皆ディスポーザブルな資源の量が増えてます。それは何かというと「時間」ですね。家にひたすら籠るとダラダラしがちですが、時間だけは生まれも育ちも血統も階級も関係なく、平等に与えられた資源です。それを何に分配し何に変換していくか「分配」という、抽象的で捉えどころがないけど、我々に誰しも関係してくる概念を哲学している名著だと思います

amazon 世界最先端の戦略がわかる

人の動きが止まり、モノがグルグル回る時代になると、私たちのビジネスは物流と通信販売に依存することになります。となると、Amazonという世界最大のECストアが何をやっているのか詳しくないと、結構まずいんじゃないかなーと思ってこの本読み返しました(というか僕がやってる仕事は、Amazonというプラットフォームともはや運命共同体と言っても過言ではないのでw)。

本書は、まさかのMicrosoftの元日本代表、成毛眞さんがAmazonのビジネスモデルを解説するという夢のような本です。案の定12万部とか行っちゃってます。

よく知られてることですけど、Amazonって利益出る体質になったの最近なんですよね。それまで利益は全部期末に設備投資に回して、リスクガンガン取って巨大な兵站(ロジスティクス)を世界中に敷き詰めたんです。帳簿上に記載・実体評価されにくいところに資産を貯め込んでたから、世界がそれに気付いた頃には誰にも手に負えないくらいの世界帝国を築き上げてしまった・・・

この話って単なる現代経営学の成功サンプルってだけでなく、我々にも結構示唆があるなーと思っていて、「巨大な成長のためには、金を貯め込まず、早いうちに無形資産の投資に回す」ということ。特に『ネクストソサイエティ』という本でドラッカーとかも言ってますけど、無形資産こそが知識社会における強さ。それって私たちに言えば、知識とか実績とかブランドとかシステムとかそういうとこだなぁと。

他にもこの本では、「Amazonの徹底的な秘密主義文化」「AWSの強さ」「なぜAmazonが決済サービスを狙うのか」「アルゴリズムとテクノロジーの優位性」「赤字でも株価が下がらなかったのはなぜか」「AlexaとAmazon Goでやろうとしていること」諸々学べます。

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