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関係者が語るおすすめビジネス書10冊(No.60-70)

どうもトムです。

毎月恒例、おすすめの書籍紹介のコーナーです。今回は60〜70冊目です。

今月はあまりにも多忙すぎて…、寝不足と疲労で死にかけており、更新が遅くなってしまいました。やっとマガジン更新する余力が出てきたので、今回も書評です。

僕は個人的な信条があってそれは、「価値のある知的生産というのは、“人と違うことを知っている状態”から生まれてくる」ということ。そうなると、オープンでポピュラーなものではなく、「クローズド」な情報に競争優位があると思うんですよね。

そして、書籍は元々一定程度クローズドだと思います。WEBメディアは100万PVとか言っちゃうわけですけど、本(特にビジネス書)はヒット出しても5万10万です。箕輪氏も「本は燃えない」と言ってましたけど、そもそも構造的にライトユーザーに飛び火しないんです。売る前に「お金」という1500円程度の壁があり、必然的にファンとかモチベーション高い人以外入ってこない閉じられた空間なのです。

出版科研のデータ見ても、書籍は買う人は買うし、買わない人は絶対買わない2極化マーケットになってます。知的生産の質を向上させたい私たちは、できれば3000部とかしか売れてない良書に巡り会いたいですね。

以上、出版関係のクサいポジトークですが、今回もおすすめ書籍10冊紹介していきます。

『ちょいバカ戦略 意識低い系マーケティングのすすめ』

新書の本棚にさりげなく見つけた本ですが、素晴らしい良書です。この本は「バカになると得ですよ」ということをマーケティング視点から解説してます。

意識が高い系の人は、「わかりやすいもの」を舐めがちです(僕ですね…)。まぁそれもある側面で正しくて、優秀な人に対してわかりやすくするのは野暮だし失礼なんですよね。「カンタンに解説しろ」というより「聞き手の頭の中の言葉を使え」が正しいのかなーと思います。

この本が提案するのは、本来一定の品位を持っているコンテンツや商品をあえて「下から目線」にして、わかりやすさを追求すると、そこには大きなビジネスチャンスが生まれてくるということ。

著者いわく、世の中に流行るものは絶妙な「意識の低さ」があって、そういう特徴をしたたかに操れるとトレンドを作れる、そうです。お高くとまってるといわゆるキャズム(「新しいもの好き」と「一般人」の深い溝)を越えられない。この本は「意識高い系」と「意識低い系」の対立軸を身近な例から超分かりやすく分けてくれています。

意識高い系なら例えば、

・洋楽好きなオレ凄い
・社長が『史記』を読む(『売上ぐんぐんアップ術』などのハウツー本ではなく)
・あまりテレビに出ない落語家
・ハイデッガーの哲学書

これに対して、意識低い系はというと…

・ジャパネットたかた(商品機能ではなくどんな生活が手に入るかをハイテンションで叫ぶ)
・ピコ太郎のPPAP
・カップヌードルの「謎肉」
・ユニクロ
・ジョブズのプレゼン(シンプルに分かりやすい言葉を繰り返す)

この本で紹介される具体例を見てると、歌って踊ったり、動物を出したり、ダジャレを言ったりする「おバカCM」も計算して作られていることが分かります。YouTuberでもトップの人達は、相当バカやってますからね。普通の社会人だったら恥ずかしいような発言や行動、顔芸をできるからこそ、あの人たちは抜きんでるんだと思います。

意識低い系の6条件
1 メジャーはマイナーよりも強い
2 便利は不便よりも強い
3 「近い」は強いが「遠い」にも逆転の要素あり
4 具体的なものは抽象的なものよりわかりやすい
5 感情は理性より広まる
6 「幼さ」はマイナス要因ではない
7 女性の直観力は侮れない

SNSを見ていると、企業やタレントがちょっとバカっぽいことやると、専門家や賢い人から批判される…。でも批判されるということは、それだけ「ちょいバカ戦略」が上手くいってるということ。マスの市場を取るには、どれだけプライドを捨てられるかが重要なんでしょうね。

YouTubeも「好きなことで生きていく」なんて馬鹿げたプロモーションをやってましたが、キャッチコピーもそれくらい「おバカ」になりきったほうが、世間にウケるんだと思う。この本を読んだ後には、広告代理店が仕掛ける「登山女子」とか「ロールキャベツ男子」とかちょっとおバカな言葉も、背後にあるしたたかさが透けて見えるようになります。

本書のオビに「なぜ書籍のタイトルに「バカ」って言葉がよく使われるのか」と書いてありますが、売れるからですね。「バカでも儲かる」というようなことが書いてあるベストセラーは枚挙にいとまがないです。

というわけで、世の中に蔓延る広告メッセージの背後にある「ちょいバカ戦略」を知れる、良書のご紹介でした。

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