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現役編集がガチでお勧めするビジネス本10冊

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どうも、トムです。

なんか最近、けんすうさんをトップにして、本の紹介ブーム起きてません? ありがたやありがたや。献本するのでマジで拡散欲しい。。

このマガジンでは、去年の8月頃から、おすすめの本を紹介しまくってきて、累計60冊となりました。僕は人生で読書ばっかしてきた変人なのと、職業柄新刊が無料で手に入って転がってる環境なので、200冊くらいまではネタ切れしないだろうと思ってます。

今回もあんまり知られてない、あるいは今更感あるけど、めっちゃ良書なビジネス書をメインに紹介していきます。

インターネット的

天才糸井重里の名著です。2001年に書かれたとは思えないほど、今でも生き生きとした内容。未来学者アルビントフラーが予言した情報社会の到来を、日本版にわかりやすくしたような本。インターネットが起きたことによるコミュニケーションの変化の本質を、読みやすく分かりやすく語っています

僕が好きなフレーズの引用を載せます。名言のオンパレードですね。

これからは個人の価値観に合わせて個人のプライオリティ(優先順位)が自由に組み替えられていくでしょう。いままでは“みんなのプライオリティが一定している”ことが、社会が安定していることと考えられていました。お金は一番大事なもの、上司の命令は家庭の事情に優先する、レミー・マルタンとビールでは高い方の酒を飲みたい……。みんなが同じプライオリティを持っていることが、社会の常識なるものを下支えしていた。でも、その常識がいまや紅白歌合戦の視聴者レベルにまで降下してきたように思います。
インターネットでは、時間や面積という不動産価値にとらわれる必要がないおかげで、三時間の対談を三時間分すべて出してしまうこともできます。
勢い、という価値はほんとうに不安定です。「飛ぶ鳥を落とす勢いですね」と寄ってきた人たちは、飛ぶ鳥を落とせなくなってきたら、価値を認めなくなります。こんどは、「落ち目だろ」と当然のことのように言い放つだけです。それは実力主義の法則とはちがうものでしょう。「勢い」だけに価値をおいた世の中というのは、高速で勢いを生み出しては高速で消費し尽くしていく仕組みなのです。

最後の引用とか、まさにTwitterだし、インターネットって「本当に価値があるもの」への評価を狂わせるものだと思うんですよ。身も蓋もなく言えば、凄いのに評価されてない人を本当の評価額より安く買うことができる場所でもあり、泡みたいに価値がバブってる人に虐げられる場所でもある

僕も誰かの錯覚資産に騙されたり、自分自身の錯覚資産に自分が騙される時があります。何が本当に価値があるかは、自分で考えられるようになりたいですね。

あ、もう一つ。本書で語られる糸井さんの「環境商品」という考え方は、「ブランド」という概念の意味が全てわかります。ぜひ読んでみてください。

アップルのデザイン ジョブズは“究極”をどう生み出したのか

ブランドつながりで本書も素晴らしいです。図版も権利も良い紙もモリモリだし作るの大変だったろうなぁ…。

糸井本の引用の続き。

ぼくは“環境商品”という言葉をさかんに使います。“商品は環境ごと商品なんだ”という考え方です。商品は、それ自体「単体」で価値を持つことはできない。(中略)誰でも知っていそうな大ブランドである、シャネルの香水があります。これは、価値の安定した商品ですよね。しかし、これを、灯油缶に入れて売り出したらどうでしょう。ぼろぼろの納屋に入れてあるシャネルの灯油缶を、訛りのきついおばさんが割烹着かなんか着ていてね、「ほれ、しゃねるだ」と投げて渡したら‥‥‥。それはもう別物でしょう。シャネルは香水ではありません。美しくパッケージされて、キレイな店で、センスよく着飾った店員から買う。ここまですべて含んで、はじめてシャネルです。

iPhoneなんかまさに環境商品ですね。アップルはこの考え方を、徹底した企業です。難しい言葉を使えば、デザイナー経営者が、設計から小売からエンドユーザーまで、徹底的にブランド最適化して成功した。だからこそシャオミやサムスンでは到底到達できない利幅をとれたわけですね。

本書はイラストと一緒に、アップルという世界を制覇した企業が、いかに洗練されたデザインと思想をiPhoneに染み込ませていたのか、全て分かります。

ところでこの前Twitterフレンドと飯食ったんですけど、その方は「デザイナーは産み出している利益の割に、安く買い叩かれている。だからデザイナーのいるサロンに入った」と言ってました。「確かになぁ」と思って、その日以降仕事で付き合っているデザイナーさんへの有り難みが強まりました。

プラットフォーム戦略 21世紀の競争を支配する「場をつくる」技術

以前、Hal Varianの『情報経済の鉄則』の復刻版を紹介したらプチバズりましたけど、あれは少し難しい本なので、同じこと言ってて読みやすいこちらを紹介させてもらいます。

有名作家兼コンサルタントの平野敦士カールさんと、一時期話題になった経営思想家アンドレイハギウさんの共著です。

別にGAFA作りたい人が買う本じゃないです。今我々皆に必要な本ですよこれ。今って活気あるコミュニティを作れて、人を集められる人が経済的に勝ってるじゃないですか。SNS、コンテンツマーケティング、オンラインサロン、クラファン。抽象化すればGAFAもそう。つまり、今成功している人や企業は「場をつくる」ということをやってるんですよね。

ここでは「スイッチングコスト」や「バンドリング」など極めて重要な概念が紹介されます。この考え方を応用すれば「インフルエンサーがなぜオンラインサロンをやると人気が継続するかというと、フォロワーはコミュニティ内で人間関係ができて、しがらみが生まれ、競合者への乗り換えコストが高まる」と言えます。これは携帯電話会社もやってるし、モバイルルーター会社もやってるし、noteもAmazonも、あの手この手でやってる。

「場をつくる」というのは、これからの時代いろいろな場面で役に立つ専門技術だと思います。学校では教えてくれないし、まだ誰もスキルとして認識してないからきっとお得ですよ。

MBAより簡単で英語より大切な決算書を読む習慣

僕は会計の勉強中なので、あまりその観点から評価をできないのですが、僕みたいな知識がない人にも各企業がどういう戦略を立ててるのか分かる素晴らしい本です。

例えば、2016年楽天が「爽快ドラッグ」を買収しました。これはなぜかというと日用品ECの「利用頻度」および「継続率」が高いからだと書かれています。つまり、炭酸水とか化粧品みたいな安くてよく使うもの買わせれば、PCとかカバンとか、滅多に買わないけど高くて利益率が良いもの買ってくれるじゃないですか。

僕も職業柄「アイデア、アイデア」って言われて急かされるんですけど、アイデアって突飛に降りてくるものでもないような気がします。むしろビジネスモデルや決算書を学ぶことで出てくる。

フレンチレストランを全国各地に飛び回って食べてても、立ち食い格安の「俺のフレンチ」は思いつかなかったわけですね。あれは「回転率」や「FLコスト」という概念を知っていたから、坂本孝さんはアイデアを実行に移し創業できた。

つまり、今社会で必要とされてるのは「抽象思考能力」で、頭の良い人には普通の人が見ている景色からは見えない「概念」が見えるわけです。これが競争優位性になっている。だからこそ、僕はこういう本が必要だと思います。

僕もいちお、教職の専修免許持ってるんですけど、当時2014年くらいから、ネット評論家がさんざん「学校不要論」言ってました。でも、あんなのはメディアとビジネスポジトーカーが仕掛けたトレンドに踊らされてるだけのクソ意見で、分析的思考力の下支えとなる学問は、学生の時に集中して学ばないといけない、というか効率悪いと思います。

いきなり高度情報化社会に出て、何をしたらいいかよく分からず、でもお腹は減るから、売れないものを強い営業やマーケティングで売りつける人が量産されちゃうと思うので。それって社会の損失じゃね?と。個人的な強めの意見でした。

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